野村 英子
〒606-8502 京都市左京区北白川追分町 京都大学理学研究科 宇宙物理学教室
居室：理学部４号館 528号室
TEL: 075-753-3892 FAX: 075-753-3897
nomura_at_kusastro.kyoto-u.ac.jp
プロフィール
略歴など
主な研究テーマ
1990年代に太陽系外惑星探査法が確立されて以来、
現在までに500個以上の系外惑星が発見されています。
それらの一部は、特に質量、軌道長半径、楕円率、密度などの点で
太陽系内惑星と大きく異なることがわかっており、惑星系形成論の
見直しが進められています。
一方で近年の観測技術の向上により、惑星形成の母胎である
原始惑星系円盤の詳細観測、
すなわち、惑星形成論の観測的検証が可能になりつつあります。
原始惑星系円盤の主な成分は水素分子ガスとわずかな塵(ダスト)ですが、
惑星系形成標準シナリオによると、円盤内でダスト粒子が合体成長・
円盤赤道面へと沈殿して、やがて固体惑星やガス惑星のコアを形成します。
一方で円盤ガスは、中心星への降着や光蒸発、ガス惑星による捕獲などにより、
やがて散逸すると考えられています。この固体天体の形成時間とガス散逸の
時間差が、惑星系の多様性を生み出す一因と考えられます。
また、円盤ガス中に微量に存在する炭素、酸素、窒素などは、
ガスの温度や密度に応じて化学反応を起こし、様々な分子種を生成します。
さらにダスト表面では星間ガス中で起こる反応よりも複雑な分子種を
生成する反応が起きていると考えられており、生命起源分子種生成との
関連も議論されています。
これらの分子種の遷移線やダストからの放射を観測することにより、
円盤ガスとダストの物理・化学状態、ひいては円盤内での惑星形成過程や
太陽系内物質の起源に関する情報を得ることができます。
私達は、円盤内ダスト進化やガス散逸、円盤内分子組成進化などの
理論計算を行い、さらにその計算に基づいて、惑星形成過程や
太陽系内物質起源に繋がる物理・化学過程が、
原始惑星系円盤の最新の観測によりどのように検証できるかについて
理論的研究を行っています。
より詳しい内容(天文月報記事)
最近の主な査読論文
- "Chemical Evolution of Protoplanetary Disks - The Effects of Viscous Accretion, Turbulent Mixing and Disk Winds" Heinzeller, D., Nomura, H., Walsh, C., & Millar, T.J. The Astrophysical Journal, in press (2011) (astro-ph/1102.3972)
- "Chemical Processes in Protoplanetary Disks" Walsh, C., Millar, T.J., & Nomura, H. The Astrophysical Journal, 722, 1607 (2010)
- "The Herschel view of GAS in Protoplanetary Systems (GASPS). First comparisons with a large grid of models" Pinte, C. et al. Astronomy & Astrophysics, 518, L126 (2010)
- "The Solar Nebula on Fire: A Solution to the Carbon Deficit in the Inner Solar System" Lee, J.-E., Bergin, E.A., & Nomura, H. The Astrophysical Journal, 710, L21 (2010)
- "Effects of Accretion Flow on the Chemical Structure in the Inner Regions of Protoplanetary Disks" Nomura, H., Aikawa, Y., Nakagawa, Y., & Millar, T.J. Astronomy & Astrophysics, 495, 183 (2009)
- "Molecular Hydrogen Emission from Protoplanetary Disks II. Effects of X-ray Irradiation and Dust Evolution" Nomura, H., Aikawa, Y., Tsujimoto, M., Nakagawa, Y., & Millar, T.J. The Astrophysical Journal, 661, 334 (2007)
- "Physical and Chemical Structure of Protoplanetary Disks with Grain Growth" Aikawa, Y. & Nomura, H. The Astrophysical Journal, 642, 1152 (2006)
- "Dust Size Growth and Settling in a Protoplanetary Disk" Nomura, H. & Nakagawa, Y. The Astrophysical Journal, 640, 1099 (2006)
- "Molecular Hydrogen Emission from Protoplanetary Disks" Nomura, H. & Millar, T.J. Astronomy & Astrophysics, 438, 923 (2005)
講義など