1999年8月16日−25日でドイツはゲッチンゲンに行ってきました。 ゲッチンゲン大学観測所の postdoctral research fellow (期限付きの研 究員)に応募していて、とりあえず面接に来いとのことで行って参りまし た。

結果、めでたく採用が決まり、10月終わりか11月の初めからドイツに 行くこととあいなりました。期限は2002年の3月まで。草深い田舎か ら出てきて9年半。げーこくに給料もらいに行くまでになってしまいまし た。といってもゲッチンゲンもドイツの田舎の大学町なのですが。

今回はキャセイパシフィックでの旅です。当然経由地は香港。ここの空港 の食堂で「うどん」を見つけたので食べてみました。

左が彼の地での「うどん」らしいです。って、トッピングの組み合わせ、 揚げ餃子、なると、ゆで卵、ワカメ、コーン、ちゅうのは何事じゃぁ! 出しも多分ラーメンと共通(多分大量の化学調味料とよくわからん醤油)で した。麺は確かにラーメンのものではないですが、なんだか平たいし、こ しもへったくれもありゃしない。うどんではなく、香港風「うどん」とい う料理なのだと思えばいいのでしょう。
右はこの食堂の看板なのですが、ここはダンスプラザ「天姿舞 SKY DANCE 」なんだそうです。香港人は踊りながら飯を食うのでしょうか。

香港から空路フランクフルトに向います。これはその案内。

フランクフルトは法欄克福なんですと。なんとなく納得です。

フランクフルトからはドイツが誇る超特急 Inter City Express (ICE) で ゲッチンゲンに向います。一等・二等の区別があるのですが、二等でも日 本の新幹線のぞみの普通席より椅子が良かったですね。

2時間ほどでゲッチンゲンです。右はホーム、左は駅の外観です。


ゲッチンゲンに着いてまず思ったのは「寒い」。8月下旬なんですが、あ る朝9時半に外の温度計を見てみると、なんと10度!京都より15度以 上温度が低かったわけです。よく調べもせずに行ってる私は、Tシャツや らポロシャツやらしか持っていかず、以後夕食を食べに皆と外へ行く度に 「寒くないか?」と聞かれることになったのでした。「そりゃ寒いがな。 でも上着持ってきとらんのじゃぁ。」と心の中で叫びつつ、笑顔を作って "It's O.K." 等と言っていた私はアホですな。

駅からはタクシーで、観測所に。乗ったタクシーはベンツでした。生まれ て初めてベンツに乗ったのですが、さすがドイツ、至るところでベンツや らBMWやらフォルクスワーゲンやらが走り回ってますね。って、みんな ドイツ車や、当たり前か。イギリスに行った時は日産やトヨタの車をよく 見たのですが、ドイツでは日本車の台数は少なかったです。日本における いわゆる外車と同じくらいだったかなあ。

そんなこんなで観測所です。

古めかしい、なかなか趣きのある建物です。観測所のてっぺんと、別の建 物にドーム(4枚目)があるのですが、今は望遠鏡も入っておらず、全く使っ ていないそうです。なんたって天気が悪い。雨はそれほど降らないのです が、とにかく曇る。あまり天文学には向かない土地だと思うんですが、実 はこの観測所はかの有名なガウス(1777年生まれ。数学者として有名 ですが天文学もやっていた。)ゆかりの観測所らしく、ガウスが実際に使っ ていた望遠鏡も残されています(下の写真の左のもの)。

この地に滞在している間は、この観測所にあるゲストルームに宿泊させて もらいました。以下はそのゲストルームの画像です。

机とベッドのある10畳くらいの部屋と、冷蔵庫や食器棚のある3畳くら いの部屋と、風呂がつながっています。ちょっと前までホットプレートが あったらしいのですが、ロシア人の滞在者がトマトの缶詰を直接ホットプ レートにかけて爆発させ、部屋中を真っ赤に染めてしまったことがあった らしく、現在はありません。晩飯や昼飯の大抵は他の研究者に外に連れて いってもらったのですが、朝飯や一人で食べるときはここで食パンを焼い て食べてました。食パンがまた安いんだ。750gで100円ちょっと。 これの4分の1くらいと、牛乳(1リットルパックが50円弱)とパイナッ プル(10切れ100円くらい缶詰)がこの滞在中の典型的な朝食でした。 しかしあの浅いバスタブの使い方は今でもよくわからんです。

滞在3日目に、今回の旅のメイン、これまでの研究の発表を先生・院生合 わせて10人ほどの前で、下の画像の部屋で行いました。45分割り当て で、事前の練習では大体50分くらいかかっていたのが、本番では40分 弱で終わってしまいました。単に「あ〜」とか「うー」とか言って言葉を 探していた時間が少なくなっただけだと思うんですが、追い込まれると割 とするすると言葉ってのは出てくるようで。

で、終わった途端に聞いてた人が机を勢いよくたたき出したんですね。び びってしまってザーッと考える、考える。なんかまずいこと言ったかなぁー とか、説明悪いとこあったかなーとか。狼狽していると、一人の人が教え てくれました。ドイツでは、特に大学などでは、拍手の代わりに机を叩く そうです。僕がドイツで初めて感じた大きなカルチャーショックでした。


以下はゲッチンゲンの町並みです。古い町らしく、築100年、200年 の建物がざらにあるそうです。趣き深いところで、子供の頃に読んだ童話 の挿絵を思い起こさせるのですが、童話で有名なグリム兄弟はこの町に住 み、ゲッチンゲン大学の教師であったそうです。

下のもこの町の一風景なのですが、グリム童話に出てくる少女の像らしい です。ゲッチンゲン大学で博士の学位を取った人は、この少女にキスをす るのが習わしだそうです。知り合いの人は実際にしたと言っていました。


これまでにこの少女は一体何人の人とキスしてきたことでしょう。

これはこの町の役所だそうで、やたらと目立つ近代的なビルです。この最 上階が食堂になっていて、昼食には何度も連れてきてもらいました。この 食堂からの眺めはむちゃくちゃ素晴らしいのですが、食堂の中で写真をバ チバチ撮るのがなんとなく恥ずかしく、食堂を出て階段のところからこの 町を撮ってみました。

窓ガラス越しなんでいまいちアレですが、とにかく緑が多くきれいなとこ ろです。緑といえば、日曜には(日本のコンビニのごとく沢山ある)ベーカ リーや、一部のレストランを除き、ほとんどの店がしまってしまいます。 また町の人通りもがったり減ってしまいます。何が起こってるのかと聞い てみると、ドイツ人は日曜には森に行く人が多いんだそうで。曰く、「人 間は森から出てきたのだから、森に帰るのは当然のことだ」と。ドイツ人 が緑を大切にするのがよくわかる話です。

最後はお金です。旅費を向こうで現金でもらったのですが、その中にこん な紙幣がありました。

1000マルクといえば日本円で6万円強くらい。今後2度と見る機会が 無いかもと思い、記念撮影です。

あと、この旅ではドイツ人には英語が通じないということが、よーく分か りました。エアメールを出すのに郵便局の場所かわからなくて、そこらを 歩いている人に何人か尋ねてみました。一応こちらが郵便局を探している ことは伝わるみたいですが、出てくる単語は Right とか Left とかばか り。普通の日本人とそう変らないレベルのようでした。

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Daisaku NOGAMI <nogami@kusastro.kyoto-u.ac.jp>
Last Refreshed: Fri Sep 3 19:31:27 JST 1999