論文紹介

The luminosity dependence of quasar UV continuum slope: dust extinction scenario

X.Xie, Z.Shao, S.Shen, H.Liu, L.Li

arXiv:1604.05892

Introduction

• standard thin disk (STD) model: α~1/3
  実際の観測値: α=-0.5
  色々な model が提案されているが、なかなか赤くはならない
  dust や母銀河の影響なども考えられている

• dust 分布
  中心部の torus と母銀河

• intrinsic UV continuum
  傾きは luminosity によらない (EW(Lyα)~一定より) ← 参照している論文が古過ぎ
  　　Lyα も Baldwin Effect に従い、明るいものほど EW(Lyα) は小さくなる。
  暗いものほど dust が増える
  青い Quasar でも dust の影響を受けている可能性がある

Observational Slopes and their luminosity dependence

Quasar sample and continuum slope measurement

• data
  SDSS DR7 Quasar catalog (105,783 天体)
  M_i < -22, FWHM > 1000km/s or BAL

• continuum の傾き
  1350-1365Å, 2210-2230Å, 4200-4230Åは輝線の影響を受けない
  0.71 < z < 1.19: 波長の長い２つの傾き α_NUV
  1.90 < z < 3.15: 波長の短い２つの傾き α_FUV

• data から除いたもの
  
  • BAL 天体
  • L_bol または M_BH のわからないもの
    
  • continuum 計測範囲内に、負の値の多いもの (S/N 不足)
    
  NUV 19258天体、FUV 19671天体
  

Slope results and their luminosity dependence

• fitting 結果
  α_NUV = -0.36±0.46
  α_FUV = -0.51±0.48
  上記平均値は過去の他の論文の結果とも一致

  Fig.1: L_bol - α関係

  

• 明るい Quasar 程 scatter が減る
  個々の測定エラーよりも scatter が大きい
  (Monte-Carlo で intrinsic dispersion を確認)

• 暗い Quasar 程赤い continuum を持つ
  STD slope (1/3) よりはほぼ全て小さい → 上限値になっている？

Model and Algorithm

Intrinsic continuum slope

• STD 上の温度分布 (Kato et al. 1998)

  

  α_SS = 0.1 : 粘性パラメータ
  m : BH 質量
  mdot : Eddington 比 (L_bol/L_edd)
  r : 中心からの距離 (R/R_S)
  f ≡ 1-√(3/r)

  スペクトルは以下で計算される

  

  r_in = 3R_S
  r_out = 1000K になる r

• Fig.2: Model による L_bol - α_FUV 関係

  

Dust extinction vector

• dust の影響

  

  el_λ = A_λ/E(B-V)

• L_bol への寄与

  

  

  Fig.2 上で、赤化ベクトルの方向は el_λ 、長さは E(B-V) で決まる
  SMC type の場合、flat type に比べて E(B-V) は小さくて済む

Estimation of E(B-V)

• extinction では FWHM は変化しないので、extinction 補正が M_BH に及ぼす影響は

  M_BH ∝ L_λ^b ∝ L_bol^b より

  

  b = 0.62 (NUV), 0.53(FUV) (Shen et al. 2011)

  これで Fig.2 の　m, mdot 格子上での extinction 補正方向が決まる(magenta の線)
  この線と、上記赤化ベクトルの延長線が交わる場所が intrinsic の値

  以後、Fig.1 の median 値に対する考察を進める

L-E(B-V) relation

• Fig.3: median quasars に対する extinction 補正

  

  • それぞれのグループでは、暗いものほど赤化を受けている
  • SMC type の場合は E(B-V) = 0.05~0.2 程度で済むが、flat type は２倍程度かそれ以上必要

  Gaskell & Benker 2007 (GB07) とは大体の傾向は同じ。
  彼らが dust 無しとして選んだ基準 Quasar は STD model と比較するとまだまだ赤い (Fig.1　白〇) 事に注意
  

• flat type だと NUV, FUV がうまく繋がらないが...
  • STD model よりも continuum が soft だった場合、違いは小さくなる
  • FUV sample はより遠方で明るいので何らかの bias があるかも
  • high-z だと cosmic dust の影響で赤化が増えるという報告もある

Discussion

luminosity dependence of dust extinction

• 暗い天体の continuum そのものが赤い場合
  → Baldwin effect とは逆センスで説明できない

• dust extinction と考えるのが自然
  → R_sub ∝ √L で、L_bol 大だと covering factor 小
  → L_bol 大だと type I/type II 比大、L_IR/L_bol 小となることとも合う

• dust の type も違う？
  L大だと、小さい dust は分解 or 吹き飛ばされて大きい dust だけが残る
  → L小ほど SMC type に近いものになってα大としているかも

redshift dependence of α

• cosmic dust の補正をしたのがFig.3 の点線
  → 大局的には影響は少なく、local dust の方が重要