2002年5月に京大宇宙物理学教室を出発。中央に見える、クレー
ンでつられた青い運搬用コンテナ(木箱)の中に京都三次元分光器第2号機(3DII)筐体・機械系が入っています。
上の写真の左側にみえるコンテナトラックの中につんだ3DIIの光学系・制御系。
アメリカ合衆国ハワイ島ヒロ市にある国立天文台ハワイ観測所にて
3DIIの受取り。今回の目的は、ハワイ大学2.2メートル望遠鏡での3DIIファーストライトですが、3DIIをすばる望遠鏡に取付けるためのインター
フェイス試験も兼ねています。ハワイ観測所の方々には大変お世話になりました。
ハワイ観測所実験室にて開梱開始です。荷物は左側に見えるシャッタを開けて入れてもらいました。この部屋には、すばるとのハード的なインターフェイ
ス試験が行われる、光学シミュレータも入っています。国立天文台三鷹の光学シミュレータでもテストは行いましたが、3DIIを山頂に上げる前に再確認をし
ます。
運送によって3DIIに問題が起らなかったかどうかチェックします。モータ動作テスト、光軸調整等異常ありませんでした。
今度は、汎用コンテナ(中身はまだ見えない)を実験室に入れます。この汎用コンテナにアダプタを介して3DIIを載せるとすばる望遠鏡に取りつける
ことが可能になります。国立天文台との協力のもと製作されたものです。他の装置グループの方も、その装置用のアダプタさえ作ればこの汎用コンテナが使えま
す。
汎用コンテナも入ったところで、CCDデュワの真空を引き、冷凍機で冷やし、CCDの読出し雑音チェックを行います。
汎用コンテナには、制御ラックも設置しています。制御系を後ろから見たところ。
3DIIにアダプタを取りつけ、これらを汎用コンテナに載せます。
3DII+アダプタ+汎用コンテナを光学シミュレータにつけてハードウェア試験をする前に、すばるソフトウェアシミュレータを用いてヒロでできる範
囲内でのソフトウェア試験をしました。計算機室での試験風景。
ヒロでのソフトウェア試験にパスし、今度は3DIIを光学シミュレータにつけます。望遠鏡側とのバランスが取れるように、汎用コンテナについている
おもりの個数を調整済みです。汎用コンテナを運んでいる黄色い車は自走台車。
電源・光ケーブル・冷却水用の自動脱着コネクタも無事結合します。
光学シミュレータの姿勢を傾けたりひねったりしてバランスをチェックします。
ハードウェア試験もパスし、いよいよ山頂へ向け出発です。3DIIを積んだままの汎用コンテナをトラックで運んでもらいます。トラックの荷台にふた
をかぶせているところ。
マウナケア山頂のすばるドームに到着しました。クレーンの上にある
観測床まで引き上げます。観測床で環境テストを行うためです。
観測床に上げたところで、3DIIをはずして床の上で実験を始めます。すばる望遠鏡(青色)には別の装置がついています。
6月に入り、おなじくマウナケア山頂にあるハワイ大学2.2メートル望遠鏡に
いよいよ取りつけが始まりました。取りつけにはハワイ大学の方々にも大変お世話になりました。取りつけが終わったら望遠鏡とのバランスをとります。
望遠鏡につけた後、ファーストライト(初観測)に向けて3DIIをチェックします。中央付近に赤く見えているのはフィルタです。
観測が始まりました。6月5日、ファーストライトがうまくいっています。3DIIは多機能装置ですが、今回はとくに、天体の面全体で分光ができるマ
イクロレンズアレイモードという機能を中心に試験しました。惑星状星雲などの銀河系内天体や系外銀河の新しいデータを取得することにも成功しました(これ
らの成果は別のところで報告します)。
快晴の5晩のもとエキサイティングな観測を終え、片づけに入りました。その後は、すばる望遠鏡での3DIIファーストライトが8月にあるので、
3DIIはすばるのドーム観測床に保管しておいていただきます。
持ち帰ったデータを解析して得られた成果の例です。銀河と銀河の衝突です。詳しくは画像をクリックしてください。このような成果がぞくぞくと得られ
ています。さらなる報告お楽しみに。。