近赤外相対測光分光器
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~iwamuro/NIS/index6.html

岩室 史英 (京大宇物)


●概要

  • φ12' 内の任意の2天体を同時に測光分光
    比較天体に対するターゲットの微小なスペクトル変化をモニタする
  • 波長範囲 : 0.86-2.1μm (長波長側はファイバーで決まる)
  • 波長分解能: 4000

    バンド次数左端右端
    K31.9202.400
    H41.4401.800
    J51.1781.440
    Y60.9971.178
    z70.8640.997

  • 観測視野 : 5"x8" ひし形 (ファイバー25本) x2

    Object
    Reference

  • 離散スリット: クロスディスパーザの分散小

  • 反射光学系: バイコニックミラーのみの6面反射

●バイコニック鏡の形状計測

  • 拡張フーコー法での計測結果
    下図左は Mirror #1、右が Mirror #2(各面4 or 9 分割で計測)。
    1面ずつ計測した結果を並べたものなので、相対位置関係に関しては不明。

  • パナソニック プロダクションエンジニアリング社製 超高精度三次元測定機 UA3P でミラー形状を計測した。

    サンプルが大きすぎるので少しずつずらして3つの領域に分けて計測、それぞれの計測は 0.1mm ピッチの一次元計測を 10mm 間隔で縦方向と横方向の2パターンで行い、相互の結果を比較することで長時間の原点ドリフトを補正する(1計測は約25分)。

    以下は、ドリフト補正後の測定値の設計値からのずれ。縦方向は 1/2 に圧縮してあり、色は 3μm 以上, 1〜3μm, -1〜1μm, -3〜-1μm, -3μm 未満

X スキャン結果Y スキャン結果
Mirror #1
Mirror #2
    Mirror #1 の方は大体拡張フーコーの結果と同じだが、Mirror #2 の方はそもそも2面の位置関係がかなり悪いようで、全体的に V 字になっている。なぜこうなったのかの原因は不明だが、このずれ量を全て修正研磨で取るのは大変なので、設計値を修正してどこまで歩み寄れるか調べた。その結果、2面の傾きを少し変えて V 字に近づけるのは像質劣化が3%で済むので、設計値のミラーの傾きを変えることで対応することにした(傾きだけでなく横ずれも加えて最適化すると像サイズが10倍以上悪くなる)。以下は、修正した設計値に対する測定値のずれ。色は上図と同じ。

X スキャン結果Y スキャン結果
Mirror #2

    上記、2つのスキャン方向の情報を平均化し、隙間部分を拡張フーコーの結果を用いて補間すると、2つのミラーの修正研磨量は以下のようになる。

    現在、上記データに基づいた修正研磨作業中で、Mirror #1 は完了、Mirror #2 は現在作業中。また、Mirror #1 の拡張フーコーでの形状確認のための準備作業中。

●今後の予定

  • 科研費基盤 B
    技術開発にウェイトを置いた科研費で2年連続失敗したので、サイエンス(CIV RM 結果を Hβ RM で較正、中間 z 領域での quasar MS)中心にして出してみる

  • Mirror #3,#4 (凸面2枚) の形状計測と修正研磨
    凸面は機械計測しかできないので、小さくても結構大変

  • UA3P による Mirror #1,#2 再計測
    今年度末頃に予定

  • コーティングなしの状態で光学系組み合わせ試験
    全てが問題ないと確認できてからの話...


iwamuro@kusastro.kyoto-u.ac.jp