論文紹介

Dusty Quasars

C.M.Krawczyk, G.T.Richards, S.C.Gallagher, K.M.Leighly, P.C.Hewett, N.P.Ross, P.B.Hall

arXiv:1412.7039

Introduction

• Red QSO は元々赤いのか、Dust で赤いのか
  Continuum は accretion disk からの多温度熱放射
  Continuum ピークは明るさと相関??? (Scott et al. 2004, Shang et al. 2005)

• Continuum の傾きをα_λ として、

  

  extinction が大きいと power law continuum は上に凸に曲がるはず
  → extinction の指標にしてみる

Data

• mid-IR through UV cross-matched catalog (Krawczyk et al. 2013)
  SDSS DR7 quasar catalog より
  Spitzer, WISE, 2MASS, UKIDSS, GALEX でも受かっているもの

• 母銀河の成分を Fioc & Rocca-Volmerange (1997) の elliptical galaxy template で引く

• Our galaxy の extinction を補正

• 手前に深い吸収線の成分があるものは除く(foreground 吸収を避ける)

• Normal: 34,233 天体, BAL: 1,744 天体 (性質が異なる可能性が高いので分けて調査)

  

  静止波長で Lyα 〜 1μm までのdata のみを用いる

Fitting Reddening Models to Quasar Photometry

Modal Colors

• カラー分布

  

  中央値からのずれを調べる

  

  i-z の偏差分布 Δ(i-z) よりも、Δ(u-g) の方が赤側の超過が大きい
  → dust の影響 (power law の傾き変化なら同等になるはず)

Red vs. Reddened: Photometry

• 偏差の要因
  power law 傾きの偏差を Δ(α_λ) として、

  

  Fig.2 のカラーから、α _λ = -1.72 (α_ν = -0.28) が平均値
  偏差と観測値の関係は

  

  通常の dust の影響は Δm に曲率を与える

  

  Δm をチェビシェフ多項式で展開

  0次(c₀)：1
  1次(c₁)：x
  2次(c₂)：2x²-1
  3次(c₃)：4x³-3x
  ...

• c₁, c₂ の分布

  

  左は Normal 右は BAL の結果
  SMC もしくはそれよりも steep なものが合いそう(以下、SMC と L14-QSO を使う)

Monte Carlo Parameter Estimation

• 2.5Δ(α_λ) と E(B-V) の縮退を解くため、モンテカルロシミュレーションを行う。
  2.5Δ(α_λ): 平均μ_α, 標準偏差σ_α の正規乱数
  E(B-V): 平均μ_dust, 標準偏差σ_dust の正規乱数＋rate parameter λ_dust の指数乱数
  　　　(exponentially modified Gaussian : 実際の Quasar の E(B-V) 分布に非常に近い)

MCMC Results: Population Parameters

• シミュレーションによる分布の再現

  

  シミュレーション結果(左)と、実際のデータとの残差(右)
  シミュレーション分布は実際より横長で、赤化の影響を過小評価

• パラメータ相関

  

  Δ(α_λ) 平均 = μ_α/2.5 ~ 0.07 で、intrinsic な傾き平均は少し青い
  Normal と BAL では BAL の方が少し青いという結果となった

  

  μ_α と μ_dust は縮退していてなかなか区別が難しい
  μ_dust は Normal では負、BAL では正 → BAL は dust 減光があり Normal はない

MCMC Results: Individual Parameters

• 2.5Δ(α_λ) と E(B-V) の確率分布
  selection effect により、左上方向には伸びない(赤過ぎ)
  L14-QSO reddening law の場合(Fig.10)は、E(B-V) が小さくなるが傾向は同じ

  

• "BAL 率" の分布
  intinsic color が青く、赤化が大きいと BAL 率が上がる

  

Which Reddening Law Fits Better?

• Deviance Information Criterion (DIC) による判断
  DIC は Bayesian Information Criterion (BIC) を一般化したもの
  likelihood (χ² のようなもの, 小さいほどよい)と penalty (自由度などのモデルの複雑さ)を組み合わせて算出される
  DIC 値の差が２以下ならほぼ同等、６以上であれば確定的

  

  

  DIC によると大半の場合で SMC の方が合っている

Composite Spectra

• 2.5Δ(α_λ), E(B-V) によるグループ分け

  

  

Red vs. Reddened: Spectra

• 最も赤化の大きいグループは、スペクトルの曲率が合っていない
  → 多重散乱など、より steep な減光曲線が必要

• 最も青いグループでも、power law からのずれがある
  → continuum のピークが近づいていて実際に曲がりがあった場合は、SMC law ではなくなる

• BAL では E(B-V)大 → CIV abs 広 & HeII 弱

Individual Lines

• continuum と emission line の関係を E(B-V) 最小のグループで調べる
  (明るさを揃えるため、最も青い２つのグループは除く)

  

• continuum 赤だと...
  CIV 強 & red wing 大
  HeII, OIII]/AlII/FeII 強
  CIII] 強 & redshift, AlIII 弱
  　(これら２つは X-ray continuum が hard である事を示す)
  MgII 狭 (M_BH小)
  [OII] 強広 (母銀河成分が引き足りない？ or 星生成大？)
  Hγ 弱, [OIII]4363 弱
  Hβ 弱& 狭(face-on)
  [OIII]5007 弱
  Hα 弱
  SBB 弱(Balmer cont 弱)

• BAL の場合

  

  Normal の場合と大体同じだが、continuum 赤だと CIV の青側に吸収が出る