アクチュエータ制御実験 5 試験48


フィードバック試験:PSFの横ずれ・縦ずれについての考察

フィードバック試験中に温度変化したときにPSFがずれる原因を考察しました。

まず、始めに温度が変化したときにレーザーがに光が暗くなっているのは、スペーシャルフィルター(対物レンズ+ピンホールによる空間的な"フィルター)の部分で対物レンズに対するレーザーの進入角度が微妙に変化し、対物レンズによるレーザー点像位置とピンホール位置がずれた為に、光量が大きく変化したことが原因のようです。これはレーザーがアルミフレームにじかに乗っているのがけん引と考えられます。

横ずれの原因は試験46(こちら)と試験47(こちら)から、セグメントの上にある位相測定カメラ用につけた鏡の位置ずれが原因です。
更に、大きくアクチュエータを動かした後にアクチュエータを続けて動かしても、PSFが動かず、鏡を軽く叩くと急に動いて落着く、という現象が見られました。
これは、セグメントの上においたマウントと鏡がうまく連動して動かないのが原因で(ハーフミラーホルダー足先の磁石から横ずれ方向の力が伝わり、3点支持から浮き上がってしまう)、鏡の上に重しを乗せる(以下の写真)とこの現象はなくなりました。

縦ずれはセグメントの同士がなす角度の変化が原因ですが(アクチュエータを動かして確認)、特に温度が上昇するとセグメントが[/\]の形に、下降すると[\/]の形に変形するようです。
なす角度を一定にする為、内周セグメントの1番センサの目標カウント値を温度の関数で定義するようにします。
予備試験から、温度xに対する目標カウントyを
y = 900 / 2.33 * (x - 24.33) + 90800
(温度24.33℃のとき90800、温度26.93℃で91700だった。)
となるように設定し、温度を上げ下げしてPSFの様子をモニターしました。

2011.05.10 10:19 24.38℃


ここで暖房 ON

2011.05.10 10:56 25.75℃


2011.05.10 11:15 26.21℃


ここで冷房 ON

2011.05.10 12:02 23.14℃


2011.05.10 13:17 20.03℃


2011.05.10 14:36 19.85℃


※後半3つの画像は、レーザーのスポットが見にくいので画像を編集しています。
暖房をつけてじわじわ温度が上昇している時はPSFの分裂は殆どありませんでしたが、冷房に切り替えると室温とトラスの温度が異なる為か、PSFは分裂しました。
その後、徐々にトラスも冷えていき、変形していくと2つのスポットも近づいていきましたが、落着くのに3時間以上はかかりそうでこの方法でフィードバック制御をかけてモニターは厳しそうです。
実際の運用では、内周-外周セグメント境界でそれぞれ半径方向に互い違いに入り込むエッジセンサを設け、1周円環状に繋がることで内外周セグメント同士のなす角を一定に保つようにします。
(下農さんの主鏡シミュレータの結果による)



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