2019年12月25日の質問に対する回答

Q:比熱的放射のスペクトル分布は?
A:例えば宇宙線のエネルギーは-2.7乗に比例します。このような冪に従う分布(power law)が一般的です。かに星雲などはシンクロトロン放射でこのようなスペクトルです。

Q:電子をもたない中性子星が強い磁場を持つのはなぜ?
A:(専門ではないので詳しくは分かりませんが)電子が無いのではなく中心部での超電導電流によって磁場が維持されていると考えられています。詳しくはこちら。ただ、まだ解明されていないテーマととらえてもらって良いと思います。

Q:低温低エネルギーの物質から高温高エネルギーの星ができることは不思議。
A:重力→高密度+高温(位置エネルギー)→核融合(核エネルギー)。いずれ冷えればタダの石ですね。。

Q:ウィーン変位則から外れる天体は?
A:黒体放射とみなせる普通の星ではありません。

Q:熱的と比熱敵の観測的区別方法は?
A:分光観測です。複数のフィルタを用いた観測でも大雑把には分かります。質問の主旨と外れますが、例えば黒体放射+輝線/吸収線が通常の星で、特定の輝線だけを通すフィルタを用いれば、この輝線を有する星だけを一網打尽にできます。

Q:目的の星を観測するときに星間ガスによる影響は?
A:例えば高分散分光観測を行うと、星と手前の星間物質はは速度がことなるのでドップラー効果によって原子線スペクトルが重なることはありません。しかし厄介な問題です。

Q:可視光以外の電磁波を出す天体があるということは夜空を見上げたときに目で見えない天体があるということ?
A:ほとんどの星が可視広域で光るのでその可能性は無いですが、分子雲はむしろ星の海原に影を落とすので暗黒星雲として認識され、x線で強く光るX線連星などはそれにあたるでしょうね。ただ、X線を放射する天体は可視でも弱くとも光るので、感度の問題とも言えます。

Q:すりガラスにセロハンテープを貼ると透明になるのはなぜ?
A:講義と関係ないですが良い質問です。すりガラスの表面は波長サイズより大きな(つまり数ミクロン)程度のデコボコがあり、それによって光が散乱します。そこに粘着剤付きのテープを貼ると粘着剤がすりガラスとテープの間を充填し、テープは滑らかな曲面を維持します。粘着剤とテープの屈折率はガラスと似た値であれば光によってすりガラスのデコボコは「認識」されなくなります。同じことはすりガラスを水で濡らすことでも実現できます。