2018年11月21日の質問に対する回答
光学関連
Q:反射望遠鏡の焦点の作り方は他にもある?
A:複数の鏡を使ってより良い結像性能を達成する光学系があります。今回示したものは代表例です。例えばこれやこれがあります。
Q:反射望遠鏡の遮蔽物とは?
A:カセグレンなどの図を参照してください。主焦点の観測装置や副鏡自体が主鏡にとっては遮蔽物となります。
Q:どの反射望遠鏡の形式がよく使われるの?
A:一般的にはカセグレン>ナスミス>主焦点の順です。この順で望遠鏡の構造や装置も簡単なものになる傾向があります。したがってカセグレン装置がよく使われます。
Q:レンズのゆがみなどを表現する式はあるの?あればそれで補正できそう。
A:位置ズレや傾きなどに関してはありますが、ゆがみについては定義できないのでありません。
Q:カセグレン系で主鏡に穴が開いているから光量が減りそう。
A:はい。減ります。大した問題ではありません。
Q:主焦点を使うときは副鏡を外すの?
A:はい、そうです。
Q:主焦点の装置でレンズを用いているのはコマ収差を抑えるため?
A:様々な収差を抑えるためですが、主には球面収差です。参照
Q:放物面と放物面を用いたほうが主鏡の裏に焦点を簡単につくれそうだけど。
A:それは出来ません。放物面は平行光に対して焦点を作ります。放物を2枚目にも用いると平行光に戻ってしまいます。
Q:副鏡の大きさはどれほど?
A:望遠鏡にもよりますが、視野が大きく明るいF値の光学系にすると副鏡が大きくなります。ただ、大きくなると主鏡を遮蔽するので非効率になります。たとえばLSSTは大変非効率です。
Q:レンズは球面が作りやすいから球面でしたが、放物や双曲面はどうやって作るの?
A:球面以外の鏡を非球面鏡と言います。作るのは研磨ですが、曲率の場所による違いを実現するために、小さな研磨工具を使ったり、わざとストレスを掛けて鏡を歪めてから球面研磨し、研磨後にストレスを解放するなどの方法があります。
Q:気温で望遠鏡の性能は変わる?
A:望遠鏡の構造は鉄で作られることが多く、熱変形によりピントがずれます。都度ピンと調整します。
Q:恒星干渉計(マイケルソンが行った干渉計)は平面鏡の間隔を広げるとさらに解像度が上がるの?
A:そういうことですね。ここを参考にどうぞ。
その他
Q:鏡を複数用いると誤差が増えそう。
A:はい。そうです。丁寧に作ります。
Q:宇宙望遠鏡だと0Gなので鏡がゆがみそう。
A:はい、ゆがむのでそれを考慮して鏡を作ります。
Q:屈折率が大きく変わる領域があったけどなぜ?
A:結晶中の電子の振動数と光の振動数が倍数で一致する場所では共鳴が起き、屈折率が大きく変化します。詳しくは電磁気で学んでください。分かりやすいのはここかな。
Q:ニュートンの反射望遠鏡は当時の屈折望遠鏡より性能が悪かったの?
A:金属鏡を用いたので、熱変形がひどく性能がいまいちだったようです。またすぐ曇っ(錆び)てしまいます。
Q:金があればたくさん検出器を買って、同時に多波長観測する?
A:そうなります。ただ主焦点ではスペースの関係で実際は不可能でしょう。
Q:反射望遠鏡はどれほどコンパクトにできる?
A:F値でいうならLSSTはF/1.23と極めて明るい光学系です。
Q:なぜ太陽は赤いの?
A:太陽のピーク波長は500nmで(青と言いましたが)どちらかというとこのように緑がピークです。黒体放射は長波長側(ウィーン側)が裾野をひくので太陽は黄色く見えます。太陽が赤く見えるのは地平線付近にありレイリー散乱を強く受けたときです。
Q:部屋を暗くするとプロジェクタが良く見えるのはノイズが減るから?
A:まさにそういうことですね。背景ノイズが減り、コントラストが上がります。
Q:安いレンズと高価なレンズの違いは?
A:作り方と精度です。廉価なプラスチックレンズなどはプレス加工で作られます。
その他のその他
Q:虹が2つ同時に見えるのはなぜ?
A:条件が良いと見えますね。これは副虹といいます。主虹の2回屈折1回反射に対して、副虹は2回屈折2回反射で、主虹のわずかに外側に現れます。主虹とは色の順番が逆である点に注文くしてください。ブロッケン現象は水滴よりもはるかに小さい雨滴(波長の10倍程度)による後方散乱(ミー散乱)であり反射屈折とは異なります。
Q:最大の屈折望遠鏡は?
A:ヤーキス天文台の直径1mです。
Q:色収差って何ですか?
A:波長によって屈折率が異なるために屈折望遠鏡では波長によって焦点が一致しません。それがボケ(収差)となります。
Q:カセグレンとかナスミスって人の名前?
A:はい、そうです。
Q:バッフルはどこにあるの?
A:黒いタワーがすばるのバッフルです。主鏡中心付近から副鏡に向かって伸びています。