2018年10月10日の質問に対する回答
座標関連
Q:星の座標を最初に使ったのは誰?
A:すみません。知りません。
Q:ラジアンと度はどっちを使うの?
A:ラジアンは距離を掛けてあげれば対称の大きさがわかるし、その逆でも使えます。度はそうはいきません。ただ、小学生のころから使うので直感と会いやすいですよね。例えば1.04ラジアンと言われてもピンときませんが60度と言われれま、三角定規の角度を思い出せます。
Q:宇宙の座標はある?例えば宇宙の中心で定義されたような。
A:ありません。宇宙は等方なので残念ながら宇宙に中心はありません。
恒星時と天体の赤経(赤緯)について誤解が多い(つまり解説が悪かった)ので再度説明します。恒星時は星を基準にした「時間」の概念です。一方赤経も時・分・秒で表しますが「角度」の概念です。赤経を角度(度)で表しても良いのですが、天体の運動が時計の様に振舞い、観測の都合上こちらの方が便利なのです。例えば今南中している天体が赤経0時の天体だったとします。この天体は6時間後にはおよそ地平線に沈んでしまい、直感とよく合います。逆に赤経6時の天体が東から登り始め6時間後に南中するという具合です。
Q:恒星時と太陽時は1年経つと1日くらいズレちゃうけど。
A:日常生活は太陽時計、天体観測には恒星時計を使います。観測所には2つの時計が壁についています。恒星時計は観測地の経度を補正した(グリニッジに対する時差)恒星時計がその観測地で南中している天体の赤経を教えてくれます。観測者はその時計を見ながら、適切な観測天体を選びます。ちなみにうるう年は公転時間が自転時間で割り切れず、あまりが0.2422日なので、4年に一度修正しないとどんどん春分の日が実際の春分点からずれてしまうために導入されます。さらに端数はうるう秒で修正されます。恒星時自体はそもそも角度の概念なのでうるうの概念は不要です。
Q:真の北極星はありますか?
A:北極星より極に近い星はあります。
Q:自転軸の傾きはどうやって分かった?
A:1年を通して太陽の南中高度が変わることからでしょうね。
Q:なぜ地軸は公転面に対して傾いているの?
A:惑星は原始太陽系円盤(ガスや塵が濃く回転する円盤)からできたので、惑星の自転軸は公転の軸と一致するのが自然です。しかしそれは完ぺきではなくばらつきがあります。惑星との衝突も含めて地球の材料たちが持っていた角運動量が傾いていたからでしょう。天王星は98度傾いています。
Q:地軸の傾斜角がが23・1/2は一般的?
A:23.5000・・度というわけではありません。
Q:自転軸が一定なのはなぜ?
A:角運動量は保存料です。地球の角運動量は大変大きく宇宙でからの外乱(隕石衝突など)は極めて小さいからです。
Q:天体の公転周期が急に変わることはある?
A:ほぼないでしょうね。惑星系の初期段階では相互が干渉しあって飛ばされてしまうこともありますが。安定したシステムであれば逆説出来ですが、存在するから安定なのです。地球は長い目で見ると月に角運動量を奪われていて、遅くなります。逆に月は3cm/年の速さで遠ざかっています。
Q:日本が春分の時は世界も春分?
A:はい、そうです。
Q:公転軌道がずれて春分秋分がズレることはある?
A:歳差により公転軌道ではなく点の赤道面の方が移動して春分点が移動します。
Q:春分点のずれで季節がズレない?
A:春分などは。
Q:春分点や秋分点の星はいずれずれない?
A:「春分点の星」という概念がありません。
Q:なぜ恒星時が太陽時に比べて4分短いの?
A:1日(太陽が南中してから再び南中する時間)の間に太陽の周りをおよそ1度公転します。24時間×60分/360=4分だけ恒星に比べて太陽が南中するには長い時間が必要です。
Q:赤緯は観測地点によって変わる?
A:変わりません。赤経・赤緯は天体の住所です。観測者がどこにいようが住所は変わりません。観測地によって見える方向が変わるのです。
Q:天体の住所録はあるの?
A:もちろんあります。だから観測できるのです。カタログと呼ばれ、多数出版されています。
Q:黄道12星座はどう決まった?
A:星座は全天に88あります。そのうち黄道面に近く赤経がおよそ2時間(30度)おきのものを選んだのでしょう。
Q:惑星の自転周期は太陽時と恒星時のどちらを使うの?
A:太陽時です。
Q:太陽系内の天体を表すには太陽時のほうが良い?
A:太陽に関しては言えるかもしれません。
Q:衛星を観測するときはどうするの?
A:衛星に限らず太陽系の天体は近いため星と異なり大きく天球上を移動するので住所を持ちません。この運動は力学法則にしたがっているので予想ができます。
Q:赤経赤緯が秒角単位まで出ているけどそんなに細かく分かるの?
A:はい。なお、赤経の1秒は赤緯ゼロでは15秒角に相当します。赤緯の1秒角は1秒角です。
宇宙、運動に関連
Q:サイズに対して運動が小さければ見かけの方向が変わらないとのことだが、少しはズレるのでは?
A:年周視差(地球の公転運動)と近傍の星の固有運動は秒角程度のずれを生みますが、銀河回転や銀河同士の運動はミリ秒角/年以下で、観測において座標の補正をする必要はありません。
Q:銀河回転などはどうやって測ったの?
A:ドップラーシフトですね。系外の銀河であればとてもはっきり見えます。
Q:銀河団よりおおきな構造が無いと言える理由は?
A:大規模構造があります。この図はz=0.2(およそ1Gpc)までの宇宙であり、大規模構造はそこまで続いているように見えます。なお銀河団は大規模構造の中で銀河が集中しているところです。これより大きな構造はまだ発見されていません。しかし、これは興味深い問題だと思います。大規模構造が複数孤立して存在している可能性は否定されていないのではないでしょうか。
Q:回転している銀河としていない銀河の違いは?
A:大きく分けて回転しているのは渦巻銀河、そうでないものは楕円銀河です。楕円銀河は3軸楕円体に星が分布していて、個々の星は重心(ブラックホールが鎮座してます)を中心に個々の楕円運動をしています。
Q:天の川銀河の大きさはどうやって分かった?
A:古くはハーシェルやカプタインらが星の真の明るさを同じだと仮定し、その明るさと分布から推定しました。この時にはすでにベッセルらの年周視差の観測で最寄りの星までの距離が分かっています。現在ではGAIA衛星などにより銀河中心まで(銀河のおよそ半分)の星の距離が年周視差で分かっています。
Q:北半球に星が少ないのは?
A:銀河中心が南半球の天体だからです。
Q:重力波でハッブル定数が得られるという話を聞いたが
A:ハッブル定数は近傍の銀河の後退速度で観測されています。重力波は宇宙の晴れ上がりの前(それ以前は宇宙がプラズマで光がまっすす進むことができず情報を失っているため、電磁波では知ることのできない宇宙の初期のころの状態)の情報を教えてくれる可能性があり、宇宙論の理解に期待されています
その他
Q:赤道付近は全天が観測できるので天文台も多い?
A:それはないですね。赤道付近に陸地が少ないことも影響していると思いますが。南半球には陸地もあり、興味深い天体が多いのでたくさんの観測所があります。
Q:緯度の違いは観測点域以外にある?
A:季節による昼夜の時間が異なるくらいですかね。例えば極では冬は24時間夜であり、夏は24時間昼になり観測できません。逆に赤道では連続観測をしたくてもすべての天体は12時間以内に沈んでしまいます。
Q:立体角について
A:講義では説明していませんが、観測視野と関連するので説明します。角度は円弧の長さを半径で割ったものです。なので、360度(1周)は2πです。立体角は部分球面の表面積を半径で割ったものです。ですので、全天は4π sr(ステラジアン)となります。もちろんこの面積の形は任意です。観測ではステラジアンの代わりに良く平方度(deg^2)の単位を使いますが、基本的に同じです。望遠鏡の視野は大きくても1平方度程度なので、ステラジアンで表すと小さすぎでイメージできないからです(4π srはおよそ4万平方度)。
Q:宇宙に地球外生命がいる確率は?
A:それは分かりません。確立なので、実際に検出されてなくても推定は出来るはずです。僕は100%いると思いますが、割合は意外と大変低いかもしれません。
Q:AIは天文学に応用されてますか?
A:はい。銀河の判定など。人工知能とは異なりますが、太陽表面の様子とフレアの関係なども挙げられます。