論文紹介

The Rest-frame Optical Spectra of SCUBA Galaxies (astro-ph/0412050)

Mark Swinbank, Ian Smail, Scott Chapman, Andrew Blain, Rob Ivison, William Keel, 2004, ApJ, 617, 64

• Observations
  　　Target: Chapman et al.(2003a,2004a) の SMG/OFRG 天体のカタログ (median z〜2.4)
  　　　　　　(Sub-mm (SCUBA,MAMBO)で検出し電波で follow up　したもの)
  　　　　　　その中から Hα が夜光輝線位置に重ならないものを選んだ。

  　　Observation: IRTF/NFSCAM (CVF R=90)
  　　　　　　　　UKIRT/UFTI (NBF R〜100/FP)

  

  　　　　　　　　Keck/NIRSPEC (分光 R〜1500) 70% で輝線検出
  　　　　　　　　VLT/ISAAC (分光　R=3000)　1天体のみ

  　　　　　　　　[NII]/Hα<0.7 & FWHM<500km/s → SB (9/23)
  　　　　　　　　500km/s<FWHM<1000km/s → Intermediate (3/23)
  　　　　　　　　[NII]/Hα>0.7 &| FWHM>1000km/s → AGN (11/23)

  　　　　　　　　rest-UV で SB と判定されたもの 15 天体の内訳：SB/Int/AGN=9/3/3
  　　　　　　　　rest-UV で AGN と判定されたもの 3 天体の内訳：SB/Int/AGN=0/0/3

  　　　　　　　　sub-mm の明るさはどれもほぼ同じ
  　　　　　　　　slit 部分の透過効率 0.62±0.06 (もっとばらつきは大きいかも？)

  

  

  

  

  

• Star Formation Rates
  　　SFR(Hα) [Mo/yr] = 7.9×10^-35 L(Hα) [W] (Kennicutt et al.1998)
  　　　(ionising photon が全て nebular line になるという仮定で算出した値)

  　　SFR(FIR) [Mo/yr] = 4.5×10^-37 L(FIR) [W] (Kennicutt et al.1998)
  　　　(starburst 後の時間が 100Myr 以下であることが条件)
  　　　L(FIR) は 850μm - 1.4GHz で Chapman et al.(2003a,2004b) が算出した値を利用

• SMM J123635.59+621424.1
  　　Hα FWHM=2500km/s
  　　[NII]/Hα = 0.45
  　　Hard-X あり
  　　　　→ AGN

  　　〜2"(17kpc) 以内に 100km/s の速度構造あり(slit 内部の光度分布の効果より大)
  　　[NII]/Hα = 0.6 → 0.2 に変化
  　　ACS image は spiral で大きさ 1.5"(13kpc)
  　　A1 - A2 間は 0.5"(5kpc) で、interaction 中と考えられる
  

• SMM J123707.21+621408.1
  　　B1 - B2 間は 0.2"(1.7kpc)
  　　〜600km/s 離れた２つの輝線
  　　　　空間方向に 0.2" のずれ
  　　　　Hα - [NII] とすると [SII] も見えるはず
  　　　　　→ B1, B2 それぞれの Hα

  

• SMM J123711.32+621331.3
  　　２つの電波源どちらも sub-mm source
  　　　rest-UV で同定された方は continuum のみ
  　　　もう一方から Hα を検出、400km/s, 8"(70kpc) の offset

• RG J131236.05+424044.1
  　　bright nucleus + diffuse halo 〜2"(16kpc)
  　　〜185km/s, 0.4"(3.4kpc) 離れた２つの component
  　　[NII]/Hα = 0.45 → 0.35 (どちらかというと SB)

  

• SMM J140104.96+025223.5
  　　SMM J14011+0252 (Ivison et al. 2000,2001) と同じ天体
  　　J1：青い
  　　J2：更に青く 2" 西にある
  　　J1n：非常に赤く広がった天体、2-3" 北にある
  　　Hα は J1北側から J1se にかけて広がる → J2 は lensed image ではない
  　　J1 spectrum (Barger et al.1999) を良く見ると、J1 は z=0.248 で A1835 の member
  　　J1n,J1se,J2 は異なる銀河

  

• SMM J163650.43+405734.5
  　　ELAIS-N2 850.4 (Smail et al.2003) と同じ天体
  　　複雑な速度構造については Swinbank et al. 2005 で議論

• Hα properties of SMGs
  　　23天体の結果から composite spectrum を作成(SMM J123707.21+621408.1 は除く)
  　　　　Narrow/Broad 輝線比 0.6
  　　　　FWHM = 1300km/s(Broad), 325km/s(Narrow)
  　　　　[NII]/Hα = 0.42 (ほぼ SB と思ってよい)
  　　　　[SII] の velocity offset は無し
  　　　　[SII]/Hα = 0.1 → LINER or HII (Veilleux et al.1995)
  　　　　これらは近傍の ULIRG と同じで、SB が主な energy source
  　　　　warm ISM に起因する Naλλ5890,5896 absorption 検出
  　　　　Na の velocity offset <150km/s
  　　　　FWHM = 292km/s で Hα の narrow 成分の幅と consistent
  　　　　(近傍では Hα,[SII],Na 間には数100km/s の offset があるのが普通で、offset が無いのはやや特殊)

  　　AGN 以外の13天体でも同様に composite を作成
  　　　　Narrow/Broad 輝線比 0.45
  　　　　FWHM = 890km/s(Broad), 400km/s(Narrow) → SB のグループにも AGN が隠れている
  　　　　[NII]/Hα = 0.19 (SB)
  　　　　[SII]/Hα < 0.14 → energy source は SB

  

• Kinematics of Hα emission
  　　SMG は UV selected sample よりも Hα が強く(extinction 補正無しで〜６倍) FWHM も大きい(〜1.5倍)
  　　原因として考えられるのは、
  　　　　1. halo 質量の違い
  　　　　2. dinamical state の違い
  　　　　3. AGN の寄与の違い
  　　　　4. superwind の寄与の違い

  

  　　SMG の CO 輝線幅(上記 3,4 の影響を受けない) = 420km/s (Neri et al. 2003)で Hα の幅とほぼ同じ
  　　　　→ Hα に対する上記 3,4 の影響も可能性は低い
  　　NB image から Hα の広がりは 0.5"-1"(4-8kpc) → 1-2×10¹¹Mo, dynamical time = 10-20Myr
  　　　　(CO gas の質量 〜6×10¹⁰Mo とも consistent)
  　　UV selected sample の質量は 3.3×10¹⁰Mo で SMG の 1/5
  　　　　→ halo 質量か dinamical state の違いが原因

• Magnitude - Line Width correlations
  　　HYPER-z で extiction を補正(Av〜3)した rest V-mag を推定
  　　FWHM = 2.35×σ
  　　median は Faber-Jackson 関係をほぼ満たしている
  　　(2.5mag の offset はΔ_fadeV (Smail et al.2004) の効果で説明可(astro-ph/0412574))

  

• SFR Comparisons
  　　median 値は SFR(Hα)=94Mo/yr, SFR(FIR)=1380Mo/yr
  　　SFR(FIR)/SFR(Hα) の scatter の原因として以下が考えられる
  　　　　1. FIR で明るい天体は extinction のばらつきも大きい
  　　　　2. SMG は merging 中のものが多く、slit からはみ出る部分のばらつきが大きい

  

• Metallicities
  　　N2 index = log([NII]λ6584/Hα)
  　　12+log(O/H) = 8.90+0.57×N2 (Pettini & Pagel 2004)
  　　reddening と young star の fading の寄与がほぼ釣り合うため、reddening の補正はここではしていない
  　　近傍での Mv - N2 関係と大きくは違わない
  　　SMG はやや subsolar abundance で UV selected sample と同様

  　　Mv の代わりに FWHM を用いると、もう少し abundance が下がる
  　　　　Metallicity の低い gas がどんどん落ちてくる影響
  　　　　Nitrogen は第二世代で急激に増加する(第一世代では増えにくい)
  　　　　等が影響か？ → R23 が欲しい

  

• X-ray comparisons
  　　9/18 が Chandra hard X (2-8keV)で受かっている
  　　Lx = 4πd_L²fx(1+z)^Γ-2 で rest 2-10keV に変換 (Γ=2 として k-correction 込み)
  　　Lx - L(FIR) - L(Hα) (前半は Ranalli et al. 2003) 関係(更にHαを10倍したもの)と比較
  　　　　→ 近傍の IRAS 天体と同様 (hard X では見えるが optical では見えない)
  　　6/18 天体は Chandra deep image でも検出できず、このうち3天体は AGN と判定されているもの！
  　　　　Hαより推定される hard X の明るさより1桁以上低い → BH が育っていない？

  
  

The Rest-Frame Optical Properties of SCUBA Galaxies (astro-ph/0412574)

Ian Smail, S.C. Chapman, A.W. Blain, R.J. Ivison, 2004, ApJ, 616, 71

• Grand-based Optical and Near-infrared Imaging
  　　I/K-band data
  　　　　ELAIS-N2, Lockman Hole：Ivison et al. 2002
  　　　　CFRS03, CFRS14：Webb et al. 2003, Clemans et al. 2004
  　　　　HDF, SA13, SA22：archival imaging data より

  　　J/K-band observation
  　　　　Lockman Hole, CFRS03, CFRS14, SA13, HDF：Hale5m/WIRC2
  　　　　CFRS03, SA13, SA22：UKIRT/UFTI, UIST
  　　　　SA22：AAT/IRIS2

  　　aperture は全て 4"、radio source の位置から1"以内の位置
  

  	<K>	<I-K>	<J-K>
  SMG	19.70	3.71	1.73
  OFRG	20.23	4.14	1.91
  lensed SMG	18.79	4.00	2.23
  全体	19.70	3.80	1.77

  

• HST Optical Observations
  　　GOODS (F435W,F606W,F775W) image に 0.3" gaussian smoothing をかける

  

• Color-magnitude and color-color distributions

  	I-K>5.0	I-K>4.0	備考
  Ivison et al.(2002)	33%	55%	SMG の IK 測光サンプル
  This work	9%	43%	SMG 分光サンプル
  K-selected	3%	12%	普通の field 天体

  
  　　今回の sample は SMG の中では青い方だが、SMG 全体の分布をまずまず反映している
  　　redshift による color の変化は特に無い
  　　z〜1.3-1.8 は redshift desert
  　　SMG の可視対応天体は１つに特定できないことが多いので注意
  　　赤い SMG は 2-color 図で passive と dusty SB の領域両方にまたがる

  

  

• Morphological properties
  　　50-60% が merging/interaction を示す morphology
  　　median apparent size = 2.3"(19kpc)
  　　　→ 普通の field 天体に比べて２倍ほど大きい

  

  　　20% 程度の天体に、Opt/IR 間での位置のずれが見られる
  　　HzRG のような morphology にも見える → HzRG の初期段階？
  　　これについてはまた別の paper で

  

• Magnitude - redshift and color - redshift distributions
  　　明るい２天体は明らかな Broad line AGN
  　　それを除くと、明るい部分は HzRG の分布と一致
  　　広い明るさ範囲に分布(4-5mag) → extinction, starburst age などが影響

  

  　　3つの local ULIRG の evolution track (Trentham et al. 1999) との比較
  　　青いものが多いが、color のばらつきは大きい → extinction, starburst age などが影響

  　　

• Comparison to other high-z populations
  　　(J-K)>2.3 & K<20.5 → z>2 天体
  　　z=2.6-3.4 LBG (Sharpley et al. 2001), BX/BM sample z=1.4-2.6 (Steidel et al. 2004)との比較

  	K	I-K	J-K
  SMG	20.49	3.54	1.73
  LBG	21.35	2.40	1.63
  SMG(z=1.4-2.6)	19.77	3.99	---
  BX/BM	20.49	3.22	---

  
  　　SMG は LBG より２倍(以上)赤くてやや明るい
  　　passive か dusty SB かは Spitzer による中間赤外での観測が効果的

• Simple photometric modeling
  　　median SED はどちらかというと dusty SB に近い
  　　HYPER-z で SED fitting (const.SFR〜1000Mo/yr)
  

  	Age(Myr)	Av
  SMG	530	2.44
  LBG	250	0.92

  
  　　質量は 5×10¹⁰Mo

  

• Comparison to z<<1 ULIRGs
  

  median L(FIR)	1012Lo
  ULIRG	1.9
  z=1-2.5 SMG	3.7
  full SMG	5.0

  
  　　Reddening corrected Lv
  　　　　暗い側では SMG と ULIRG の分布は同じ
  　　　　明るい側では Lv/L_FIR は非常に小さいものから大きいものまで２桁以上に分布

  

  　　Luminosity function
  　　　　SMG の Lv の分布は local ULIRG とよく似ている
  　　　　SMG は gas が多い分 FIR も強く、SF efficiency としては同程度と考えられる

  

• Evolution of SMGs
  　　SMG はその後の星生成が続かないと passive evolution で暗くなっていく
  　　SMG の LF@z=2.2 を z=0.55 まで passive に進化させるとΔV〜 4mag 暗くなる
  　　(z=0.55 cluster LF の bright end と同程度になる)

  

• Discussion and Conclusions
  　　SMG 以降の進化のシナリオ
  　　　　SMG phase：〜100-200Myr starburst @z〜2-3
  　　　　QSO phase：〜10Myr
  　　　　ERO phase：ｚ〜1 付近
  　　　　luminous E：local universe