副鏡の軽量化(07.07.14の段階で)


副鏡の軽量化を3DCADとFEM解析(ANSYS)を使って考える。
  1. 刳り貫かない状態。
  2. ソリッドから円柱を刳り貫く。
  3. Geminiの様に鏡背面は三角格子にする。

副鏡の概要

(以下の図参照)

自重による歪みを計算すると鏡面で歪みが208nmになる。総重量586kg。
以下の目標値を達成できるように軽量化を試みる。

重量100kg以下、鏡面上の歪み50nm以下

軽量化は2つの方法を考えた。1つは、ソリッドから円柱をなるべく沢山刳り貫くという方法。もう一つは鏡背面を三角格子にする方法。 自重を計算したときは鏡背面が円錐台になっているが、軽量化をするときはなるべく多くの円柱を抜く為に円柱にして考えた。

軽量化その1:円柱を刳り貫く

まずはシンプルに副鏡から円柱の形を刳り抜いていく。最も軽量化が出来たのは刳り貫くためのの円柱を1辺100mmの3角形の格子点状に配置したもの。(95mm(白):88個、φ45mm(赤):18個)

総重量は219kg、鏡面上の歪みは0.421μmとなった。

更にこの状態から背鏡面を削る。削った面は、下の図の様に刳り貫いた円柱の外から3番目の中心を結ぶ線と、そこから平行で鏡面から厚さ24mm上を通る線からなる平面。

総重量171.45kg。鏡面上の歪みは350nmになった。これ以上に軽量化や歪みの軽減を考えるにはこの方法では困難。

円柱軽量化+3点支持 では 170kg 程度まで質量を軽減できるが、鏡面の変形を350nm以下に抑えることが困難である。この方式では 9点支持にする必要がある。

結果一覧その1:円柱刳り貫き編(上が最大値、下が最小値)

重量[kg]全変形量(鏡面)[μm]鏡面の歪み[μm]全変形量[μm]変形(x軸)[μm]変形(y軸)[μm]変形(z軸)[μm]
何もしない586.090.6240.2080.6240.04100.040
0.4160-0.045-0.622-0.044
円柱刳り貫く219.330.6310.4210.6310.16000.128
0.2100-0.164-0.606-0.180
鏡背面切断171.450.5140.3500.5110.06800.077
0.1640-0.077-0.514-0.076

軽量化その2:Gemini式

鏡面は厚さ24mmの球面で考える。その背面に三角格子状に刳り貫いた円柱を付ける。最も軽量化ができて歪みが抑えられそうなものは3角形の1辺が200mm、格子の厚みを15mmにしたもの。更に円柱を刳り貫いた場合と同様に鏡背面側を削った。(上が削っていないもの、下が削ったもの。)


鏡背面を削ったもので総重量は166.09kg、鏡面での歪みは268nm。円柱を刳り貫く場合よりましになったが目標には届かない。

結果一覧2その:鏡面裏を三角格子にする編(上が最大値、下が最小値)

重量[kg]全変形量(鏡面)[μm]鏡面の歪み[μm]全変形量[μm]変形(x軸)[μm]変形(y軸)[μm]変形(z軸)[μm]
何もしない586.090.6240.2080.6240.04100.040
0.4160-0.045-0.622-0.044
1辺200mm、厚み15mm201.530.5280.2940.5310.09700.090
0.2340-0.092-0.517-0.093
鏡背面削る166.090.4510.2680.4510.05900.056
0.1830-0.057-0.451-0.052

まとめと今後の方針

副鏡の軽量化は現段階では170kg程度までが限界で、鏡面上の歪みも最小で268nmになる。
今後は、
というように進めていく予定である。
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