通常の可視光の撮像観測の手順は以下の通りである。
全ての観測終了後、
![]() Bias |
![]() Dark |
![]() Dark 差引後 |
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![]() Flat |
![]() 最終画像 |
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![]() Flat |
![]() Flat で割った後 |
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ある天体を t 秒積分、n pixel で観測した場合の S/N 比(シグナル/ノイズ比)は以下のように与えられる。
S/N = sg・t / √((sg+(bg+dk)n)t+rn2n) (1)
sg:天体からの光によって生じる電子数 (e/sec)
bg:背景光によって生じる電子数 (e/sec/pixel)
dk:検出器の暗電流 (e/sec/pixel)
rn:読み出しノイズ (erms)
t :積分時間 (sec)
n :天体の広がり (pixel)
明るい天体の場合は、
S/N ~ √(sg・t) (2)
暗い天体の場合は、
S/N ~ sg・√t / √((bg+dk)n) (3)
天体も背景も暗く、読み出しノイズで S/N が決まる場合は、
S/N ~ sg・t / (rn√n) (4)
となる。
sg = Fλ・Δλ・S・ε/hν
bg = Iλ・Δλ・ΔΩ・S・ε/hν
Fλ:天体からの flux density (erg s-1 cm-2 μm-1)
Iλ:背景光の表面輝度 (erg s-1 cm-2 μm-1 arcsec-2)
Δλ:観測波長幅 (μm)
ΔΩ:1 pixel の見る立体角 (arcsec2)
S:望遠鏡の主鏡面積 (cm2)
ε:観測システム全体の効率 (光学系効率×検出器の量子効率)
hν:入射光子1個のエネルギー (erg)
Signal = (bg+dk)t
Noise = √((bg+dk)t+rn2)
~ √((bg+dk)t) = √Signal (t>>0)
~ rn (t~0)
conversion factor を K (e/ADU)とすると、デジタル量に変換された後のカウント C (ADU) と ノイズ σ (ADU)は以下のようになる。
C = Signal/K
σ ~ √Signal/K = √C/√K (t>>0)
~ rn/K (t~0)
これより、K, rn が以下のように求められる。
K = C/σ2 (t>>0)
rn = Kσ (t~0)
露出時間が非常に短い場合や、可視光での狭帯域フィルターでの観測、可視光での分光及び赤外での 高分散分光などでは、(4)式で表されるような検出器の読み出しノイズで決まる BLIP ではない状態となる。 その場合には、S/N は集められた光子数(主鏡面積や積分時間)に比例する。
検出限界を高くするには、装置をできる限り BLIP の状況で使用することが求められる。 読み出しノイズの寄与を抑える方法として、露出時間を長くする他に、以下の方法が取られている。
前者は空間解像度が落ち、後者は読み出しに時間がかかるという欠点があるが、通常の観測装置には 標準的に備わっている機能である。
主系列星の種類
Type | 有効温度 | B-V | U-B | 質量 | 半径 | 絶対等級 |
---|---|---|---|---|---|---|
O5 | 45000 | -0.30 | -1.10 | 40.0 | 20.0 | -5.5 |
B0 | 29000 | 15.0 | 8.0 | -4.0 | ||
B5 | 15000 | -0.16 | -0.56 | 6.0 | 4.0 | -1.0 |
A0 | 9600 | 0.00 | 0.00 | 3.0 | 2.5 | +0.5 |
A5 | 8300 | +0.15 | +0.11 | 2.0 | 1.7 | +1.8 |
F0 | 7200 | +0.33 | +0.03 | 1.7 | 1.4 | +2.4 |
F5 | 6600 | +0.45 | 0.00 | 1.3 | 1.2 | +3.2 |
G0 | 6000 | +0.60 | +0.12 | 1.1 | 1.0 | +4.4 |
G5 | 5600 | +0.68 | +0.23 | 0.9 | 0.9 | +5.1 |
K0 | 5300 | +0.81 | +0.46 | 0.8 | 0.8 | +5.9 |
K5 | 4400 | +1.15 | +1.10 | 0.7 | 0.7 | +7.2 |
M0 | 3900 | +1.40 | +1.20 | 0.5 | 0.6 | +8.7 |
M5 | 3300 | +1.60 | +1.20 | 0.2 | 0.3 | +12 |
以下は SDSS (Sloan Digital Sky Survey) 観測結果の例。点が集中している部分が主系列星の集まりで、 左下がF型、右上がM型に対応している。
https://skyserver.sdss.org/dr12/en/proj/basic/color/conclusion.aspx