(7/19追加分)
その後 天頂距離45度に対応する状態で、さらに2つの姿勢で計算してみました。
前の3つの場合と同様、20μm程度の違いが出ています。
ただ、心配すべきなのは、(おそらく) MAGNUM望遠鏡のポート面に対応するところで
アダプターが曲がってしまい、筐体の変形に寄与してしまう事だと思います。
斜めに傾いたり、上下左右方向に位置がずれる事については、micro pupil
の位置の姿勢差にほとんど影響しないはずです。
- 傾き
分光器から見た副鏡の位置がずれる事によってMPの位置がずれますが、
数十ミクロン程度では全く影響しません。
- 上下左右方向の位置ずれ
これも副鏡の相対的な位置がMPの位置に影響しますが、上と同様ほとんど影響ありません。
また、(分光器に対する)焦点面の移動、視野の移動が伴いますが、
これに関しても影響はほとんどありません。焦点面スケールは約2".0/mmなので、
10μmのずれは、見ている場所が0".02移動する事に相当します。
※この辺りの議論については
こちらを見てください。
アダプターに補強用の板を付けた場合を想定して構造解析を行ってみました。
補強としては
こんなものを付けてみました。
付けていない時の絵と比べてみて下さい。
モデルの中ではアダプターを一枚の板として取り扱っていたので、
上の絵のような箱形にはならず、レールのような形になります。
そういう意味で、実際よりは弱くなっているかもしれません。
補強用の板の幅を15cm、厚さを2cmとして計算してみました。
- 望遠鏡と分光器の間に入る板の厚さを30mmとした場合
アダプターとコンテナのフランジ面だけを取り出した、
変形図 ,
コントア です。
アダプターの中央部で最大となっていますが(〜31μm)、
分光器と接触している範囲では16-31μmの変位なので、
筐体に与える影響としては15μmといったところです。
十分な強度と言っていいと思います。
- 望遠鏡と分光器の間に入る板の厚さを10mmとした場合
この場合、望遠鏡側のガイド系を使用することが可能となります。
アダプターとコンテナのフランジ面だけを取り出した、
変形図 ,
コントア です。
最大の変位は約65μmで、分光器と接触している範囲では20-65μmです。
この程度の変形であれば、結像性能にはほとんど影響しないと言っていいと
思います。そういう意味では、補強なしで板を30mmの厚さにした場合でも、
大丈夫と言っていいかもしれません。
おそらく一番大きな制限となるのは、MLAモードの場合で、
姿勢差によってマイクロピューピルが動かない (<1pixel)
という条件だと思います。
いくつかの姿勢で「10mmの板+補強板」の計算をしてみました。
下にある図は、それぞれの場合の分光器取付面の変位をコントアで表したものです。
各図で、左側に基盤が付いていて、CCDは上の方に位置しています。
光は手前から画面の奥に向かって入っていきます。
一番右にある数字が変位量を表しており、
コントアは12μmから66μmまで、6μmごとにプロットしてあります。
各コントア図の右上にある記号は重力の方向を表していて、
左側の図が画面の手前から奥に向かって力が働いている場合で、
望遠鏡が天頂方向を向いている状態に対応しています。
真ん中の図は 画面奥行き方向 と 左向き の中間方向、
右側の図は 画面奥行き方向 と 下向き の中間方向に力が働いている場合で、
両方とも天頂距離が45度の状態に対応しています。
大ざっぱに言って、姿勢によって20μm程度の差が出ている事になります。
この結果が、
マイクロピューピルの移動にどう影響するかを直接評価することはできないのですが、
それ程心配する必要はないのではないかという気がしています。
MAGNUMのポートに対応する所だけを見ると姿勢差はほとんどありませんし、
分光器を固定する点が増えている分、強度は大きくなっているはずです。
以前、MAGNUMのポート面が無限に強く、
そのポート面に分光器を取付けた状態を想定して姿勢差を評価しましたが、
その時とあまり変らないのでは、というのが
(かなり推測が入っていますが) 現時点での結論です。