Test 2:岡山3.8m望遠鏡の条件でPSFを作る


 

その1

岡山3.8m望遠鏡の条件で各時刻におけるPSFを作成します。
岡山の条件で波面を作成する為にAOsim.conf ファイルは

とします。この条件で0.02[s] 毎、1.0[s]分の波面(50枚)を作成してPSF を作成しました。望遠鏡の瞳関数は右の図のようになりました。また、turbl.prof ファイルに関しては以下の設定を行いました。

まず、各高度の風向・風速は高層天気図から年平均の値を用いました(但し、高層天気をモニターしている気象台の内、岡山に近い高松の統計表が無かったため、潮岬のものを用いています)。
また、構造関数定数Cn2に関しては、AOsim では相対比でよいようなので、それを求めました。求める方法としては、A. Glindemann (1999、学位論文?)に記載されていたHufnagel-Valley-Boundary モデルを利用し、各高度のCn2を求め、相対比で表すことにしました。
Hufnagel-Valley-Boundary モデルは、高度h[km] に対してCn2が次の式で表せるものです。

この条件で、PSFを作成すると下の画像の左の様になりました。画像の一辺は5[arcsec] に対応しています(1pixel 大体9.67[mas])。
アニメーションは、10枚おき、つまり0.2[s]毎のPSFです。

更に、各時刻の波面ファイルから、大きく外れている位相の部分の光を通さない(即ち、位相φ(x,y)[deg]が大きくずれていれば光の透過率A(x,y)=0とする、A(x,y)はここを参照。)様にしてPSFを作成しました。
「外れている」という条件には以下の3つの場合を考えました。

  1. 位相の平均±π/2 よりずれる
  2. 位相の平均±π/4 よりずれる
  3. 位相の平均±π/8 よりずれる
位相の平均は、望遠鏡を通り光のみを考え、2*n*πのずれは同位相(つまり、単色光、NBF(Narrow Band Filter)を想定)とみなしています。

AO offAO on: 平均±π/2AO on: 平均±π/4AO on: 平均±π/8
Transparency through Pupil
Transparency Ratio [%]10044.1 -- 55.320.9 -- 28.810.1 -- 14.5
PSF
integrated PSF
PSF center (x,y)268,255258,256257,256256,256
FWHM [pix](FWHM [arcsec])54.5 (0.53)32.5(0.31)14.8(0.14)3.33(0.03)

PSFは波長0.6 umに対して描いています。
方法1、方法2のPSFはそれぞれ上の表の真ん中、右にあります。
1段目が光の透過した範囲の図、2段目は透過した部分の割合[%]です。3段目がPSFです。4段目には1.0[s]分のPSFを足し合わせたもの(integrated PSF)、更に、5段目と6段目にはintegrated PSF の中心の位置並びにFWHMを載せています。FWHMはPSFをgaussian でフィットして求めたものになります。

更に、それぞれの場合に対して、各時間のFWHMの移り変わりとPSF center の移り変わりは以下のようになりました。
 

PSF center の黒い2本の線の交点は画像の中心(x,y) = (256,256)です。
平均の位相±π/8でマスクをかけると、全て中心が(256,256)となりました。また、足し合わせたPSFもならされることなく、個々のFWHMの大きさを保ったままになっています(但し光の90%近くをカットしている)。



back to Home of AOsim
back to Home