材質 | タイプ | 波長帯 |
---|---|---|
Si | PV | <1.1μm |
Ge | PV | <1.8μm |
HgCdTe | PV | 0.9~2.5μm |
PtSi | SD | 1~4μm |
InSb | PV | 0.9~5.6μm |
Si:As | IBC | 6~27μm |
Si:Sb | IBC | 14~38μm |
Ge:Be | PC | 30~50μm |
Ge:Ga | PC | 40~200μm |
Ge or Si | BM | 200~1000μm |
上記の状態でも光を検出することができるが、CCD では更に buried channel と呼ばれる逆特性の薄い層(下図の場合は、p 型の本体部に対し n 型)を間に設け、励起された電荷が絶縁層に接触しないようにして集める(理由は後述)。p 型と n 型の接合部では、n 型中の電子が p 型中のホールと結合し、n 型が正 p 型が負にとなり自発的な電場の傾斜が現れる。このような境界部分を depletion layer と呼び、この部分で励起された電子は電場の傾斜に沿って移動し、集積される。
通常、CCD は電極のある加工面から光が入射するように用いられるが、電極部分は光を通さないため検出器の有効面積が減ってしまう。それを避けるため、天文学用の CCD では、上図下側の p型 Si の面が非常に薄くなるまで研磨し、裏側から光をあてることによって最大効率が得られるようにしてある。そのような CCD を裏面照射型 CCD と呼ぶ。
読み出し口にはアンプがあり、電荷数を増やしてからデジタル量に変換(A/D 変換)する。
画素数は、現在 2048×4096 (pixel size 15μm□)のものが多く使われるようになってきており、広視野の装置などでは読み出し口以外の3辺を隣り合わせて並べて使用される。
MIT/LL 2k x 4k CCD
https://www.ing.iac.es//~eng/detectors/newccd.htm
以下は、CFH 3.6m 望遠鏡 8k x 12k CCD カメラでの使用例。
https://www.cfht.hawaii.edu/Instruments/Imaging/CFH12K/
4辺とも隣り合わせて並べられるものも開発されている(使用例)。
http://th.nao.ac.jp/MEMBER/hamanatk/obs_workshop13/miyazaki.pdf
近年は、広視野カメラのための curved CCD の開発も進んでいる
また、励起された電荷を電気的信号に変える方法として、以下の3つの方法がある。
HAWAII 検出器は、サファイアの基板の上に CdTe の薄い層をつくり、その上で HgCdTe の p 型半導体結晶を成長させて検出器部分を作る。各 pixel に相当する部分は異なる不純物を加えて n 型となるようにし、pn 接合による depletion layer を形成する。
それとは別に、読み出しのための回路となるマルチプレクサ (MUX) と呼ばれる部分を Si 半導体で作り、最後に検出器と MUX の各 pixel 部分を In (伝導性のある柔らかい金属) で圧着して製作する。
このように、感度のある検出器部分と Si の回路を組み合わせた検出器は hybrid 検出器と呼ばれている。
大素子数の検出器では、読み出し速度を速くするため、全体は4つの Quadrant と呼ばれる独立した部分からできており、また、各 Quadrant の読み出し口も複数ついているものもある。
MUX は外部からの clock 入力によって順に pixel を選択する切り替え装置としての働きがあり、選択された pixel の電圧をソースフォロワと呼ばれる初段アンプを通して出力する。以下は、MUX 部分の回路図であるが、検出器の信号は下図の赤→緑→青という順で伝わり、外部の読み出し回路に接続される。ここで注意すべき事は、それぞれの色の部分の電荷は混ざることなく検出器の電圧が測定されるため、何度読み出しを行なってもリセットをかけない限り検出器中の(下図赤色部分の)電荷は保存されるということである。これは、一度読み出したら情報がなくなってしまう CCD と根本的に異なるところである。このマルチプレクサ部分にpn接合のSi検出器部分を接続したものがCMOSセンサで、裏面照射タイプの高効率ものもできてきているが、天文用の用途に耐えられるものはまだできていないようである。
https://www.oir.caltech.edu/twiki_oir/pub/Keck/NGAO/NIRTTS/H2RG_Brochure_-_Approved_for_Public_Release.pdf
https://www.teledyne-si.com/products-and-services/imaging-sensors/hawaii-4rg
また、中間赤外用 HgCdTe 検出器の開発も進められている。上右図の方式の拡張版は2層の depletion layer を持ち、2色の中間赤外線を同時に撮像するものも軍事レベルではできている。