SARIFのブログ

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からの続き

京大の益川敏英名誉教授が、クラシック音楽好きと言うことで、
電磁気学の基礎を理解していないエジソンが直流送電にこだわって失敗した話を聞きつつ、
ユーディ・メニューインというヴァイオリニストのことを考えていました。
以下、連想が飛びに飛んで話の筋がグニャグニャと乱れます;ご注意ください。

メニューイン少年の演奏は素晴らしく、かつてのヤッシャ・ハイフェッツと並ぶ
ヴァイオリンの天才少年でした。ところが、おそらくは基礎ができていなかったせいで、
成人したのち彼はそれほどでもないヴァイオリニストとなってしまいます。
(そういうことが書かれた渡辺和彦「ヴァイオリニスト33―名演奏家を聴く」を
読んでいたところでした。)
一方、ハイフェッツの方はまさに20世紀最高のヴァイオリニストとなったのです。

しかしながら、ユダヤ人のメニューインは第二次大戦後まもなくドイツのフルトヴェングラーを
はっきりと支持し、連合国からこの大指揮者が社会的に抹殺されるのを防ぎます。
上述の渡辺和彦の本ならずとも、この偉業はいくら強調しても強調しすぎることはないと思います。
一方のハイフェッツは反ナチスという看板のもと、
フルトヴェングラーがシカゴ交響楽団を指揮するのに反対し阻止したのでした。
しかし、それにしても、アメリカの交響楽団をバックに
ハイフェッツが奏でる協奏曲は本当に見事です。
クラシック音楽を聴くよろこび、ここに極まれりと思います。

とは言え、私は1954年以降一度も来日しなかったハイフェッツ(なお、1923年には
関東大震災に特別の慈善演奏会を開いてきわめて多額の寄付をしたといいます)はもちろん、
90年代まで何度か来日したメニューインの音楽さえも直接は聴いたことがありません。
エジソンが発明してくれた蓄音機に続く録音再生技術を使って
昔の演奏を聴いているだけなのです。
物事はなかなかスパッと割り切ることができないものです。