近赤外相対測光分光器
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~iwamuro/NIS/index7.html

岩室 史英 (京大宇物)


●概要

  • φ12' 内の任意の2天体を同時に測光分光
    比較天体に対するターゲットの微小なスペクトル変化をモニタする
  • 波長範囲 : 0.86-2.1μm (長波長側はファイバーで決まる)
  • 波長分解能: 4000

    バンド次数左端右端
    K31.9202.400
    H41.4401.800
    J51.1781.440
    Y60.9971.178
    z70.8640.997

  • 観測視野 : 5"x8" ひし形 (ファイバー25本) x2

    Object
    Reference

  • 離散スリット: クロスディスパーザの分散小

  • 反射光学系: バイコニックミラーのみの6面反射


● Mirror #3,#4 のホルダ設計

    自由度6で位置調整可能なホルダを設計、Mirror #3 のホルダを製作


●バイコニック鏡の修正研磨と形状計測

  • 拡張フーコー法での計測結果
    下図左は Mirror #1、右が Mirror #2(各面4 or 9 分割で計測)。
    上段が修正研磨前、下段が修正研磨後(修正研磨は光の当たる部分のみ)。


  • パナソニック プロダクションエンジニアリング社製 超高精度三次元測定機 UA3P でミラー形状を計測した。

    サンプルが大きすぎるので少しずつずらして3つの領域に分けて計測、それぞれの計測は 0.1mm ピッチの一次元計測を 10mm 間隔で縦方向と横方向の2パターンで行い、相互の結果を比較することで長時間の原点ドリフトを補正する(1計測は約25分)。

    以下は、ドリフト補正後の測定値の設計値からのずれ。縦方向は 1/2 に圧縮してあり、色は 3μm 以上, 1〜3μm, -1〜1μm, -3〜-1μm, -3μm 未満
    修正研磨前の状態が下図。

X スキャン結果Y スキャン結果
Mirror #1
Mirror #2
    修正研磨後の鏡の UA3P での再計測は、Mirror #1 は完了で Mirror #2 はもうすぐという状況。Mirror #1 の計測結果は以下。

X スキャン結果Y スキャン結果
Mirror #1

    上記、2つのスキャン方向の情報を平均化し、隙間部分を拡張フーコーの結果を用いて補間すると、Mirror #1 の最終形状は以下のようになる。

    修正研磨により、2つの鏡面には1μm 程度の高低差ができてしまったが、光の当たる部分は設計値より1μm 以内の形状に収まっているのでこれで問題なさそう。 Mirror #2 に関しても、拡張フーコーでは良い結果が出ているので UA3P の測定でも問題ない結果が出ると思う。


●今後の予定

  • 科研費基盤 B
    技術開発にウェイトを置いた科研費提案で2回、サイエンス中心の提案で1回失敗したので、そもそも検出器が入手できるのか?という部分がネックになっている印象で、この道筋を付けないと厳しそう。

  • Mirror #3,#4 (凸面2枚) の形状計測と修正研磨
    凸面は機械計測しかできないので、小さくても結構大変。

  • コーティングなしの状態で光学系組み合わせ試験
    凸面2枚の完成と、Mirror #4 のホルダの製作後で、時間はかかるがここまでは科研費なしで進める。


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