チェックボックスアイコン 手順9: hydraパッケージの実行

hydraパッケージを使って、スペクトル切り出し・フラット補正・波長校正を行います。 ここが解析の山場と言えるところで、多くの手作業・確認が必要で、慣れるまでは15分くらいかかり、しかも途中で失敗すると最初からやり直しとなります。 もう一度同じ設定で切り出しなどを行うのは簡単にできますので、一度完成してしまえば楽になります。

hydraパッケージの設定をします。

noao
imred
ccdred
hydra

#下記コマンドを実行すると、各種パラメータを変えられる画面になる
#変えたいパラメータにカーソルを移動し、パラメータを入力してエンターキーを押すと、パラメータが書き換わる
#パラメータを書き換えて:goと入力しエンターキーを押すと、実行できる
#実行せずに戻る場合は、:qと入力してエンターキーを押す
epar hydra
#書き換えるパラメータは以下
#observa=okayama-naoj
#interp=linear
#dispaxi=1
#nsum=5 (spec) または nsum=2.5 (spec.2bin)

setinstrument hydra
#最初の画面では何も編集せずに:go
#2番目の画面で書き換えるパラメータは以下
#images=@obs-no5-flip.list (ファイルリスト名に応じて適宜書き換える)
#oversca=no
#trim=yes
#zerocor=no
#interac=no

sed -e s/.fits/.ms.fits/ obs-no5-flip.list > obs-no5-ms.list
awk '{print "rm -f " $1}' obs-no5-ms.list | sh

dohydraを実行します。

#第1引数は入力ファイルリストを指定
#aprefとflatにはフラットフレームを指定
#arcs1に比較光源フレームを指定
#下の例のwidth、minsep、maxsepはspec.2binのもの
#specの時はそれぞれを2倍した値に指定

#1回目、または切り出しをやり直すとき
dohydra @obs-no5-flip.list apref=flat-no5-flip flat=flat-no5-flip arcs1=kls036556-flip fibers=127 width=2.5 minsep=2 maxsep=45 apidtab=fiber_id.dat scatter- fitflat+ clean- skysubt- redo+
#参考: 前回と同じ設定で切り出すとき
ccdproc @obs-no5-flip.list
dohydra @obs-no5-flip.list apref=flat-no5-flip flat=flat-no5-flip arcs1=kls036556-flip fibers=127 width=2.5 minsep=2 maxsep=45 apidtab=fiber_id.dat scatter- fitflat+ clean- skysubt- redo-

#1回目のコマンドを実行すると、"Resize apertures for flat-no5-flip? (yes):"と聞かれるので、noと答える
#続いて"Edit apertures for flat-no5-flip? (yes):"と聞かれるので、こちらはyesと答えると、下図のウィンドウが立ち上がる

dohydra aperture指定

###aperture設定
#フラットフレームのy座標 vs カウント値のグラフから、CCDの各スペクトル位置を求める
#正しくスペクトルを見つけられていることもあるが、この例のように正しく見つけられていないこともあり、編集が必要

#操作方法を一部紹介
#wを押してからa: 全体表示
#wを押してからe e: 一部を拡大表示。1回目のeが左下、2回目が右上
#d: カーソル近くのapertureを削除
#m: カーソル近くのapertureを見つける
#o: ファイバーIDを指定し、他のIDも順番になるように変更する
#a: 各ファイバーか全ファイバーかのトグル
#u: aperture sizeのupper limitを変更
#l: aperture sizeのlower limitを変更
#h: helpを表示

#下図はスペクトルがないところにマーク (ID: 86) されている例
#マーク近くにポインタを持って行き、dを押すとapertureを消すことができる

dohydra aperture指定: 削除

#下図はスペクトルがあるのにマークされていない例 (112番と114番の間)
#マークされていないピーク付近にポインタを動かし、mを押すとマークされる

dohydra aperture指定: 追加

#aperture sizeを修正する
#どれかのピークを拡大し、aを押して全体化した状態でuとlを押し、aperture sizeがlower = -1.25、upper = 1.25 (spec.2bin時; spec時は-2.5と2.5) になるようにする
#できたらqを押して、aperture設定を終了する

dohydra aperture指定: サイズ修正

#"Fit traced positions for flat-no5-flip interactively? (yes):"と聞かれるので、YES (大文字) と答える
#各スペクトルのピーク位置と、それをフィットした線が描かれた図が現れる (下図)

dohydra aperture指定: x方向

#:order 2と入力してエンターキーを押して、フィッティング次数を2にする
#fを押して、フィッティングし直す
#フィッティングがおかしかったり、フィッティング結果 (破線) が途中で切れていたら、元データ (flat-no5-flip.fits) をds9で見ながら、破線が正しいピーク位置になるように、データ点を削除 (d) したり追加 (a) したりする
#フィッティング結果がよければ、qを押して次のスペクトルに進む

#グリズムNo.2使用時、aperture 70付近でスペクトルが伸びている場所を正しく拾えないことがあるので注意

###フラット補正
#全スペクトルのフィットが終わると、x座標 vs フラットのカウント値のグラフが現れる (下図)

dohydra flatカウント

#CCD欠損などで正常でないデータ点 (上図のx = 560付近) を削除 (d) し、フィットして (f) 終了する (q)

###波長校正
#比較光源フレームのスペクトルが現れる (下図)

dohydra 波長校正

#輝線の近くにカーソルを移動し、mを押し、その輝線の波長 (単位: Å) を入力する
#マークすると、マークした輝線の上に線が現れる (下図参照)
#この線が目的とした輝線の上に現れているか確認する

dohydra 波長校正: マーク

#いくつか輝線をマークし、フィット (f) すると下図のようなフィッティング残差を表す画面になる
#縦軸の値がE-12の桁であれば、おそらく正しくマークできている
#間違ってマークされた輝線は、dを押すことでマークを外すことができる

dohydra 波長校正: フィット

#全波長帯にわたって、ほぼ均一に5箇所程度マークすることで、きれいに波長校正できる
#他の輝線を自動で見つける (l) タスクがあるが、輝線が多い波長帯に重みが付きすぎて全体のフィットが悪くなることがあるので、非推奨
#輝線のマークとフィットが終わったら、qを押して終了する

#各グリズムの推奨輝線は下図 (画像クリックで拡大画像表示)
#No.5

dohydra 波長校正: No.5

#No.2

dohydra 波長校正: No.2

#VPH495

dohydra 波長校正: VPH495

#VPH683

dohydra 波長校正: VPH683

#"Fit dispersion function interactively? (no|yes|NO|YES) (YES):"と聞かれるので、YES (大文字) と答える
#各ファイバーで先ほどと同様の画面が出るので、輝線が正しくマークできているか確認する
#マークが外れることは多々あるので (特に波長端の輝線)、大変だけど注意深く確認することが必要

###波長割り付け
#全ファイバーの波長校正が終わると、"Change wavelength coordinate assignments? (yes|no|NO) (no):"と聞かれる
#noと回答して、自動で波長割り付けをしても良いが、私はyesと回答してキリがいい数字に付け替える
#グリズムNo.5なら、"Starting wavelength (4029.4434504093):"に4000、"Ending wavelength (7316.5956988495):"に7496、"Wavelength interval per pixel (5.2094330403173):"に4と回答し、"Number of output pixels (632):"はそのままエンターキーを押す
#再度"Change wavelength coordinate assignments? (yes|no|NO) (yes):"と聞かれるので今度はnoと答える

###確認
#これでdohydra自体は終了だが、正しく実行できたか確認する

#….ms.fitsというファイルが新たにできているはず
#このファイルはフラット補正、スペクトル切り出し、波長校正が済んだデータで、x座標が波長、y座標がそれぞれのファイバー (1 pixel = 1ファイバー) に対応する

#dohydra後のフラットフレーム (flat-no5-flip.ms.fits) をds9で開き、カウントの変化が全体的になめらかであれば良い
#dohydra後の比較光源フレーム (kls(フレームID)-flip.ms.fits または comp-no5-flip.ms.fits) をds9で開き、各輝線が縦にまっすぐ並んでいることを確認する
#下図はグリズムNo.5の成功例

dohydra確認: フラット dohydra確認: 比較光源

正しく処理できたことが確認できれば、dohydraは終了です。 お疲れ様でした。 解析はもう少し続きます。