効率

各レンズに対して単層膜防反射コーティングがほどこされている状態 において、 370 nmから900 nmまでのどの波長においてもコリメータ系+カメラ系に 対する透過率が50%を越えるように設計されている。 430 nm付近で〜70%というピークを持ち、360nmでもほぼ40%と いう設計になっている。 単層膜防反射コートの設計は、短波長側で反射を防ぐことに特に重み がおかれている。

Fig. 14にFPモードとIFSモードにおいて期待される3DII の総効率を示す。 この計算には、レンズ、鏡、フィルタ、FP/MLA等全ての光学素子と、 CCDの量子効率が含まれている。 赤外シミュレータでの試験観測においては、赤外望遠鏡であるために 観測波長が赤色に限られることや、天気が安定しなかったことなど、 総効率を観測から求めることは困難であったが,赤色の波長帯におい て大雑把に予想通りの結果が得られたことは第3.4.2節 で述べた通りである。 図には、コリメータレンズを除いたレンズと鏡に多層膜コーティング がほどこされている場合も示した。 現在、 R & Dによる国立天文台との協力により、多層膜防反射コート の開発を行っている。 我々は、まず、単層膜コートのものですばるでの観測を行う予定であ るが、その後、多層膜コートの技術が確立した段階で、多層膜のもの に置き換える。 単層膜コートで予想される効率から見積もられる、観測によって得ら れる``限界"の明るさをFig. 15に示した。

\begin{figure}\begin{center}\begin{tabular}{c}\psfig{figure=trans3dii.ps,height=12cm} \end{tabular} \end{center} \end{figure}
図 14: 3DIIにおいて期待されるトータルでの効率。 ``AR"は多層膜防反射コートが施されている場合。 ファブリペロモードは現在のところ700 nm以下の波長が使用できる。

 
 
\begin{figure}\begin{center}\begin{tabular}{c}\psfig{figure=noiseoptfp.ps,wi......\psfig{figure=noiseoptmla.ps,width=8cm} \end{tabular} \end{center} \end{figure}
図 15:(upper)単層膜コートで予想される効率から見積もられる、 ファブリペロモードでの1ピクセルあたりの一様輝線検出 ``限界"。 CCDの読出し雑音を5 e-と仮定した。 (lower) 単層膜コートで予想される効率から見積もられる、 マイクロレンズモードでの1マイクロレンズあたりの一様輝線検出 ``限界"。 ただし、波長方向1ピクセルが150 km s-1に相当し、正しい輝線 強度を得るために波長方向には1000 km s-1分のピクセル数積分 しないといけないという状況を想定。 望遠鏡にはADCを着けた場合を考えた。 なお、ここでは0''.071 × 0''.071 のマイクロレンズに対しての限界を示したが、0''.094 × 0''.094のマイクロレン ズを使用する場合、限界は深くなる。