副鏡の軽量化に関する報告
副鏡の軽量化を3DCADとFEM解析(ANSYS)を使って考えた。
副鏡の概要
- 鏡面;φ1100、曲率R=3335mmの球面
- 中心部にはφ200の穴を開ける
- 厚み;240mmまたは150mm
- 重心9点(内側に3点(φ381の円周上)、外側に6点(φ880の円周上))による支持点
これを、以下の目標値を達成できるように軽量化を試みる。
重量100kg以下、鏡面上の歪み50nm以下
軽量化の有効な解は以下の4つ(クリアセラム)+1つ(ZPF)である。方式は全てリブ接着方式である。
解1
一辺220mmの正三角形上に厚さ20mmのリブを配置。補強の為に内側の支持点を結ぶリブを付け加えた。また、外側の支持点より外側のリブは6方向に切り出している。
全厚は150mm、鏡面24mmである。
総重量は149.98kg、鏡面上の歪みは0.061umとなった。図で青色〜黄色にかけては歪み0.050um以下を達成している。
解2
解1と同じ様に、一辺220mmの正三角形上に厚さ20mmのリブを配置。補強の為に内側の支持点を結ぶリブを付け加えた。
リブ外側の切り出しは行わずに鏡面を12mmと半分にした。(このため全厚は138mmになっている)。
総重量は130.92kg、鏡面上の歪みは0.082umとなった。図で青色〜薄い黄緑色にかけては歪み0.050um以下を達成している。
解3
解1、解2と同じリブの配置
全厚を高くする代わりにリブの厚みを10mmに減らした。
全厚は、鏡面を12mmにしたために240mmではなくて228mmになっている。
総重量は119.01kg、鏡面上の歪みは0.067umとなった。。図で青色〜薄い黄緑色にかけては歪み0.050um以下を達成している。
解4
解3と同じリブの配置で、リブの厚みを15mmにした。。また、外側の支持点より外側のリブは6方向に切り出している。
全厚は、鏡面を12mmにしたために240mmではなくて228mmになっている。
総重量は142.87kg、鏡面上の歪みは0.048umとなった。
解5
鏡材をクリアセラムではなくZPFにした。
リブ配置は変わらない。リブ厚は15mm
全厚は125mm、鏡面は10mmである。
総重量は97.35kg、鏡面上の歪みは0.054umとなった。。図で青色〜橙色にかけては歪み0.050um以下を達成している。
以上の結果を全てまとめると、以下の通り。
- クリアセラムでは120〜150kg程度の軽量化が限界のようである。
- 100kg程度まで軽量化しようとするならZPF(安定した質が約束されれば)の方がよい。
結果一覧
| 重量[kg] | 鏡面の歪み[μm] | 軽量率 |
全厚み240mm | 614.71 | 0.027 | ― |
全厚み150mm | 403.81 | 0.045 | ― |
解1 | 146.98 | 0.061 | 36%(150mmと比べ) |
解2 | 130.92 | 0.082 | 32%(150mmと比べ) |
解3 | 119.01 | 0.067 | 19%(240mmと比べ) |
解4 | 142.87 | 0.048 | 23%(240mmと比べ) |
解5 | 97.35 | 0.054 | 24%(150mmと比べ) |
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