水曜雑誌会 (Wednesday Seminar)

水曜雑誌会は、恒星物理や太陽・プラズマ物理に関する論文、自身の研究等を紹介しあうセミナーです。

schedule

seminar in 2019b

後期の雑誌会の発表内容と予定です。

日付発表者(予定)題名・発表内容
10 月 2 日平松 (Las Cumbres Observatory)
Title: Recent Advancements in Core-collapse Supernova Observation Through the Global Supernova Project

Abstract: Supernovae are among the most influential events in every astrophysical scale. New wide-field and high-cadence transient surveys enable us to watch supernovae from the moment of explosion. Paired with rapid and continuous monitoring facilities, these observations reveal unprecedented features that bridge our understanding of their progenitor systems to explosion mechanisms. From the discovery to follow-up, the Global Supernova Project is a world-wide collaboration of +150 supernova observers and theorists facilitated with the Las Cumbres Observatory and various other ground and space telescopes. In this talk, I will highlight the recent advancements in core-collapse supernova observation, especially in the context of the Global Supernova Project.

10 月 9 日古野
Title : 超臨界降着流におけるアウトフローのフラクタル次元解析

Abstract : 超臨界降着とは、エディントン限界と呼ばれる古典的限界を超えたガス降着のことであり、超巨大ブラックホールの形成問題や超高光度X線源(ULXs)の正体に関わる重要な現象である。 近年行われた2次元輻射流体計算によってこの超臨界降着が可能であることが示されたが、それだけでなく強力な輻射圧駆動型円盤風(アウトフロー)が存在することが明らかになった。その後、この円盤風の3次元輻射流体計算によって、噴出するガスがシート状にちぎれた構造(クランプ構造)をしていることが示唆された。 しかし、超臨界降着の物理的特性についてはまだ十分に解析されているとは言えない。そこで本研究ではフラクタル次元解析という手法を用い、この円盤風が3次元から2次元、1.7次元(捻れたひも状)にまで変化する様子を明らかにした。 今回の発表では、これらの結果を解説し考察を述べる。

10 月 16 日磯貝
Title: WZ Sge型ヘリウム激変星SDSS J1411の再増光周辺の多色測光

Abstract: 激変星進化の最終段階で見られる大規模な増光現象 WZ Sge型スーパーアウトバーストでは、まだ未解明の変動が数多く見られる。 特に、メインアウトバースト終了後に見られる再増光は 伴星からの質量輸送率の増加によって起きる (enhanced mass transfer model)と解釈されることが少なくない。 しかし、enhanced mass trasnferの観測的証拠は無い。 昨年増光したヘリウム激変星SDSS J1411は大規模な増光を示した。 我々はVSNETを通じて密な観測を行い、 この増光がWZ Sge型スーパーアウトバーストであることを確認した。 更に、OISTER(大学間連携)による多色観測と swift, ZTFのpublic dataを使うことで、再増光周辺の色変化を追った。 その結果、enhanced mass transferでは説明のつかない色変化が見られた。

10 月 23 日吉武
Title: ULXPのスペクトルと周期解析に関するレビュー

Abstract : 我々の近くの銀河を観測すると、銀河中心から離れた位置に超高光度X線源 (Ultraluminous X-ray Sources; ULXs) が見つかることがある。ULXとはX線で非常に明るい天体 (X線光度が 10^39 erg/s 以上) であり、このような高光度を説明できる有力な説としては、恒星質量ブラックホールへの超臨界降着、中間質量ブラックホールへの亜臨界降着、中性子星への超臨界降着の3つがある。超臨界降着はエディントン限界降着率を超える降着を指す。 中性子星への超臨界降着からなるULXは磁場の存在ゆえに同時にパルサーにもなっており、ULXP (ULX Pulsar)と呼ばれる。M82 X-2からパルスが発見されてULXPであることが判明して(Bachetti et al. 2014)以来、複数のULXPが見つかっている。ULXPは中心天体の質量が大きく制限できているため、ULXの性質や超巨大ブラックホールの形成問題を考える上で重要である。しかしULXPの発見数は少なく、その性質についても十分に理解されているとはいえない。 そこでX線観測衛星XMM-NewtonとNuSTARによる同時観測が行われており、広帯域 (0.3-30keV) でX線解析を行うことのできるULXPであるNGC7793 P13、NGC300 ULX-1に注目した。周期解析によってパルスを検出し、磁場の推定を行った。さらにプロペラ効果を考慮することでNGC7793 P13において見られていた100倍ものX線光度変化を説明することができた。 今回の発表ではNGC7793 P13、NGC300 ULX-1の解析を行った論文Fürst et al. 2016、Israel et al. 2017、Carpano et al. 2018についてレビューを行う。

10 月 30 日小路口,若松(D2中間発表)
Title: アーカイブデータを用いた矮新星の観測的研究

Abstract:  矮新星とは間欠的に1~9等級のアウトバーストを起こす天体である。白色矮星とロッシュローブを満たした 晩期型星からなり、主星のまわりには輸送されたガスにより降着円盤が形成されている。連星進化のひとつ の最終段階に位置し、進化が進むにつれて質量輸送率が低くなる。すると、SU UMa型矮新星やWZ Sge型 矮新星といったようにアウトバーストのふるまいが変わってくる。しかし、進化が進んだ矮新星はアウト バースト頻度が低いため、事前に重要天体であることを知っていることがアウトバースト初期から密な観測 を行う上でとても重要である。そのため、今回は現在見つかっている矮新星よりもさらに進化が進んだ天体を 見つける取り組みを行った。  これまでにHR図や色相関図を用いて矮新星の進化を辿るという取り組みが行われてきた(Kato et al. 2012, Isogai et al. 2019)。しかし、可視光域の色を用いた方法では伴星が暗くなっていくにつれて、進化が進んだ 矮新星は単独の白色矮星に近づいていき区別がつかなくなる。今回、現在見つかっている矮新星よりもさらに 進化が進んだ伴星のピーク波長が含まれることが予想されるWISEの赤外線域のアーカイブデータを用いるこ とで、進化が進んだ矮新星と白色矮星を分解する取り組みを行った。今回の発表ではこれらの進捗状況を報告 するとともに、近年多く公開されている時間軸情報を含む掃天観測アーカイブデータを組み合わせた今後の展 望についても言及する。


Title: 特異な振る舞いを示す矮新星の観測的研究

突発的に数日間の増光を起こす矮新星の中には、スーパーアウトバーストと呼ばれる 数週間続くような大規模な増光を起こすものがあることが知られているが、この 増光のメカニズムについてはいくつかのモデルが提案されているものの、統一的な 解釈はいまだなされていない。また、近年ではこれらのモデルに従わないような 天体も発見されており、モデルの見直しも要請される。 そこで、私は、スーパーアウトバーストのメカニズムを探るために、食の観測から系の パラメータや円盤の輝度分布を推定する手法であるEclipse Mapping法に着目し、 研究を続けてきた。この方法を用いることにより、スーパーアウトバースト中の円盤構造 を可視化し、その構造や時間変化からモデルの検証を行うことができる。今回の発表では、 これまでの進捗状況を報告するとともに、今後の課題について言及する。

11 月 6 日Chin-Ping
Title: Applications of Advanced Time Series Analysis Method on Astronomical Data

Abstract: I will introduce my recent research projects, including "tracking the connection between the spin period evolution and the unstable superorbital modulation of accreting pulsars," "searching for spin periodicity and orbital modulations in extragalactic point sources," and "building advanced time-frequency analysis techniques for astronomical time series." In the first topic, I will show the details of my recently published paper "Monitoring the Superorbital Period Variation and the Spin Period Evolution of SMC X-1" (https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/2019arXiv191000200H/). I use the MAXI data to track the spin period evolution of SMC X-1 and found that the previously suggested positive correlation between the spin period residual and the superorbital period excursion is just a coincidence. In the second topic, I will demonstrate the result of the recently discovered pulsating ultraluminous X-ray source and show that it could have orbital dips. Finally, I will introduce my work of generalizing the wavelet analysis to the unbinned photon events, and a new algorithm of stacked Hilbert spectrum. They could be dedicated to the future CubeSat projects for monitoring the variability of quasi-periodic oscillations (led by Teruaki Enoto), and a collaborating project of characterizing the gravitational wave signals.

11 月 13 日上田
I will talk about our recent progress on studies of AGN evolution and the introduction of the FORCE mission. If I have time, I may also want to present a talk entitled "Revealing the nature of AGN tori with X-ray reflection spectroscopy" including prospects for XRISM.

11 月 20 日Umut
Title: Science with Gaia Photometric Science Alerts

Abstract: I will talk about the recent developments in Gaia Photometric Science Alerts and its applications to science. I will give brief introduction about Gaia itself and then the Science Alerts. I will also introduce the Cambridge Photometry Calibration Server which provides an instant and quick photometric calibration collecting the data submitted from all telescopes for each transient under same individual process. Lastly, I will present the results of my work along with the ongoing studies related to the Gaia Photometric Science Alerts.

11 月 27 日沼澤(首都大学東京)
Title: 木星からのX線と超軽量X線望遠鏡の開発

Abstract: 2000 年代以降、X線観測技術の目覚ましい発展により、太陽系内の惑星から のX線放射が多数確認されている (Bhardwaj et al., PSS, 2007)。惑星は、比較 的近距離であることから「その場」での粒子観測が可能であり、多様なX線放 射メカニズムを検証し広く宇宙物理に適応しうる「実験室」としての側面が期 待されている。 X線天文衛星「すざく」は木星の内部磁気圏に一致する領域からの広がった非 熱的なX線放射を発見した (Ezoe et al., ApJL, 2010)。この放射メカニズムとし て、木星磁気圏に存在する数十 MeV の相対論的電子が太陽光子を叩き上げる 逆コンプトン散乱が提唱されている。仮説が真であれば、この広がったX線は 木星磁気圏における相対論的電子の空間・エネルギー分布とその時間変動を グローバルにモニターできる新たな手段となり、「その場」観測による局所粒 子分布と組み合わせることで、発見以来謎のままとされてきた木星磁気圏にお ける粒子加速機構の解明に大きく近づく重要な役割を持つ。 本発表ではこの放射の再現性の確認を目的とした「すざく」の追観測の結果を 報告するとともに、惑星を中心とした将来のX線観測に向けて開発される超軽 量X線望遠鏡について紹介する。本望遠鏡は、ベースとなるシリコン基板に微 細穴加工を施して反射鏡を形成することで世界最軽量を誇る。その軽量性から 従来のX線望遠鏡では成し得なかった小型衛星への搭載が可能となり、惑星 「その場」でのX線観測にアプローチする強力なツールとなりうる。

12 月 4 日反保
Title: TCP J21040470+4631129 : 特異な再増光を見せるWZ Sge型矮新星

Abstract: 矮新星は,主星である白色矮星と伴星である低質量星,伴星から主星へと輸送された物質による降着円盤からなる近接連星系である。この系では,円盤の熱不安定によってノーマルアウトバーストと呼ばれる増光現象を起こすことが知られている。また,より質量比(=伴星質量/主星質量)の小さな系では,スーパーアウトバーストと呼ばれるより光度変化の大きい現象が観測されることがあり,3:1共鳴半径まで成長した円盤の潮汐不安定によるものであると考えられている。中でも質量比の小さな系では,アーリースーパーハンプと呼ばれる,軌道周期とほぼ同じ周期での変動を見せるものがあり,これらはWZ Sge型矮新星と分類される。さらに,WZ Sge型矮新星の中には,スーパーアウトバースト直後に,再増光と呼ばれる1~数回のアウトバーストを起こす天体が知られている。 TCP J21040470+4631129は2019年7月にスーパーアウトバーストが観測された矮新星である。この天体は,アーリースーパーハンプ及び複数回の再増光が観測されたことから,WZ Sge型矮新星であることが確認された。また,複数回の再増光を示した既知の天体では,再増光はすべてノーマルアウトバーストであったが,このTCP J21040470+4631129はスーパーアウトバースト型の再増光という,観測史上初めての現象を見せた。この現象を説明するためには,スーパーアウトバースト直後に円盤の質量および角運動量が増加し,再び3:1共鳴半径まで円盤が成長することが必要である。本講演では,この特異な現象やメカニズムの詳細について報告,議論する。

12 月 11 日瀬戸口
Title : 電波天文学と電波銀河についてのレビュー

Abstract : 銀河バルジと超巨大ブラックホールは共進化することが示唆されており(Kormendy & Ho 2013)、 その物理過程を理解することは天文学における大きな課題の一つである。 また、AGNからのジェットは母銀河の星生成を抑制する作用を持つと考えられている。 つまり、共進化を考える上でAGNジェットを持つ電波銀河は重要な種族である。 さらに近年の電波観測の発展により、従来は困難であった、電波で暗い天体も含めた探査をすることが可能になった。 今回の発表では 'The faint radio sky: radio astronomy becomes mainstream' (Padovani 2016) に基づき、特に電波銀河に焦点を当てたレビューを行う。

12 月 18 日休会
集中講義(當真賢二さん)

12 月 25 日岡本




1 月 1 日休会
年末休み

1 月 8 日木邑,谷本(D論発表練習)




1 月 15 日幾田(D論発表練習)




1 月 22 日山中




1 月 29 日小川,關,新島(M論発表練習)




過去の雑誌会の内容はこちらに。
2019 年度前期
2018 年度前期
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2019 年度世話人: 山田
styamada_[あっと]_kusastro.kyoto-u.ac.jp