センサー制御実験


位置センサーの制御に関する実験をします。使用しているセンサーについては、シグマ光機のデジタルセンサーDS-H10(以下、デジタルセンサー)を以下のような治具に取り付けています。

センサーの安定性を得るために、部品同士の絶縁状態やグランドのとり方について考えていきます。
センサーの安定性実験は岩室先生も行っています。こちら

  1. 前試験。1つでどの位安定性があるのか。(go)
  2. 2つのセンサを読み出す。(go)
  3. 1つのセンサを読み出す。その2(go)
  4. 対抗板の下に絶縁テープを貼る。(go)
  5. 他の箇所にもテープを貼る。(go)
  6. 他の箇所にもテープを貼る2。(go)
  7. コマンドの間隔を長くする。(go)

前試験

一つでどのくらい安定性があるのかと、連続読み出しのプログラムの基盤を作るために1つのセンサーで読み出し実験をしました。

2つのセンサを読み出す

治具を金属板に固定した場合とアクリル板に固定した場合で2つのセンサの安定性が変るのかを実験しています。
まず、アクリル板2回、金属板2回、100,000回読み出しを行いました。アクリル板、金属板で固定した図は下のようになっています。(左:アクリル板、右:金属板)
また、読み出し結果のグラフは上が全期間分で、下はその内始めの5000回カウント(1.5〜2時間程度)を取り出したものです。

一回一回の実験の間が長くあいてしまったので何ともいえないのですが(特にアクリル1回目は固定が甘かった)、
また、アクリル板の実験2において、ch1とch2が逆の方向に変化しているのが気になります。

1つのセンサを読み出す。その2

「2つのセンサが反対の振る舞いをするのは一方のノイズが他方に入るため」、というのを確認するために1つのセンサを読み出してみました。とりあえず読み出さない側のアースをつなげる/つなげないで挙動が変わるのかも試してみました(読み出さない側のセンサはコネクタから切り離しているので無関係だとは思います)。なお、全て金属板に固定しています。
何が何だかよく分からない、振る舞いをしています。アースがある無しに関わらずノイズは大きいようで、読み出し機を実験の合間に見ている時間でさえ大きく変化する様。机から振動が伝わるのか(センサの置いてある机に物があたる?)、アースのつなぎ方が悪くてノイズ除去できないのか、実験の状況を改善すべきです。恐らくは後者なのだとおもいます。

アース線のビニルを長めに剥ぎ、一回転以上ネジに巻きつけるようにして同じ実験を行いました。またCH1とCH2を同時読み出しも行いました。

アースを改善すると、CH1のみ単独読み出し(CH2のアースは外す)では大きなとびを除けば大体安定しているように見えます。CH2側のアースを付けると安定性が少し欠け、同時読み出しをすると互いのノイズが入ってしまいばたばたとした様子が目立つようになりました。

これをアクリル板で試すと以下のような結果が得られました

同時読み出しをしたときのノイズの干渉はアクリル板で固定した方がやはり酷いようです。恐らく絶縁具合から、読み出しセンサーの対抗板のほうにノイズが入りやすくなるためではないでしょうか。
また、全体的に間隔が長くなるあるいは短くなるといった傾向も見えています。

対抗板の下に絶縁テープを貼る。

読み出しセンサーの対抗板の下に絶縁テープを貼り、ノイズが入らないようにしてみます。比較の為に片方のセンサーにだけ絶縁を施します。
まずアクリル板で試すと以下のような結果が得られました。

続いて金属板で試しました。

アクリル板で固定したときは絶縁の効果があまりなかったように見えますが、金属板で固定したときは絶縁の効果があったのではないかと思います。金属板固定で読み出したとき、絶縁したCH1での安定性は1回目:-0.6um以内で読み出された間隔は徐々に小さくなり最終的に読み始めに対して-0.4umで落ち着いた、2回目:-0.05/+0.1um以内でした。

他の場所にもテープを貼る。

対抗板の裏以外に、センサ固定の部品と対抗板固定の部品の間にも絶縁テープを貼りました。(右図の矢印の位置)テープはCH1のセンサ固定部分の裏が絶縁されるように貼っています。
前回までの実験から治具の固定には金属板が良さそうなので、金属板を引き続き用いています。2回ほど実験を行いました。

CH1を絶縁するようにテープを貼ったのですが、CH2の方のノイズが減りました。更に短時間(5000回読み出し:2、3時間程度)であれば安定性が50nm程度になるようです。
続いてセンサからアースを外して試験しました。

CH1、CH2共にグランドを付けている場合と外している場合とで目だった違いは無い様にみえます。グランド線を外すのは岩室先生の実験から同一表示機で複数のセンサを読み出すことでノイズ干渉するのではないかという可能性をみるためです。実験の結果から、今の状態ではグランド線を伝わって干渉しあうノイズはそんなに大きくはなく、治具そのものの絶縁具合によるノイズ干渉がドミナントであると考えられます。
サンプリング時の方が何もしないで放置しているときよりも値がばたばたしているように見られます。ただ、何もしないまま放置していても気付いたら値が大きく変化しているのでやはり治具自体の絶縁も重要であるようです。

他の場所にもテープを貼る2。

前回の実験をうけて、CH2のセンサ固定の部品と対抗板固定の部品の間にも絶縁テープを貼りました。
また引き続いて金属板を用い、アースは再び接続しました。

1回目のCH2の読み出し値が徐々に小さくなっていった理由は不明ですが、以前に比べて安定性は出てきたような気がします。CH1の方は短時間であれば50nm以下の安定性があると言えそうです。その一方で長期的な安定性はまだまだのようです。

コマンドの間隔を長くする。

一回一回のコマンド(読み出しやCH、モード切換)の間が短いとノイズの原因になるのではないかと考え、この間を長くしてみます。今まではusleepを用いて200msの間隔をあけていましたが、これを300msに変えてみます。 絶縁方法やアースは前回の実験と同じで、CH2のセンサ固定の部品と対抗板固定の部品の間にも絶縁テープを貼っています。

こちらも、短期的な安定性はありそうなのですが、長期的な安定性は不十分です。(但し1回目は挙動が良く分からない。)実験期間が大体100000回読み出しで1日半かかり、どの実験でも、読み出し値の山谷が1つないし2つあるので温度による補正をかける必要があるかもしれません。
更に、ここまでのCH2の振る舞い(どれもノイズによるギャップがある)から、対抗板の裏の絶縁は必須であるともいえます。

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