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京都大学3.8m望遠鏡

計画についてabout project

京都大学、名古屋大学、国立天文台岡山天体物理観測所およびナノオプトニクスエナジーによる産学官連携の望遠鏡プロジェクトです。科学者と技術者が力を合わせてアジア最大で国内初の分割鏡による望遠鏡を開発しています。望遠鏡が完成すれば、わたしたちの太陽系から宇宙の果てに迫る遠くの天体まで観測することができます。どのようにして星や銀河ができるのか?宇宙の歴史は?そういった謎を解明します。


経緯

  • 発足
この計画が本格的に始動したのは、2006年8月の京都大学大学院理学研究科宇宙物理教室、同附属天文台、名古屋大学大学院理学研究科光赤外天文研究室、 国立天文台岡山天体物理観測所、ナノオプトニクス研究所(現、ナノオプト二クスエナジー)との間で4者の協力に関する覚書が締結されてからです。 本3m級望遠鏡計画が京大で議論されるようになったのは、1998年11月ころからです。 1999年1月頃、岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡の後継機という観点から、日本の光赤外線天文学の将来計画の一環として 京大で岡山3m望遠鏡ワーキンググループが結成されました。3m級の光赤外線望遠鏡を国立天文台岡山観測所内に建設し、 大学連携という形で京大が中心になって運用、教育研究のために活用するというプランです。

2000年3月、宇宙物理学教室より3m望遠鏡計画に関する概算要求が初めて理学部に提出されました。 2001年5月に学術会議天文学研究連絡会(天文研連)の会議において特別議事録「岡山天体物理観測所の将来計画について」が発表されました。議事録の中の文章を抜粋すると、「国立天文台付属岡山天体物理観測所を京都大学へ移管し、建設後40年を経た現有188センチ望遠鏡を新鋭の望遠鏡に置き換えて先端的研究を推進するとともに、他大学とも連携して運用することを通じて、国内における観測研究や装置開発の拠点とし、かつ若手研究者育成のための研究教育装置として有効利用を図る事を目指す将来計画が、京都大学理学部から提案された。この計画は国立天文台においても積極的に受け止められ、上記目的達成のための施設移管や整備について京都大学と協力して推進する意向であることが確認された。それらの提案を受けて本委員会として議論した結果、この将来計画は、本委員会が目指す大学における天文学の研究教育基盤の強化という方向に合致しており、天文学研究の総合的な発展のため早期に実現するよう積極的に推進すべきであるとの結論を得た。」 と書かれています。天文研連は日本の天文学者の総意をまとめる機関であり、ここにおいて、初めて京大の計画が日本の天文学のコミュニティからサポートを受けました。2002年2月には飛騨天文台の太陽望遠鏡整備の概算要求が認められたため、2003年度の概算要求としては3m級望遠鏡計画が理学部(大型設備概算要求)の実質1位となりました。

  • 技術目標  研削加工技術の導入(2004〜2005)
2003年4月には、再び学術会議天文研連で、特別議事録「大学における光赤外線観測天文学の研究基盤の強化について」が発表されました。ここには、「京都大学の 3.5m望遠鏡計画は、新技術による軽量望遠鏡を西日本で最高の観測サイトである国立天文台岡山天体物理観測所内に設置し、すばる望遠鏡や我が国の赤外線衛星 Astro-Fとの連携により、宇宙の突発現象の分光学的追求と星形成史の解明を目指す計画である。また、西日本の多くの大学と密に連携し、西日本における天文学の教育研究の拠点を形成する。」 と書かれ、「日本学術会議天文学研究連絡委員会は我国の天文学コミュニティの総意を代表して、これらの計画が順次、早期に実現することを強く望むものである。」 と結ばれています。

研削加工技術の導入(2004〜2005) この頃から研削技術の応用を検討開始しました。2004年5月頃には、この頃、名古屋大学光赤外線天文学(Z)研究室が望遠鏡計画に加わりました。 2005年5月には、新たな学術会議天文研連特別議事録「大学における光赤外線観測天文学の推進について」が発表されました。ここでは 「大学が大学院教育や特色ある独自研究を進めるために固有の望遠鏡を持つことの重要性については、すでに1994 年の日本学術会議天文学研究連絡委員会報告『21世紀の天文学長期計画』において深く検討され、強調されてきた。また2000 年文部省学術審議会特定研究領域推進分科会宇宙科学部会報告『我が国における天文学研究の推進について』においても、同趣旨の勧告がなされている。」 ということが強調された上で、「京都大学を中心として、技術的な側面の研究開発に重点をおいた3m望遠鏡を国立天文台岡山天体物理観測所のサイトに設置する。ここでは、次世代超大型望遠鏡への技術開発研究や機動性を生かした観測課題を追求する。とりわけ、研削による鏡面製作や分割鏡の新方式制御を目指し、国内産業とも密接なかかわりを持つ実験望遠鏡として、大学での教育や人材育成に貢献する。」 「日本学術会議天文学研究連絡委員会はわが国の天文学コミュニティの総意を代表して、光赤外線天文学の領域において大学が最優先で推進すべきTAO 計画及び新技術実験望遠鏡計画を核とした東京大学と京都大学の計画が早期に実現することを強く望むものである。」 と結論づけられました。 また、2005年6月、東大との間に、「東大および京大の望遠鏡プロジェクト推進に関する協力関係についての協定」が結ばれました。東大が推進するアタカマ望遠鏡計画と京大が推進するセグメント鏡開発に基づく実験望遠鏡計画を、お互いの協力の基に推進しようという協定です。

  • 産学連携体制
産学連携による望遠鏡開発 (2005年〜 ) 2005年前期にプロジェクトに大きな進展がありました。京大理学部宇宙物理学教室の卒業生、藤原洋氏(インターネット総合研究所代表取締役所長)から資金提供を受けて、産学連携で望遠鏡の基礎技術を開発し、同時にその技術を産業界にフィードバックすることにより、産学連携で3m級望遠鏡を作ろうというプロジェクトが始まったのです。 2005年11月にはそのための企業、ナノオプトニクス研究所が設立され、同研究所の設立資金、望遠鏡建設費約10億円は、藤原洋氏が個人の資産から提供されました。 2006年8月には、京大院理宇宙物理教室、同附属天文台、名大院理光赤外天文研究室、国立天文台岡山観測所、ナノオプトニクス研究所との間で4者の協力に関する覚書が締結され、民間の支援による本望遠鏡計画の全貌が、記者発表されました。 2007年10月にはナガセインテグレックス社において、望遠鏡鏡研削用の研削加工機(建設費約4億円)が完成し完成披露式が開催されました。

京大3.8m望遠鏡計画


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