2素子干渉計 | 3素子干渉計 |
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回折像 (10%レベル) | 回折像 (10%レベル) |
回折像 (1%レベル) | 回折像 (1%レベル) |
上図から分かるように、干渉計により得られる像は、単一口径による回折像と望遠鏡間の干渉によってできる干渉パターンの重ね合せである。干渉計の分解能は、縞の幅で定義され、光学の基礎(12)式で与えられる矩形開口の場合の口径Dを望遠鏡間隔Lとしたものと同じである。
可視・赤外線での干渉計は単一望遠鏡内での大気揺らぎによる波面の乱れを補正してから、リアルタイムで位相差を補正しながら直接1個所に集めて重ね合わせる必要がある(光を波として記録することができない)ため、実現させることが極めて困難である。しかし、これまでに幾つかの小口径の望遠鏡で成功しており、近傍の数百天体の恒星の直径が測定されている。近年では、後述の AO を用いて波面を修正した大口径望遠鏡を組み合わせて、近赤外線で干渉させようとする試みが行なわれている。以下は VLT 4台による干渉計(VLTI)の例。
https://www.eso.org/sci/facilities/paranal/telescopes/vlti.html
https://www.eso.org/public/news/eso0134/
https://www.eso.org/public/news/eso0111/
LBT 干渉計と取得画像
もう1つ
https://www.popsci.com/bown/2008/gallery/large-binocular-telescope-photo-gallery/
https://www.as.arizona.edu/lbt-interferometer-lbti
https://arxiv.org/pdf/2007.14530.pdf
r0 ∝ (λ/√(sec z))6/5 (1)
望遠鏡口径を D として、
D < r0 の場合:解像度は回折で決まる
D ~ r0 の場合:解像度は像位置の揺らぎ(dancing)で決まる
D > 4r0 の場合:解像度は波面揺らぎで決まる
FWHM = 0.98λ/r0 (2)
可視光(波長0.55μm)でのr0の値は、日本国内では 7cm 程度、マウナケア
山頂では 20cm 程度である。
(2)式より seeing に換算すると、それぞれ 1.4", 0.5" となる。
近赤外 K バンド(波長2.2μm)の場合には、(1)式より、r0~35cm, 1m (seeing
換算で 1.2", 0.4") となる。
以下は、WIYN3.5m望遠鏡の Tip-tilt Camera (WTTM) の例。
https://www.wiyn.org/wttm.html
http://www.nhao.jp/~tsumu/Research/Intr_ov/overview.htm
フーリエ変換前後の関数の変化は以下のようになる。
変換前 | 変換後 |
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δ関数 | 1 (定数) |
δ関数2つ | 三角関数 |
gauss関数 | gauss関数 |
gauss関数2つ | gauss関数×三角関数 |
Speckle 干渉法での観測例。左から、パワースペクトル、位相、再合成像(縦線は1" に対応)の順。パワースペクトルで間隔の狭い縞は、0.79" 離れた成分を表し、太い縞は主星のごく近傍に 0.04" 離れた成分がある事を示すものである。
http://www.nhao.jp/~tsumu/Research/Intr_ov/overview.htm
ハワイ大学がPan-STARRS 1.8m 望遠鏡用に 38400×38400 画素の OTCCD を用いて観測を行っている。
https://neo.ifa.hawaii.edu/?page_id=27
AO の原理 | 波面センサ |
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AO 無しの場合(左)と有りの場合(右)の比較
https://subarutelescope.org/old/Pressrelease/2002/01/16/j_index.html
Isoplanatic Angle:θ~r0/H, (H~10km)
Coherence Time:τ~r0/v, (v~30m/s)
近赤外 K バンド(波長2.2μm, r0=1m)の場合には、θ~20", τ~30msec となる。
MCAO は、波面の乱れの発生するそれぞれの高度に対応した光学的な位置(Conjugate)に、別々の可変形鏡を置いて波面を補正するもので、非常に広い視野範囲内で波面を補正する事が可能である。但し、異なる方向に複数の波面参照用の明るい天体が必要で、レーザーで上空に作った疑似天体(後述)を使用することが必須である。これに対し、1方向のみの
従来の補償光学を SCAO (Single-Conjugate Adaptive Optics) という
MCAO 動画シミュレーション
30m 望遠鏡での大気揺らぎのシミュレーション
https://webarchive.gemini.edu/documentation/webdocs/preprints/gpre62.pdf
AO 無し
通常の AO
MCAO
https://www.researchgate.net/figure/a-The-MMT-adaptive-secondary-mirror-prior-to-aluminization-of-the-front-surface_fig3_222711931
https://www.gemini.edu/gallery/category/gs-laser-guide-star