2019年11月20日の質問に対する回答

Q:可視光でも干渉計は可能?
A:はい、可能ですが、電波の様にハードディスクに記録して計算機の中で合成(干渉)させることは出来ず、直接光を干渉させる必要があります。そのため、光路長を安定させることが極めて困難で、安定的に運用できるレベルではありません。最初に成功したのはあのマイケルソンで、恒星干渉計といわれ、恒星の大きさを計測するための挑戦でした。いずれ講義でも話題に上げます。

Q:LSSTはなぜ視野9.6平方度も実現できたの?
A:すばるなどの2枚の鏡から成るカセグレン光学系と異なり3枚の鏡と補正レンズを用いているからです。視野が広いと収差(ボケ)が大きくなりますが、鏡が1枚増えるごとに自由度が2つ増え最適設計の自由度が増え収差を抑えることができます。

Q:ロシアで極寒の日に水蒸気が凍って太陽が黄金色になったとあったがどういうこと?
A:おそらくサンピラー(太陽柱)という現象もしくはダイアモンドダストではないでしょうか。前者は氷の結晶によって太陽の光が反射屈折することで、後者は散乱ですね。このように大気中の氷の決勝で様々な現象が観察されます。この時期夕方の低い空に幻日を見かけますね。

Q:地球規模の電波干渉をヤングの実験に例えると、スリットはなに?
A:アンテナそのものです。

Q:主焦点の収差が大きくなるのは焦点距離が短いから?
A:そういう表現もできますが、さきの説明の通り、1枚の鏡しかないので最適化設計の自由度が少ないのです。

Q:可視光で複数の望遠鏡の位相をそろえて干渉させる見込みはあるか?
A:Mt. WilsonのCHARAで実現されていますが、とても大変です。

Q:副鏡って邪魔じゃない?
A:講義で説明します。

Q:反射望遠鏡の形式は目的に合わせて選択される、という理解で良い?
A:はい、そうです。

Q:干渉のピークを読み取る際の精度は?
A:サンプリング定理に従います。

Q:京大の所有する望遠鏡はすべて反射望遠鏡?
A:花山や飛騨にある古い望遠鏡は屈折望遠鏡です。太陽観測の場合、光は十分あるので、口径を大きくする必要が無い場合は新しくても屈折望遠鏡が用いられます。SMARTがその一例です。

Q:低熱膨張ガラスは普通のガラスと比べてどれほど膨張率が小さい?
A:通常の食器や実験に使われるパイレックスガラスは-6乗ほどで鉄などより1桁小さくなります。鏡やIHコンロの天板にも使われるガラスはゼロ膨張です。

Q:反射と屈折望遠鏡を電波望遠鏡で議論するとどうなる?
A:屈折式の電波望遠鏡はありませんね。フレネルゾーンプレートを使うことはできますが、非効率ですし、集光のみで干渉しません。

Q:主焦点での作業が危険なら、望遠鏡を倒して行えば?
A:斜めの状態での緻密な作業は結構大変です。

Q:主鏡から直接斜めに反射して焦点を作ることはできないの?
A:軸外し望遠鏡です。簡単には主鏡の一部を使うということです。製作するのが大変ですが、遮蔽物が無いのできれいな点像を得ることができます。講義でも説明します。

Q:複数の焦点で同時観測は可能?
A:現実には使われませんが、たとえば第三鏡に一部の波長を透過させ、一部を反射させるダイクロイックミラーを用いれば、カセグレン焦点で近赤外線観測、ナスミス焦点で可視観測が可能ですね。

Q:光を集めずに信号処理の様に増幅させて観測する技術はある?
A:残念ながらノイズも増幅するので意味がありません。ただ、講義でも話すと思いますが受光後のノイズが無視できない場合は受光部で増幅させることがあります。たとえば光電子増倍管がそれにあたります。

Q:鏡の表面に反射しやすいような工夫はするの?
A:アルミ蒸着が一般的ですが、より高反射のために銀を用いることがありますが、すぐに錆びるのでメンテナスが大変です。金蒸着は赤外線で

Q:サークルでシュミットカセグレンを持っているが仕組みが分かった
A:シュミカセについては板書で説明します。