2018年10月17日の質問に対する回答
標準光源関連
Q:セファイドとIa型超新星がそれぞれどうやって標準光源になれるとわかったの?
A:セファイドはマゼラン星雲の中にあるたくさんのセファイドを観測し、光度と変光周期に関係があることが分かりました。マゼラン星雲の中の星は地球からみればすべて同じ距離にあるとみなせます。Ia型超新星もセファイドによって距離が分かっている複数の銀河から複数のサンプルを集め、距離による補正をした結果、明るさが一定であることが分かりました。
Q:真の明るさはどうやって調べるの?
A:年周視差である星の距離を絶対的に決めます。その星のスペクトルを調べます。これが基準Aとなります。例えば球状星団を見たときに同じスペクトルの星を見つけて、その明るさをAと比べれば球状星団までの距離が分かります。
Q:なぜ他の超新星は標準光源に使えないの?
A:例えばII型超新星は母星の質量によって明るさがバラバラです。
Q:超新星爆発は起きる時が分かっているの?分かってないと観測は大変そう。
A:地震と同じで前兆現象はいまだ分かりません。1晩にできるだけたくさんの銀河を観測し、前回の観測と比較します。超新星爆発があれば、新しい星が検出されます。超新星爆発は1つの銀河で100年に1度ともいわれます。1晩に何百もの銀河を観測できれば比較的高頻度に見つかります。
Q:Ia型超新星の補正とは?
A:一つ有意義なものとして減光速度(何日間で何分の一まで暗くなるというような指標)が言われています(すみません。原因を知りません)。
Q:赤色巨星はなぜ温度が低いのに明るいの?
A:国体放射の放射エネルギーはSσT^4で、σはボルツマン定数、SとTは表面積と温度です。赤色巨星は大きさが地球軌道ほどにもなり大きなSとなります。
Q:暗い星は距離が分からないのでは?
A:はい、見えない星は明るさが分からないので距離が分かりません。
Q:セファイドの変光周期と明るさは絶対に対応するの?
A:星の金属量(Li以上の元素量)によって若干ズレるので、厳密な議論の時は金属量による補正が行われます。
Q:セファイドの変光周期と明るさの原因は?
A:厳密には分かっていないと思いますが、星大気の自由電子の量が関連しています。縮んで高温になると自由電子が増え、内部で生まれた光を外に出せずに星が膨張します(温室効果みたいな)。膨張すると冷えて自由電子が原子に取り込まれ、放射は宇宙へ抜けやすくなり冷えて縮みます。
Q:太陽はセファイドみたいなことにならないの?
A:現在の太陽は安定です。ただ、活動性は11年周期で変わりますし、氷河期などを引き起こします。ただ、この変化の割合はセファイドの様に大きなものではありません。
Q:分光視差の誤差はどれくらい?
A:スペクトルの吸収線は距離に依りませんし、星間減光の影響もほとんど受けないので星が十分明るければ良い精度で求まりますが、金属量の影響を受けます。
Q:分光視差で基準となる銀河は?
A:分光視差は星団(散開星団や球状星団)に用います。基準は年周視差で分かっている近くの星団です。
Q:減光によって見かけの明るさがズレるというけど、補正できるの?
A:星間に漂う塵によって減光するのですが、夕日と同じように減光(暗くなる)すると同時に赤くなります(赤化)。この赤化量と減光量には経験則があるので、赤化量から減光量を見積、正しい見かけの明るさを得ることができます。この作業にも誤差が生じます。
その他
Q:大規模構造の結果はなぜ扇型?
A:1台の望遠鏡で観測した結果であり、その望遠鏡の緯度から見えた天域がプロットされています。
Q:超新星爆発すると周りの空間をゆがめない?
A:重力波が出るのでゆがめます。また衝撃波が周辺の分子雲(星の材料)に衝突し星形成を誘発します。
Q:レーダーで距離を測るってどういうこと?
A:電波を出して、反射し、戻ってくるまでの時間を測ります。金星には人工衛星も行っているので、その通信からも距離を測れます。
Q:宇宙の年齢はどうやって分かったの?
A:最新ではWMAPの結果でパラメータを決め、年齢が導かれています。詳しくは観測的宇宙論で学んでください。
Q:宇宙はいずれ収縮することはあるの?
A:まだわかっていません。物質やダークマターは引力、ダークエナジーは斥力です。これらのバランスで決まります。現在は膨張、しかも加速膨張と考えられています。
Q:いずれ宇宙に星は生まれなくなる?
A:膨張を続ける場合はそうなるでしょうね。
Q:銀河が中央付近で厚いのはなぜ?
A:単純には重力が大きく、中心に向かって物質は集まるでしょう。しかし、この厚い部分はバルジと呼ばれる古い星の集団で球状に分布しています。一方薄い円盤部分は比較的若い星から成ります。バルジ部分だけみると楕円銀河に似ています。
Q:銀河の中心ははっきりしてる?
A:質問の意図が分かりませんが、可視光で見ると星間減光で見えません。構造としては巨大ブラックホールがあることが確認されています。いずれ紹介します。
Q:銀河に属さない星はあるの?
A:あります。見つけるのは大変ですが。きっとあります。銀河同士の衝突なのでいくつかの星は外に飛ばされてるはずです。
Q:太陽系は銀河面に対して傾いている?
A:大きく傾いています。
Q:銀河の大きさとドップラーシフトが関係する理由は?
A:重力が大きければ回転速度も大きくなるし、銀河もそれだけ物質を集めれるからでしょうね。詳しくは他の講義で学んでください。
Q:太陽系の公転速度は何に対して計ったの?
A:銀河系内に分布するガスを電波によってドップラーシフトを測ります。銀河系のガスの運動のモデルを構築し、太陽の位置だとどれほどの公転速度かを求めることができます。
Q:銀河同士の衝突はある?
A:はい。あります。こんな感じです。
Q:1AUって変わる?
A:要求精度に対して変動は無視できます。例えば木星の重力で木星の公転周期で太陽は1個分ズレます。
Q:これまでに見つかった最も遠い天体は?どうやって測った?
A:ガンマ線バーストやクウェーサーなどが見かけの距離で130億光年くらいです。測り方は赤方偏移です。
Q:金星以外の太陽までの距離を測る方法は?
A:知りません。かつてアリスタルコスが半月を使って調べました。
Q:なぜ遠いと暗くなる?
A:深遠な質問なのか。。それとも。。逆だと宇宙は昼間の様になるでしょうね。。自分で考えてください。
Q:小惑星など近くの天体の距離はどうやって測る?
A:地球上の離れた2点から観測すれば大抵求められます。
Q:年周視差はどうやって測ったの?
A: へリオメータ
を使いました。板書で説明します。
Q:なぜ、宇宙人がいると思うの?
A:まず我々が宇宙人であること。特別だとは思ってはいけないこと。銀河には2千億の星があり、銀河は宇宙に2千億あると考えられていること。