座標系


  1. 天球座標
    ● RA, Dec
    天球:天体を投影した仮想的な球面。
       回転しないが、地軸の歳差運動に合わせて座標系が少しづつ動くので、
       いつの時点での座標系かを明記する必要がある。
       2000年分点(J2000), 1950年分点(B1950) 等が用いられる。
    天の北極/南極:地軸の北極/南極方向の天球上の点。
    天の赤道:地軸に直交する天球上の大円。
    赤経(RA, right-ascension):春分時の太陽の位置を 0h とし、地球の自転の方向に 24h まで定めた方位。
    赤緯(Dec, declination):天の赤道を 0°とし、北極方向を正として±90°まで定めた角度。

    ● 黄道と銀河面
    黄道:天球上での太陽の通り道。天の赤道と交わる2点を、春分点/秋分点という。
       太陽系内の天体の多くは黄道付近に存在する。
       天の赤道に対する傾斜角は 23.44°(昇交点 0h)
    銀河面:天球上での銀河系円盤の位置。
        銀河系内の天体の多くは銀河面付近に存在する。
        天の赤道に対する傾斜角は 62.87°(昇交点 18h51.4m)。
        銀河中心の位置は 17h45.6m, -28°56'

    FK5 カタログの星の分布
    カシオペア(1h,60°)、オリオン(5h30m,0°)、北斗七星(12h,60°)、さそり(16h30m,-30°) など確認できます。

  2. 地平座標
    ● AZ, EL
    方位角(AZ, Azimuth):北または南方向を 0°とし、時計回りを正として定めた角度。
    高度角(EL, Elevation):地平線を 0°とし、天頂方向に定めた角度。

    ● 日周運動
    地球から見れば天球は相対的に回転しているように見える。大雑把には...
    天球の回転:1日で1回転+1°(4分)
    太陽の回転:1日で1回転
    月の回転 :1日で1回転−約12°(〜50分)

    ● LST, HA, UT
    太陽時:太陽の日周運動で决まる時間(1日=24h)
    恒星時:恒星の日周運動で决まる時間(1日〜23h56m)
    地方恒星時(LST, local sidereal time):南中している RA の時刻。
    時角(HA, hour angle):LST − 天体の RA。
    世界時(UT, universal time):東経 0°における太陽時。

  3. 遊べるツール
    Google Sky
    Google Map の天球版。今後もどんどんデータが追加されると思います。
    Stellarium
    プラネタリウムソフト。人工衛星の位置まで表示してくれます。

  4. 天体の位置と距離
    天球上での天体の位置は、様々な恒星位置カタログに記録されており、最寄りのカタログ天体からの
    相対位置で天体の天球上での位置が決定される。天体までの距離は、以下の方法で決定できる。

    ● 年周視差
    地球の公転直径を利用した三角測量で決定する距離。
    年周視差(天球上の楕円の長軸半径)1"に相当する距離を
    1pc (= 3600x180/π AU = 3.086x1016m) と定義している。
    ヒッパルコス衛星により、150pc までの恒星の距離がこの方法で
    決定されている。

    ● 分光視差
    主系列星は星のタイプにより明るさが決まっているため、
    分光観測や星団の多色測光観測により、恒星のタイプが決定
    できれば、みかけの明るさからその恒星までの距離が推定できる。
    1kpc 程度まではこの方法で距離が決定できる。
    以下、明るさで距離を決定する方法は、全て星間吸収の影響を受ける。

    ● セファイド型変光星
    質量の大きい星は主系列を離れた後、層状の燃焼構造を持ち
    色と明るさが変動する脈動変光星の状態に入る。このうちセファイド型
    と呼ばれるものは、非常に明るくかつ変光周期から明るさが推定できる
    ため、20Mpc 程度の遠方までの天体の距離を求めることができる。

    ● タリー・フィッシャー関係
    円盤銀河の回転速度は質量が大きくなるほど速くなり、また
    質量の大きい銀河ほど明るくなる。銀河の回転速度を分光観測で
    求め、経験則で求められた関係から明るさを推定し、距離を決定
    する事が可能である。1Gpc (z〜0.2)程度までの銀河の距離が決定できる。

    ● Ia 型超新星
    連星系の白色矮星に対し、もう一方の恒星から質量が流入し
    太陽質量の1.4倍に達すると、電子の縮退圧で白色矮星を支えきれなくなり
    崩壊・爆発する。この時の最大光度が一定であると考えられることから、
    このタイプの超新星が発生した場合、見かけの最大光度から距離が推定できる。
    15Gpc (z〜2)程度までの銀河の距離が決定できる。

    ● ハッブルの法則
    宇宙膨張により、遠方の天体ほど後退速度が大きくなる。
    分光観測により後退速度を測定できれば、宇宙モデルから天体までの
    距離を推定することができる。この方法は、天体が近い場合には
    局所的な天体の相対運動による速度が影響するため、近い天体には
    適用することができない。赤方偏移は z で表し、波長が (1+z) 倍に
    伸びて観測される天体の位置を表す。


iwamuro@kusastro.kyoto-u.ac.jp