第3鏡に関するFEM解析


岡山観測所の沖田さんの考えた第3鏡の図面を元に変形量をFEM解析(ANSYS)を使って求めました。
図面は以下のところから閲覧できます(但し.dwg)。
  1. 8点支持:固定したまま自重変形を見る。(go)
  2. 10点支持。(go)

8点支持:固定したまま自重変形を見る

まずは固定したまま自重変形を調べます。カウンターウェイトを付ける8点を面で固定しました。
また、重力は望遠鏡のレストの位置(0°とする)から、真横にした位置(90°とする)まで、0°、30°、45°、60°、90°で考えています。
質量は76.47kgです。
  1. 0°の場合
    レスト位置です。重力の方向は左の図のようになっています。矢印の方向と実際の重力の方向ベクトルは真逆になっています。
    FEM解析結果は以下のようになりました。

    鏡面上全体
    変形量(最大)134nm144nm
    変形量(最小)<1n0
    歪み134nm---

  2. 30°の場合
    重力の方向は以下の図のようになっています。矢印の方向と実際の重力の方向ベクトルは真逆になっています。
    FEM解析結果は以下のようになりました。

    鏡面上全体
    変形量(最大)131nm141nm
    変形量(最小)1n0
    歪み130nm---

  3. 45°の場合
    重力の方向は以下の図のようになっています。矢印の方向と実際の重力の方向ベクトルは真逆になっています。
    FEM解析結果は以下のようになりました。
    鏡面上全体
    変形量(最大)128nm136nm
    変形量(最小)<1n0
    歪み128nm---

  4. 60°の場合
    重力の方向は以下の図のようになっています。矢印の方向と実際の重力の方向ベクトルは真逆になっています。
    FEM解析結果は以下のようになりました。
    鏡面上全体
    変形量(最大)120m131m
    変形量(最小)<1n0
    歪み120n---

  5. 90°の場合
    重力の方向は以下の図のようになっています。矢印の方向と実際の重力の方向ベクトルは真逆になっています。
    FEM解析結果は以下のようになりました。
    鏡面上全体
    変形量(最大)113nm117nm
    変形量(最小)<1n0
    歪み113nm---

鏡面上の歪みは、大部分については50nm以下を満たしていますが、自重変形のみで最大100nmを超えています。支持点が中央に集まっているので、長軸側の端が「だれている」感じになっています。
端の歪みを減らすには支持点の外側の三角形を逆にした方が良いのではないかと思われます。

10点支持。

長軸方向の「だれ」を緩和するために、支持点を8点⇒10点に変えて解析を行います。追加した2点は楕円長軸上の中心から480mmの位置にある点です。(右図参照。図の赤色の丸のところが新たに追加した2つの支持点です。図はクリックすると拡大されます。黄色の丸は後に考える荷重をかけたときの固定した点に当ります。)
まずは固定したまま自重変形を調べます。カウンターウェイトを付ける10点を面で固定しました。
また、重力は8点支持のときと同様、望遠鏡のレストの位置(0°とする)から、真横にした位置(90°とする)まで、0°、30°、45°、60°、90°で考えています。
質量はkgです。
  1. 0°の場合
    レスト位置です。重力の方向は左の図のようになっています。矢印の方向と実際の重力の方向ベクトルは真逆になっています。
    FEM解析結果は以下のようになりました。

    鏡面上全体
    変形量(最大)45nm49nm
    変形量(最小)<1n0
    歪み45nm---

  2. 30°の場合
    重力の方向は以下の図のようになっています。矢印の方向と実際の重力の方向ベクトルは真逆になっています。
    FEM解析結果は以下のようになりました。

    鏡面上全体
    変形量(最大)49nm55nm
    変形量(最小)<1n0
    歪み49nm---

  3. 45°の場合
    重力の方向は以下の図のようになっています。矢印の方向と実際の重力の方向ベクトルは真逆になっています。
    FEM解析結果は以下のようになりました。
    鏡面上全体
    変形量(最大)50nm57nm
    変形量(最小)<1n0
    歪み50nm---

  4. 60°の場合
    重力の方向は以下の図のようになっています。矢印の方向と実際の重力の方向ベクトルは真逆になっています。
    FEM解析結果は以下のようになりました。
    鏡面上全体
    変形量(最大)52m58m
    変形量(最小)<1n0
    歪み52n---

  5. 90°の場合
    重力の方向は以下の図のようになっています。矢印の方向と実際の重力の方向ベクトルは真逆になっています。
    FEM解析結果は以下のようになりました。
    鏡面上全体
    変形量(最大)56nm63nm
    変形量(最小)1n0
    歪み55nm---

角度0°〜45°までは鏡面の全体で50nm以下を、また60°、90°でもほぼ全体で歪み50nm以下を満たしています。(因みに支持点の形が鏡面に反映されています。)
では、支持機構にたいしてもこの程度の歪みに収まっているのかを調べます。

レストの位置に置いた場合に歪みがどの程度になるのかをFEM解析を使って考えます。
FEM解析では固定面と荷重のかかる面を同じ位置にとることは出来ないので、固定面を変えて解析を行いました。(固定したのは実際の固定箇所になる3点です。第3鏡を斜め方向から見た図の黄色い3箇所の丸がそれに当ります。)
第3鏡を大体70kgとして、10点で支持するので1箇所当たり7kgを支えることになります。Axial支持ととlateral支持を使って丁度重力と反対方向に7kg×g(重力加速度)の力が支持面にかかるように調整することになります。(右図参照。)
一つ一つの重りの質量はモーメントの計算から

Axial:1.4kg
Lateral:0.875kg

に相当することになります。
この条件で解析すると以下のようになりました。
鏡面上全体
変形量(最大)269nm273nm
変形量(最小)4n0
歪み265nm---

押し上げる力が弱いのか歪みが酷くなってしまいました。変化の様子を示したアニメはこちらにあります。

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