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概要

目的

東南アジアと連携する天体観測拠点の形成(Southeast Asian Astronomical Observatory Network)は観測天文学でアジアをリードする日本がインドネシアとベトナムの天文学の発展を支援し、これら3か国が有する人材、観測設備、科学技術を交流させる拠点の構築を目指します。

背景

 観測天文学のレベルはその国の経済力と地理的要因に強く依存します。 その理由は、望遠鏡が極めて高価であり、扱うには高度な技術を要し、地上から観測できる天域は観測所の立地に依存するからです。 したがって、古くは経済的に豊かで世界中に植民地を有する欧州で観測天文学は発展し、1900年ころから米国が台頭してきました。
 日本も高度経済成長期に複数の大型望遠鏡とともにハワイや南米に進出し、観測天文学において世界のリーダーの一員となりました。 そのころ、欧米は日本に望遠鏡を輸出するだけでなく観測技術などを伝道し、日本と共同研究を行うことで互恵関係が築かれました。
 現在、アジアの経済発展は目覚ましいものがあります。 一方、観測天文学は大規模化し、 日本単独での大型望遠鏡建設は容易ではなくなります。 かつて欧米との関係がそうであったように、日本の観測天文学の発展を維持するためには、日本の有する望遠鏡と観測技術をアジア諸国に広め、日本がアジア諸国と協同することが重要です。

 京都大学附属天文台と宇宙物理学教室は国内屈指の観測天文学の拠点であり、東アジア地域最大のせいめい望遠鏡を2018年に独自の技術開発で完成させました。
 また京都大学の天文研究者らは長年アジア地域から留学生を多く受入れ、京都大学で教育を受けた学生らが学位取得後に母国に帰り、その国の天文研究の拠点形成に貢献してきたという歴史もあります。
 特に経済発展めざましいインドネシアは典型であり、間もなく東南アジア最大となる、せいめい望遠鏡の姉妹機(Timau望遠鏡)を完成させます。 京都大学はこの計画の発足当時からインドネシアを技術支援しきましたが、完成後はインドネシアが観測技術を修得するための支援も行います。
 インドネシアに加え、そこから少し遅れるようにベトナムが発展しつつあり、 せいめい望遠鏡の姉妹機を建設するためのプロジェクトを発足させようと研究者らが奔走しています。 数年前から、プロジェクトの進め方やその望遠鏡で行うサイエンス検討を本事業の参加メンバーらが支援して来ました。 2024年も口径40cmの望遠鏡をベトナムに貸し出し、ベトナム国内で報道されました。