NH3 によるミラー形状測定
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~iwamuro/NIS/nh3.html

岩室 史英 (京大宇物)


●概要

●解析に用いている C プログラムなど

  • NH3cor2.c
    ./NH3cor2 cfile rfile [step] で、step<0 の場合は角度、step>0 の場合は位置で合わせる
    NH3cor[1-2].dat があれば対向面角度での補正を、NH3cor3.dat があれば Baseline 補正を適用する
  • NH3crmod.c
    ./NH3crmod cfile_ref rfile_ref cfile rfile で、前2つの column #11 で drift 計測して後2つを修正
  • NH3zerfit.c
    ./NH3zerfit rfile で、rfile の column #5,6,7 を 11次 Zernike 多項式で fit、NH3cor1.dat に出力
  • NH3PCfit.c
    ./NH3PCfit rfile で、rfile の column #5,6,9 を円周9次半径10次の極座標関数で fit、NH3cor2.dat に出力
  • NH3cor.dat
    鏡面パラメータのリスト、使うもの以外はコメントアウトしておく
  • memo.txt
    解析手順の例

●R38.3175 基準原器測定結果

  • 測定方法
    半径 5mm の円環パスで 2.5°間隔で 144点測定
    直径に沿って -8.5〜8.5mm を 0.1mm 間隔で 171点測定

    以下の順で測定面の傾きと計測値補正の関係を算出

    1. 原器中心位置合わせと残差計算
    2. 円環パスの始点と終点をドリフト補正でつなぎ、直径パスを円環パスでドリフト補正
    3. 直径パス残差を 11次 Zernike 多項式で fit
    4. 残りの残差を独自の極座標関数(円周9次、半径10次)で fit

    上記4手順の結果は以下の通り。

    NH3 は対象面の傾斜により結果に影響が出るようなので、この原器測定で補正量を対象面の傾きの関数として保存する。ドリフト補正や関数 fit の際は、最寄りの5測定の残差のメジアンを使うことでノイズを削除して評価した。最終的な残差は σ=0.11μm。この関数は、以前 x,y スキャンで計測した際の結果とは明らかに異なっており、装置の状態によってかなり変化する印象だ。

●平面原器測定結果

  • 測定方法
    半径 70mm の円環パスで 2.5°間隔で 144点測定
    直径に沿って -74〜74mm を 0.5mm 間隔で 297点測定

    対象面傾き補正を適用し、以下の順で測定面の形状を計測

    1. 原器傾き合わせと残差計算
    2. 円環パスの始点と終点をドリフト補正でつなぎ、直径パスを円環パスでドリフト補正

    上記2手順の結果は以下の通り。

    この原器は 0.32° 程度の傾斜が付いているようだが、どうやら表裏両面とも干渉計で平面度が保証されているが平行平面ではないという平面原器であるらしい。なので、この成分は走査ステージの反りを表しており、最終的に差し引くべき値のようだ。

●Mirror #3 測定結果(修正研磨前)

  • 測定方法
    半径 70mm の円環パスで 2.5°間隔で 144点測定
    直径に沿って -75〜75mm を 0.5mm 間隔で 301点測定

    対象面傾き補正を適用し、以下の順で測定面の形状を計測

    1. 中心合わせと残差計算
    2. 円環パスの始点と終点をドリフト補正でつなぎ、直径パスを円環パスでドリフト補正

    上記2手順の結果は以下の通り。

    中心位置が、(x,y)=(-4.50,2.08) とかなりずれていたが、測定機器の都合で(-4.5,2.0)を原点とするようにずらしたそうなので、実質的なずれは (0,00,0.08) で問題なかった。

●Mirror #3 測定結果(修正研磨後)

  • 測定方法
    半径 70mm の円環パスで 2.5°間隔で 144点測定
    直径に沿って -75〜75mm を 0.5mm 間隔で 301点測定

    対象面傾き補正を適用し、以下の順で測定面の形状を計測

    1. 中心合わせと残差計算
    2. 円環パスの始点と終点をドリフト補正でつなぎ、直径パスを円環パスでドリフト補正

    上記2手順の結果は以下の通り。

    中心位置の実質的なずれは (0.00,0.06) と少し小さくなり、形状もかなり良くなった。両端の部分は光は当たらない(-47<x<53)ので多分修正研磨がされていない。

●Mirror #4 測定結果(修正研磨前)

  • 測定方法
    半径 40mm の円環パスで 2.5°間隔で 144点測定
    直径に沿って -55〜55mm を 0.5mm 間隔で 221点測定

    対象面傾き補正を適用し、以下の順で測定面の形状を計測

    1. 中心合わせと残差計算
    2. 円環パスの始点と終点をドリフト補正でつなぎ、直径パスを円環パスでドリフト補正

    上記2手順の結果は以下の通り。

    中心位置は、(x,y)=(0.00,0.00) で、形状もまずまず。

●Mirror #4 測定結果(修正研磨後)

  • 測定方法
    半径 40mm の円環パスで 2.5°間隔で 144点測定
    直径に沿って -55〜55mm を 0.5mm 間隔で 221点測定

    対象面傾き補正を適用し、以下の順で測定面の形状を計測

    1. 中心合わせと残差計算
    2. 円環パスの始点と終点をドリフト補正でつなぎ、直径パスを円環パスでドリフト補正

    上記2手順の結果は以下の通り。

    中心位置は、(x,y)=(0.12,-0.18) となったが、形状はかなり良くなった。

    こうしてみると、最終結果に 20mm 間隔で縦縞が共通して入っていて、全て凸にずれている感じがする。計測器の x 方向のガイドが波打っていたり、ガイドが反っていたりする可能性も考えられる。M3 と M4 の修正研磨後の結果から、平面原器の結果を差し引いてみたのが以下。

●Mirror #3 測定結果(再修正研磨後)

  • 測定方法
    半径 70mm の円環パスで 2.5°間隔で 144点測定
    直径に沿って -75〜75mm を 0.5mm 間隔で 301点測定

    対象面傾き補正を適用し、以下の順で測定面の形状を計測

    1. 中心合わせと残差計算
    2. 円環パスの始点と終点をドリフト補正でつなぎ、直径パスを円環パスでドリフト補正
    3. 平面原器の測定結果を差し引く

    球面原器と平面原器の測定データは1年前のものを使用している。
    上記3手順の結果は以下の通り。

    中心位置の実質的なずれは (-0.01,0.08) と元に戻ったが、形状は更に良くなった。上下左右端の部分は光は当たらないので修正研磨がされていない。

●Mirror #4 測定結果(再修正研磨後)

  • 測定方法
    半径 40mm の円環パスで 2.5°間隔で 144点測定
    直径に沿って -55〜55mm を 0.5mm 間隔で 221点測定

    対象面傾き補正を適用し、以下の順で測定面の形状を計測

    1. 中心合わせと残差計算
    2. 円環パスの始点と終点をドリフト補正でつなぎ、直径パスを円環パスでドリフト補正
    3. 平面原器の測定結果を差し引く

    球面原器と平面原器の測定データは1年前のものを使用している。
    上記3手順の結果は以下の通り。

    中心位置は、(x,y)=(-0.01,0.04) と良くなり、形状はやや過補正気味だが悪化はしていない。

●R38.3175 基準原器測定結果(2回目)

  • 測定方法
    半径 5mm の円環パスで 2.5°間隔で 144点測定
    直径に沿って -8.5〜8.5mm を 0.05mm 間隔で 341点測定

    対象面傾き補正を適用し、以下の順で測定面の形状を計測

    1. 原器中心位置合わせと残差計算
    2. 円環パスの始点と終点をドリフト補正でつなぎ、直径パスを円環パスでドリフト補正

    球面原器と平面原器の測定データは1年前のものを使用している。
    上記2手順の結果は以下の通り。

    この1年間でのそれほど大きな変化は見られないが、下端の方で対向面角度の影響が変化している部分が見られることと、上端ではドリフトが原因と思われる波打ちが見られる。しかし、これはよく見ると1年前の計測時の Zernike fit 後のデータでも見えており、補正前のデータで比較する必要があると判断した。

    以下の順で測定面の傾きと計測値補正の関係を算出

    1. 原器中心位置合わせと残差計算
    2. 円環パスの始点と終点をドリフト補正でつなぎ、直径パスを円環パスでドリフト補正
    3. 直径パス残差を 11次 Zernike 多項式で fit
    4. 残りの残差を独自の極座標関数(円周9次、半径10次)で fit

    上記4手順の結果は以下の通り。

    上図左から3つ目の Zernike fit 後の画像を1年前のものと比較すると、上端の波打ちがより顕著になりやや左側にも現れている。原器がこのような波打ち形状をしているとは考えにくいし、半径方向の測定間隔が半分になって測定時間が増えているはずなのに、似たような場所にドリフトが現れるのも不自然だ。この波打ち現象の原因は不明だが、とりあえずこのまま解析を進める。

●Mirror#3 & #4 測定結果(再修正研磨後)

    球面原器の新しい測定結果を用いて、Mirror#3, #4 を再解析してみた。球面原器の波打ちが見られる対向面角度に相当する部分は、Mirror#3 には無く、Mirror#4 の上端ぎりぎり付近が対応するが、結果はほとんど同じで球面原器の波打ち部分の影響はあまりない感じ。


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