水曜雑誌会 (Wednesday Seminar)

水曜雑誌会は、恒星物理や太陽・プラズマ物理に関する論文、自身の研究等を紹介しあうセミナーです。

schedule

seminar in 2016b

後期の雑誌会の発表内容と予定です。

日付発表者(予定)題名・発表内容
10 月 5 日今田
9月に開催された学会や研究会の 報告やいろいろな人の講演等を紹介する予定です。時間配分等は 何も考えていないので超過しそうな場合でも15時になったら終了 しますが、核心に迫る質問をされても多分分からないので予定外 に早く終わるかも知れません。内容はもはや恒星なのかどうかも 不明ですが以下に関連しそうな論文等をあげておきます。他の大学 が運用しているorしようとしている望遠鏡の紹介が2,3項目ありま すので望遠鏡の仕様と相談して可能なサイエンス等を一緒に考えて みましょう。

関連しそうな論文等(予定)
Chopra & Lineweaver(2016) AsBio 16.7, Oishi,M. & Kamaya,H.(2016) Ap&SS 361.66, Kulkarni+(2007) Nature 447.458, Tylenda+(2011) A&A 528.114, Bond+(2003) Nature 422.405, Watanabe+(2016) cosp 41.2051, Sakanoi+(2014) SPIE 9147.8

10 月 12 日野上
「京大岡山3.8m新技術望遠鏡の現状とこれから」

というタイトルで、先日行われた岡山ユーザーズミーティングでの 皆さんの発表から抜粋して報告します。再来年度に稼働予定の 望遠鏡で、どのような装置が予定されていて、どのような運用に するのか、皆さんと情報を共有したいと思います。

10 月 19 日前田
タイトル: Ia型超新星の親星について

要旨: 宇宙論における標準光源として加速膨張の発見につながったIa型超新星であるが、そ の起源については30年以上にわたる論争に決着がついていない。(a)主系列星ある いは巨星から降着を受ける白色矮星、(b)白色矮星同士の合体、という二つの説が 有力であり、様々な観測手法によりこの二つのシナリオの優劣をつける試みが行われ ている。近年、Ia型超新星には様々な観測的多様性が発見されており、Ia型超新星の 親星システムには多様なものが混在する可能性すら指摘されている。本講演では、ま ずそれぞれのシナリオについて紹介し、理論的に親星、爆発の性質、環境の間にどの ような関係が期待されるかを議論する。これをもとに、近年急激に増大する新たな観 測データによりIa型超新星の親星や爆発機構にどのような制限がついているか、その 現状を紹介する。

10 月 26 日木邑
タイトル:Rapid Optical Variations in the Second Outburst      of V404 Cygni in 2015

アブストラクト:  X線新星V404 Cygは、昨年の6月と12月に短いアウトバースト を示した。6月のアウトバーストでは規則的なパターンを持つ可視光 変動がよく観測され、Kimura et al. (2016a)ではその変動に焦点を 当てていた。しかし、12月のアウトバーストでは、可視光・X線の 同時観測データの解析から、規則的な変動とは別の起源を持つ と考えられる可視光変動も見つかった。  本発表では、主に12月のアウトバーストの可視光・X線データの 解析結果を紹介し、V404 Cygのアウトバースト中に見られる様々な タイプの光度変動の起源について議論する。また、12月のアウト バースト中の光度変動の性質を調べる鍵となった、ベイズ統計を 用いた多波長の光度曲線のtime lag見積もり法も紹介する。

11 月 2 日松岡
「活動銀河核と星形成の関係」 というタイトルで最近投稿した以下の論文を紹介したいと思います。

・Nature of hard X-ray (3-24 keV) detected luminous infrared  galaxies in the COSMOS field, submitted to ApJ ・Chemical enrichment and accretion of nitrogen-loud quasars,  submitted to A&A
前半は、X線天文衛星NuSTARによって検出された高光度赤外線 銀河(e.g., ULIRG)に着目した"AGN活動と星形成活動"の関係 について紹介します。ULIRGなどのダストに埋もれた種族は巨大 ブラックホール(SMBH)への急激な質量降着や爆発的な星形成 を示すと考えられており、銀河とSMBHの共進化の理解において も非常に興味深い天体です。 後半は、AGNの広輝線領域における化学組成、特に窒素存在量 からみたAGN活動性と星形成の関係(Eddington比と窒素存在量 の関係)について紹介します。化学組成に着目することで、BH への質量降着がどのような種族の星から影響を受けているのか という視点からAGNと星形成の関係を議論します。
11 月 9 日谷本
題名:隠された活動銀河核と非一様トーラスからのX線スペクトルモデル

概要:
前半:Compton-thick AGN(logNH > 24 cm-2)は、 超巨大ブラックホール(SMBH)と銀河の共進化を知る上で、重要な天体である。 そこで私達は、X線天文衛星「すざく」によって観測された、 Compton-thick AGNの統一的な解析を行い、その統計的な性質や Compton-thin AGN(Kawamuro et al. 2016a)との比較を行った。 本発表では、これらの結果について紹介する。 (Tanimoto et al. 2016 in prep)

後半:AGNの周囲に存在するトーラス構造は、 SMBHへの質量降着の役割を担っており、その構造を調べることは、非常に重要である。 近年、様々な観測結果から、このトーラスは非一様な構造をしていることが示唆されている。 実際、赤外線に適用可能な非一様トーラスモデル(Nenkova et al. 2008)が作成されているが、 X線スペクトルに適用出来るようなモデルは、ようやく作成され始めた段階(Liu et al. 2014, Furui et al. 2016)である。 そこで私達は、モンテカルロ輻射輸送計算フレームワーク、 MONACO(Monte Carlo Simulation for Astrophysics and Cosmology)を用いて、 Nenkova et al. 2008と同様の非一様トーラスからのスペクトルモデル作成に取り組んでいる。 本発表では、現在の状況及び今後の展望について紹介したい。 (現在、大規模なシミュレーションが終わり、テーブルモデルを作成中なので、 水曜雑誌会に間に合えば、実際のX線スペクトルに適用した結果まで紹介したい。)

11 月 16 日幾田
表題: 差動回転とダイナモ機構について

概要: 恒星の磁気活動はトロイダル磁場とポロイダル磁場を組み合わせたダイナモ機構に依るとされている。ダイナモ機構による黒点の生成消滅や活動の周期性を理解する上で差動回転を測ることは不可欠である。 そこで差動回転を測る1つの手法として、ケプラー衛星の恒星の測光観測による光度曲線を理論的に再現し、差動回転を含めた様々なパラメータを推定することを試みている。本発表ではダイナモ理論の紹介を中心に、議論する予定である。

11 月 23 日勤労感謝の日


11 月 30 日堀(D2中間発表)
タイトル: ブラックホール連星 4U 1630-47 に おける円盤風起源の解明及び MAXI/GSC による銀河面 X 線 カタログの作成

アブストラクト: BH への高質量降着時における円盤状態の研究に最適な天体である。BH 連星から放出される降着円盤風は、 質量降着率と同程度の質量放出率を担うと考えられ、降着円盤全体の力学や、周辺環境への影響を理解する 上て 重要て ある。今回は 2015 年 2 月、HSS にある BH 連星 4U 1630 47 を「すさ く」およひ NuSTAR を用いて観測した結果を報告する。今回行った 3 回の観測中における光度変化はわす か 1.3 倍程度て あった にもかかわらす 、鉄 K 吸収線の等価幅は大きく変化していた。光電離フ ラス マのシミュレーションを用いて 吸収線を定量的に解析することにより、円盤風の起源について議論する。
次に、BH連星観測の基礎研究となる銀画面カタログ作成の現状について報告する。銀河系内の X 線天体は 星の終末を迎えた天体か 多く、天の川銀河形成史を研究する上て 非常に重要な対象て ある。銀河面カタロク の 作成はこういった研究の根幹をなす。しかし、銀河面を含む低銀緯領域は、明るい天体の数密度か 大きく天体 混入の影響か より厳しくなることから、解析か より困難て あった。我々は従来使われていた点源応答関数を、 より実際の観測データに即したものへ改良することで、明るい天体周りのフィッティング精度を向上させるこ とを目標としている。本発表では解析の現状と将来の展望について議論する。

12 月 7 日休会
MAXI国際会議

12 月 14 日榎戸
題名: NICER プロジェクトの概要と観測

中性子星内部の高密度状態方程式の解明を目指し、質量と半径の精密測定を行う大面積 X 線 観測装置 Neutron star Interior Composition Explorer (NICER) は、2017年の初頭に Space X のロケットで打ち上げられ、国際宇宙ステーションに設置されて観測を行う予定である。 NICER は中性子星の熱放射が卓越する 1.5 keV 付近で XMM-Newton 衛星の2倍ほどの大有効 面積と、RXTE 衛星を上回る高い時間分解能を誇り、コンパクト天体の時間変動解析で威力を 発揮すると期待できる。雑誌会では NICER のプロジェクトの現状や観測装置の特徴、サイエンス 検討委員として準備しているマグネター等の観測を紹介するとともに、榎戸が興味を持っている 以下の観測テーマについても紹介する。(1) 定常重力波の候補である高速回転する弱磁場中性子星 の自転周期をX線の QPO 観測から計測できるか?(2) Fast Radio Burst (FRB) との関連で注目が 集まっている Crab Pulsar の Giant Radio Pulse (GRP) に X線同時観測で迫れるか?(3) 太陽系から 最も近い系外惑星をもつプロキシマ・ケンタウリの恒星の可視光とX線の同時観測から何がわかるか? また、時間が余った場合には、ULX パルサーの最近の新発見、強磁場電波パルサーや Compact Central Object (CCO) からのマグネター活動の発見といった話題も紹介する。

12 月 21 日北木
title: 超臨界降着流の輻射輸送計算

abstract: 超臨界降着と呼ばれる、質量降着率がエディントン限界を超えるガス降着現象がある。この系の特徴として、輻射圧が卓越するためにアウトフローが生じるはずである。実際、超臨界降着流のシミュレーションではアウトフローが生じることがわかっている(Ohsuga et al.2005)。Kawashima et al.2012では、恒星質量ブラックホール(10太陽質量)への超臨界降着流の連続光スペクトル計算が行われた。この結果は、超臨界降着を起こしていると考えられている超高光度X線源(典型的な光度は10^{39~41}[erg/s])の観測データをうまく説明することができた。Pinto et al.2016では超高光度X線源のスペクトルにラインを観測したとも報告されている。 また、アウトフローの速度は0.1c程度であるため、ラインに大きな影響を及ぼすはずである。しかしラインを含めた超臨界降着流のスペクトル計算は今までに行われていない。そこで私は3次元輻射輸送計算を用いたスペクトル計算に取り組んでいる。 今回は超臨界降着流の多次元輻射流体計算(Ohsuga et al.2005)で得られた密度、温度、速度場を元に簡単にモデル化した計算を行った。その結果、このモデルではアウトフローは観測方向へ流速が向いているため、青方偏移された鉄輝線が見えること、また、別方向へ流速を持つガスからの赤方偏移された光子も、同じぐらい見えることがわかった。このようにラインが様々なエネルギーへドップラーシフトするため、特定のエネルギー光子のスペクトル強度は相対的に弱まり、ラインは連続光に埋もれることがわかった。本発表では超臨界降着流のスペクトルに関する私の行った計算結果を中心に議論をする。

12 月 28 日磯貝
タイトル: Total Variation Minimizationを用いたEclipse Mappingの開発

アブストラクト:Eclipse Mappingとは、矮新星の食のlight curveから 円盤の輝度分布を再構築する手法で、1980年代から行われてきた。 しかし、light curveの1次元情報から2次元の円盤を完全に再現することは 原理的に不可能であるため、いくつか仮定をおくことで再現を試みる必要がある。 従来使われてきた最大エントロピー法(MEM)では、円盤状のエントロピー(情報量)が 最大になり、かつ軸対称になるような円盤を仮定していた。 しかし、エントロピーを最大にする場合、局地的に明るい構造があるような円盤は 苦手としている。にもかかわらず、MEMが使用されているのは他の手法が天文分野では 確立されていないためである。そこで、我々はTotal Variation Minimization(TVM)を 用いた手法の確立を目指し、研究をすすめている。TVMは円盤画像の隣接ピクセルの 差を最小化する手法で、「微分空間でのスパース性」を仮定する。これにより、 hot spotや衝撃波のような鋭い構造の再現が期待されている。 今回はその進捗を報告する。

1 月 11 日川室(D論発表練習)
- タイトル X 線を用いた活動銀河核の中心核構造と超巨大ブラックホールによる星潮汐破壊現象の光度関数の研究

- アブストラクト 博士論文は、おおまかに X 線を用いて二つの天体現象 (活動銀河核 (AGN: Active Galactic Nucleus) と超巨大ブラックホール (SMBH: Supermassive Black Hole) に よる星の潮汐破壊現象 (TDE: Tidal Disruption Event)) を研究した結果からなる。 本発表では、以下に述べるように、それぞれについて得られた結果の中から抜粋して 前半と後半に分けて紹介する。

(前半) AGN の統一モデルによれば、降着質量の供給源と考えられるトーラスから降着円盤を 通じて SMBH に質量が供給されると考えられている。したがって、トーラスや降着円 盤構造が AGN 活動性とどのような関係にあるかを調へ ることは重要な課題て ある。 降着円盤やトーラスの調査には、広帯域 X 線観測か 非常に有効て ある。連続成分を 特徴付ける光子指数から降着円盤とそれに付随する X 線放射コロナの性質の調査、 連続光の吸収量からトーラスの水素柱密度を計測、トーラス由来の鉄輝線と 30 keV て ハンフ を持つ反射成分の検出、そして、硬 X 線の高い透過力から光度を正確に見 積もることか て きるからて ある。そこて 我々は、吸収によるハ イアスか 最小限な硬 X 線 Swift/BAT 70ヶ月カタロク から、「すさ く」て 観測された二つの種族に着目し て、系統的解析を行った。

まず、適度に吸収を受けた中高光度 AGN (水素柱密度 log NH = 2224 cm^-2, X 線 光度 log Lx > 42 erg s^-1) 45 天体に着目し、広帯域 X 線スヘ クトル (0.5--150 keV) の解析を行った。結果、以下の事実を突き止めた。(1) 光子指数はエテ ィント ン比と正の相関を示す。これは理論的に、質量降着の増加に伴って放射が高くなり、 コンプトン散乱によるコロナの冷却が効くことで、より高いエネルギーの電子が減る ため光子指数が大きくなるというモデルで説明できる。(2)トーラス構造の立体角に 相当する鉄輝線の硬 X 線連続成分に対する光度比か X 線光度の増加に伴って小さく なる。この事実は、光度の増加に伴ってトーラス内縁半径か 後退し、立体角が小さく なる描像と定性的に一致する。

次に、我々は、10 個の X 線低光度 (log Lx < 42 erg s^-1) AGN に着目し、同様に 広帯域 X 線スペクトルの解析を行った。そして、先程の低光度でない AGN の結果の 予測に反する以下の二つの事柄を発見した。(1) エディントン比と光子指数が負の相 関を示す。この事実は、標準降着円盤がブラックホール近傍まで伸びていず、代わり に 放射非効率降着流が形成されている可能性を示唆する。(2) 鉄輝線の硬 X 線連続 成分に対する光度比か X 線光度の増加に伴って大きくなる。また、特にエテ ィントン 比の小さい (< ~ 2x10^-4) 2 天体て 、トーラス由来の鉄 K 輝線か 有意に検出されな かった。結果、低光度 AGN では、光度増加によるトーラス内縁後退モデルがあてはま らず、光度に変わりエテ ィントン比か トーラス構造を理解するうえで重要な物理量た と示唆された。

(後半) 星が SMBH 近傍に近づくと潮汐力によって破壊され、SMBHに質量降着が起こる (TDE)。TDEの機構を理解し、SMBH 成長への寄与を解明するために、その発生 頻度のピーク光度依存性(光度関数)を観測的に明らかにすることは極めて重 要である。そこで、我々は、まず MAXI による 37 ヶ月の全天探査により、突 発的な現象を系統的に検出した。そして、光度曲線が -5/3 の冪乗で減衰する という TDE の特徴を用いることで、4 例のTDE が MAXI で検出されることを 確認した。得られた TDE サンプルを用いて、TDE発生頻度の硬 X 線ピーク光 度依存性を決定した。この際、スペクトルモデルとして降着流からの放射と、 相対論的ビーミングを受けたジェットからの放射を考慮した。また、SMBH の質 量関数、潮汐破壊される星の質量関数、TDE 発生頻度の SMBH 質量依存性、そ して、ジェットを伴う TDE の割合を用いて、発生頻度のピーク光度依存性をモ デル化し、最尤法でパラメータを決定した。結果、相対論的ジェットを伴う TDE の割合は、0.0007--34\% だと推定された。また、赤方偏移 $z <$ 1.5 におい て、TDE による SMBH 質量密度進化への寄与が AGN と比較して極めて小さいこと を突き止めた。


1 月 18 日集中講義(青木和光さん)


1 月 25 日小田
題名: NICER プロジェクトの概要と観測

中性子星内部の高密度状態方程式の解明を目指し、質量と半径の精密測定を行う大面積 X 線 観測装置 Neutron star Interior Composition Explorer (NICER) は、2017年の初頭に Space X のロケットで打ち上げられ、国際宇宙ステーションに設置されて観測を行う予定である。 NICER は中性子星の熱放射が卓越する 1.5 keV 付近で XMM-Newton 衛星の2倍ほどの大有効面積と、RXTE 衛星を上回る高い時間分解能を誇り、コンパクト天体の時間変動解析で威力を 発揮すると期待できる。雑誌会では NICER のプロジェクトの現状や観測装置の特徴、サイエンス 検討委員として準備しているマグネター等の観測を紹介するとともに、榎戸が興味を持っている 以下の観測テーマについても紹介する。(1) 定常重力波の候補である高速回転する弱磁場中性子星の自転周期をX線の QPO 観測から計測できるか?(2) Fast Radio Burst (FRB) との関連で注目が 集まっている Crab Pulsar の Giant Radio Pulse (GRP) に X線同時観測で迫れるか?(3) 太陽系から 最も近い系外惑星をもつプロキシマ・ケンタウリの恒星の可視光とX線の同時観測から何がわかるか? また、時間が余った場合には、ULX パルサーの最近の新発見、強磁場電波パルサーや Compact Central Object (CCO) からのマグネター活動の発見といった話題も紹介する。

2 月 1 日修論発表練習(木邑,谷本,幾田)


2 月 8 日行方
Title: 太陽型星の差動回転の測定から迫る、スーパーフレアと恒星ダイナモ

Abstract: 近年、Kepler衛星の高精度測光により太陽型星で巨大黒点・スーパーフレアなどの磁気的現象が多数報告されてきました(e.g., Maehara+2012)。これらの生成過程を理解するには、星内部で如何にして磁気的エネルギーが蓄えられるのか(恒星ダイナモ)を理解することが必要です。太陽においては「差動回転」と呼ばれる角速度の異なる流れ場が、磁場の蓄積に重要な役割を果たしていると考えられています(Parker 1955)。本研究の目的は、この「差動回転」が星の活動性と如何に関わっているのかを理解することです。 本発表の前半では、太陽ダイナモ理論を簡単に紹介し、後半では恒星の測光観測から導出した「差動回転」と星の活動性との関係性を議論します。

2 月 15 日若松
Title: WZ Sge型矮新星ASASSN-16egの観測的研究

Abstract: 矮新星は激変星の一種であり、伴星から流れ込む物質によって主星の周りに形成された 降着円盤が急激に主星に降着する際に、突発的な増光であるoutburstが観測される。 矮新星の中にはさらに明るく増光する天体があり、これらはWZ Sge型矮新星と呼ばれる。 WZ Sge型矮新星は軌道周期が極めて短く、また主星に対する伴星の質量比も極めて小さく、 激変星進化の最終段階にいると考えられている。 本発表では、2016年4月に発見されたWZ Sge型矮新星ASASSN-16egについて報告する。 ASASSN-16egはWZ Sge型矮新星としては特異に大きな質量比(q)と長い軌道周期(Porb)を持っており、 通常、このような大きな質量比を持ったWZ Sge型矮新星は存在しないと考えられていた。 このような長い軌道周期を持ったWZ Sge型矮新星は他にも報告されており、 今回はこれらのlong-Porb WZ Sge型矮新星も含めた解析結果について紹介する。

過去の雑誌会の内容はこちらに。
2016 年度前期
2015 年度前期
2015 年度後期
2014 年度前期
2014 年度後期
2013 年度前期
2013 年度後期
2012 年度前期
2012 年度後期
2011 年度前期
2011 年度後期
2010 年度前期
2010 年度後期

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2016 年度世話人: 磯貝
isogai_[あっと]_kusastro.kyoto-u.ac.jp