Phasing Camera System


以前の位相測定カメラは5色チューナブル He-Ne レーザーの寿命に問題があることが発覚したため、
チューナブルダイオードレーザーを用いて再度試験を行った。


アルミフレーム上に光源、ハーフミラー、放物面鏡、CCD を配置。
放物面鏡前のハーフミラーは、鏡面にくっつけると重さで鏡が不安定になるため、アルミフレーム側に接続した。


向かって左側半分の放物面鏡は横方向は手動Xステージ、前後方向は±50μm 程度駆動可能なピエゾステージに乗せ、
向かって右側半分は回転ステージと傾斜ステージに乗せた。

以下、テスト画像(中央部 32x24 ピクセルを4倍拡大したもの)

感触としては、うまくやれば1-2μmまではこの波長スキャンだけで追い込めそう。
808nm の安定化ダイオードレーザー、633nm の He-Ne レーザーとの比較では、
(781-765)/765= 2.1%
(808-765)/765= 5.6%
(633-765)/765=17.3%
それぞれ、約3倍、約9倍縞が移動するが、この順で縞の位置の違いを 1/6 位相以内に合わせていけば
完全に位相が合わせられるものと思われる。

今後は、15mm□のアパーチャ2つを15mm離して並べたときのイメージでも同じことができそうか確認する。


その2

1.5cm□のアパーチャを中心間隔3cmで並べた場合に関して。

左図は、計算上のスポットの変化。2つの像が上下方向にずれている場合、重ならない部分の位相が
反転するので、像解析で評価する際には中央部をベルト状に切り出せば上下ずれがあったとしても
影響を受けにくいと思われる。右写真は、1.5cm□のマスクを付けた様子。

以下、テスト画像(中央部 32x24 ピクセルを4倍拡大したもの)

実際には縞と縞の間が結構光るようで、この影響を減らして評価する方法を考える必要がある。

間の部分が、ハーフミラー内での2つのアパーチャの光路差と裏面での反射によって引き
起こされている場合を考え、1.5cm□のマスクの角度を変えて比較してみた。

  • 位相がほぼ合っている状態で波長スキャン
  • 2つの窓を傾けて配置
  • 逆方向に傾ける(スポットの縦ずれ成分が出ている)

    これらの画像を用いて、自動位相判定のアルゴリズムを考えてみる。


    その3

    He-Ne ガスレーザー、780nm チューナブルレーザー、808nm 安定化ダイオードレーザーの
    3種類のレーザーを、ファイバー素線端面を並べて研磨して入射させた。そのままの強度
    だと、ガスレーザーの強度が1桁以上弱くなるので(ND フィルタの特性も関係している)
    ファイバーコネクタをわざと隙間を空けて繋ぐなどして強度を合わせた。


    位相がほぼ合っている状態で波長スキャン

    わかったことは、

    この程度の揺らぎでも何とかなるようにしないとダメかな。


    その4

    スポット形状から位相を判定するソフトを作り、上記動画に対して適用した。
    判定ソフトで行っていることは以下の通り。
    結果は以下の通り。
    上段:安定化ダイオードレーザー(808nm) に対する He-Ne レーザー(633nm) の相対重心と相対位相
    下段:安定化ダイオードレーザー(808nm) に対するチューナブルレーザー(765-780nm)の相対重心と相対位相
    :相対位相、:メジアンフィルター+三角変化差引後、:相対 X座標、:相対 Y座標、:スポットの鮮鋭度

    途中、チューナブルレーザーでスキャンをしたことがはっきりと現れている。
    この程度の揺らぎのある環境でも、数十フレーム分の情報のメジアンでまずまずの精度が出せそう。
    633nm はスポットが小さくなるので、精度を上げるにはこの画像よりも画素スケールを小さくする必要がある。

    この情報から鏡間の段差を計算すると、7.811μm

    アルゴリズムは以下の通り。

    1. 三角変化部分の面積から光路差を算出
    2. 上記光路差より 765nm と 808nm の位相差を推定し実測値で修正、光路差に戻す
    3. 上記光路差より 633nm と 808nm の位相差を推定し実測値で修正、光路差に戻す
    上記3つの量はちゃんと合わない場合もあるので、もう少し調査が必要。

    段差が -0.1μm の場合(動画)
    段差が -1.0μm の場合(三角変化大きすぎ? 動画)


    その5

    17mW He-Ne レーザーが来たので、組み合わせてみた。
    特にファイバーコネクタ部で無理に調整しなくても、出力を調整することで
    明るさのバランスを取ることができた。

    カウントが飽和した場合に、光量分布の重心が正しく測定できなくなり、
    これが原因で三角変化の大きさが不正確になっていることが判明したので、
    カウントが飽和しないようにCCDゲインを調整した結果、三角変化が安定した。

    位相が合っている状態から、約0.8μm ステップで状態を変えてスキャンした。

    段差が -2.9μm の場合(動画)
    段差が -1.7μm の場合(動画)
    段差が -0.8μm の場合(動画)
    段差が 0.0μm の場合(動画)


    iwamuro@kusastro.kyoto-u.ac.jp