波面センサー
6/16に三鷹に行き、高見さんと話をしてきました。
- 現在のA.O.を可視域で使用した場合に得られる性能について
通常 (seeing 〜 0".5) は、点源のピークが数倍になり、空間分解能が数割改善
される程度。
※FWHMでいうと数倍良くなるが、光の大部分はハローに行く。
非常に条件の良い場合は (e.g. seeing 〜 0".3 , 明るいガイド星がすぐそばに
ある等) 、回折限界の像がはっきり見えてくる(R,I-band)。バクチ的な要素もあ
るが、うまく行けば大きな成果をあげられる可能性がある。
高見さんから、
A.O.の性能評価をon-lineでやってくれるページを教えてもらいました
(CFHTのA.O.なので、すばるの場合に適用するにはパラメーターや結果の数値
を換算する必要があります)。
計算例です。
上記のホームページで、幾つかのパラメーターを用いて計算を行ってみました。
シーイングが0".5の場合と
0".3の場合です(観測波長は6500Å)。
ガイド星の等級が10 - 18等の場合、ガイド星とオブジェクトの距離が
0" - 16"の場合を計算しています。横の並びがガイド星の等級を変えた場合、
縦の並びがガイド星とオブジェクトの距離を変えた場合になっています。
画像のサイズが大きくなっているので、プリントアウトして見た方がいいと
思います。リクエストがあればコピーして持って行く(or 送る)ので、
言って下さい。
※注意
縦の並びは、ガイド星の明るさを与えた時どの程度の範囲で像が改善されるのか、
という見方をすることもできます。
シーイングが0".3の時は、 m<14 mag. のガイド星であれば、半径20"程度の範囲
に渡ってシャープなイメージが得られることがわかります。
- 方針について
現在のA.O.では、長波長側(R,I-band)で主に使用する事が考えられるわけですが、
波面センサーの検出器の感度や大気分散を考慮して、センシングもR-bandやI-band
で行われる可能性が高いです。つまり、2号機でA.O.を使用する場合、波面センサー
と分光器で光を分け合うことになります。
実際には、観測の時に「像の改善」か「フォトン数」を選ぶことになると思いま
すが、シーイングによって結果が大きく変る事を考えると、その場でA.O.を使用
するかしないかを選択できるのが望ましいでしょう。が、おそらくそれを可能に
するようなコンテナ、A.O.用の筐体の設計にはかなりの労力が必要になると思わ
れます。高見さんは、このようなメリット,デメリットを
(+ どのようなサイエンスを行うかも) 考慮した上で、
A.O.を使用するかどうかを決定してほしい、ということを強調していました。
ただ、専用のコンテナを作れるかどうかも分からない現在、
A.O.対応にするためにどのくらいの労力が必要かの評価が難しく、
判断がしにくいところです。
個人的には対応させる事が完全に不可能でない限り、
A.O.を使いたいと思っているのですが‥‥‥。
当面は全てを解決できる解がないかどうかを模索していくことになると
思います。
- ガイド系について
6/18のミーティングの議事録
で報告したように、現在の筐体では自前のガイド系
がなんとか使えそうな事が判明したわけですが、A.O.対応にした場合にどうする
のかが問題になってきました。波面センサーを付けた状態でA.O.を使いたくない
時に、ガイドをどうするかという問題です。望遠鏡側のガイド系にレンズを入れ
るという解がなくなったので、それ以外の方法を考えなければならなくなったわ
けですが、2号機のガイド系は波面センサーとは共存しません。現段階で考えられ
可能性としては、
- ガイド系周辺を改造する
- 分光器の方に新たにレンズを追加して焦点位置をずらし、望遠鏡側のガイド系
を使えるようにする (石垣さんのコメントより)
というのがありますが、僕一人の手には余る問題なので、相談しながら詰めていく
ことになると思います。