水曜雑誌会 (Wednesday Seminar)

水曜雑誌会は、恒星物理や太陽・プラズマ物理に関する論文、自身の研究等を紹介しあうセミナーです。

schedule

seminar in 2015a

前期の雑誌会の発表内容と予定です。

日付発表者(予定)題名・発表内容
4 月 22 日野上
タイトル:スーパーフレア星研究の最近の進展

概要:この1年の我々のスーパーフレア星の研究のレビューをします。

4 月 29 日休会
昭和の日

5 月 6 日休会
憲法記念日振替休日

5 月 13 日川室
次回の水曜雑誌会では、これまで考えられているAGN統一モデルの主要構造物である降着円盤、広輝線領域、そして、ダストトーラスが低光度AGNになると観測的にどう変化して見えてくるかについて話します。また、加えて、それらの現状での解釈の仕方と、低光度版AGN統一モデルについて述べられたらと思います。

5 月 20 日前田
タイトル:Ejecta-CSM Interaction Seen in Type IIb Supernova 2013df: Toward the Genesis of Final Evolution toward Naked Supernovae?

概要:IIb型、Ib型およびIc型超新星は水素外層の大部分が剥げた大質量星の爆発であると理解されている。どのような進化を経て水素外層が剥げるのかはまだ完全に理解されておらず、大質量星末期最期の数十年--数千年における進化を理解する鍵であると考えられている。IIb型超新星は0.1-1太陽質量程度の"中途半端な"量の水素外層を残した"黄色巨星"の爆発であることが近年観測的にわかりつつあり、これは標準的な恒星進化モデルの枠組みで説明できない現象である。したがって、このタイプの超新星に至る進化の理解は、大質量星一般の進化を理解する上でも鍵となると期待される。
本講演では、爆発前の親星の性質(特にその半径)と星周物質(=爆発直前の質量放出)の関係に着目する。まず様々な波長や観測モードを用いた親星の半径を導く試みや星周物質密度を導く試みを紹介する。その後、すばるおよびMMTを用いたSN IIb 2013dfの測光・分光観測の結果を紹介する。この観測により、SN 2013dfの親星の爆発に至る最後の1000年程度の進化が明らかになった。この観測例を加えても、これまで親星・星周物質の両方が良く理解されているIIb型超新星はまだ三例しか存在しない。サンプルは少ないながら、これら三例の間の類似性・違いから、親星の性質と星周物質の間に関係があることが推測される。この関係は、大質量星の連星進化の一般的枠組みを理解する上で重要な示唆を与える。

5 月 27 日加藤
近年の矮新星の理解の進展について話をします。2009年以降矮新星の理解が飛躍的に進み、特にKepler以降さまざまな新知見が出ています。その部分を紹介しようと思ったのですが、それ以前の「矮新星について近年何が新しくわかってきたのか」の部分で十分分量があるので、新しい人への紹介も含めて少し歴史的なこと(しかし教科書に出てこない)もお話しようと思います。

6 月 3 日
明日はブラックホール連星からの円盤風の観測について発表しようと思います。 またこれと関連して、最近我々が行ったSuzaku と NuSTAR の同時観測の結果を少し発表します。

6 月 10 日鈴木
タイトル:超新星shock breakoutに関する話題

概要:重力崩壊型超新星は大質星の進化の最終段階であり、進化段階における恒星内部での核燃焼によって生まれた鉄コアが自己重力によって崩壊することで、その重力エネルギーの一部を使って星が爆発する現象である。超新星爆発の噴出物は主に可視光領域の電磁波を放射し、その明るさは銀河一つ分にも匹敵するため、古くから観測が行われてきた。ただし、いつどこで新しい超新星が生まれるかを事前に知ることは困難なため、その”光り始め”を捉えることは一般的には非常に難しい。しかしながら、近年になって観測技術が発達したことや複数の超新星サーベイ計画によって、超新星からの早期放射の観測例が報告されるようになってきた。超新星爆発からの早期放射は、星内部を伝播する衝撃波後面で作られた光子によって担われる。この光子は、衝撃波が星の十分奥深くにある時には衝撃波後面に閉じ込められているが、時間が経って衝撃波が星表面へ近づくことで星の外へ漏れ出すことが可能となる。この段階は超新星shock breakoutと呼ばれ、UVあるいはX線で非常に明るく輝くことが知られている。
 本講演では、超新星shock breakoutや関連する現象の観測例をレビューし、観測の情 報から爆発した星の情報を引き出す手段を解説する。また、我々が行っている超新星sh ock breakoutの理論的な研究についても簡単に紹介したい。

6 月 17 日榎戸
タイトル:中性子星の多様性とマグネターの磁気活動

概要:中性子星はブラックホールに比べると、質量が太陽質量の1.4倍、半径が10 km によく集中していることから、均質性の高い天体種族と思われることも多い。しかし実際には、電波からガンマ線に及ぶこれまでの観測により、多様な種族があることが明らかになっている。回転エネルギーで輝く孤立したパルサー、超新星爆発での残熱でぼんやりと輝く天体、連星をなし相手の星からの質量降着により輝くX線パルサー、あるいは星の内部に蓄えられた莫大な磁気エネルギーで輝くマグネターなど、放射エネルギーの源だけでも多様である。なかでも、磁場エネルギーで輝く中性子星はマグネターと呼ばれ、磁気現象に起因すると思われる巨大フレアやショートバーストなどの活発な突発現象を起こし、観測的・理論的な研究が活発に行われるようになった。中性子星の多様性をもたらす重要な要素である「磁場」に着目して、この研究テーマの背景を概観するとともに、特にこれまで興味をもって研究を進めてきたマグネターの磁気活動のX線観測の一部を紹介する。

6 月 24 日休会
集中講義

7 月 1 日磯貝
タイトル:WZ Sge型矮新星ASASSN-14dxの発見
概要:今回発見されたASASSN-14dxはアウトバーストという現象を100日以上に渡って示す矮新星である。アウトバーストは通常、長くても1~2週間ほどであり、このような天体は前例がない。矮新星は激変星の一種である。激変星は白色矮星を主星に持つ近接連星系で、軌道周期は数時間と非常に短い。激変星では伴星から主星へと質量輸送が行われており、主星の周りには降着円盤と呼ばれる円盤状のガスが形成されている。 矮新星では、降着円盤から主星への質量降着が原因で、アウトバーストと呼ばれる突発的な可視の発光現象を示す。アウトバーストは数等級の増光をし、持続時間は典型的に1~2週間程度である。この天体は、3000日間はアウトバーストすること無く静穏状態にあったが、2014年6月25日の発見から、月に0.2等弱の減光をしながら100日以上続くアウトバーストを示している。この天体は分光により矮新星と確認されているが、既知の矮新星でこのように長期のアウトバーストを示した天体はない。今回の発表では、アウトバーストの仕組み等を解説した上、この特異な天体について明らかにしていく。

7 月 8 日上田
- 次期X線天文計画 New Generation Hard X-ray Telescope (NGHXT)
のサイエンスの話、さらに余裕があれば
- 先日出版した超高光度X線源(ULX)の「すばる」観測結果
の話を超簡単にしたいと思います。

7 月 15 日松岡
タイトル:活動銀河核を用いた重元素量診断について
概要:僕がこれまで研究してきたAGNの重元素に関する研究成果を交えつつ、宇宙の化学進化の話や化学組成という観点から見た銀河と巨大ブラックホールの共進化やAGN-SF connectionの話をしていきたいと思います。

過去の雑誌会の内容はこちらに。
2014 年度前期
2014 年度後期
2013 年度前期
2013 年度後期
2012 年度前期
2012 年度後期
2011 年度前期
2011 年度後期
2010 年度前期
2010 年度後期

2015 年度後期へ進む

Member

4/29〜のローテーションは以下の様になっております (敬称略)。
野上、川室、前田、加藤、堀、鈴木、榎戸、磯貝、上田、松岡、長尾

水曜雑誌会では発表メンバーを切に募集しています!!


2015 年度世話人: 堀