京大岡山3.8m 新技術望遠鏡の開発XVII:
主鏡位置制御システム開発の進捗状況
〜ソフトウェア編〜


下農 淳司 (IPMU)

代理発表: 岩室 史英 (京大宇物)   2011年9月
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~iwamuro/Kyoto3m/simulator.html


● 京大岡山3.8m新技術望遠鏡

  • 18枚扇型分割鏡
  • 精密研削による鏡面加工
  • 軽量架台

● 主鏡制御シミュレータ概要

  • 60個エッジセンサを配置

  • 57個(仮想3個を含む)のアクチュエータを個々に動かしてセンサの変動を計算
  • 任意のアクチュエータ駆動ベクトルに対するセンサ変動ベクトルの変換行列が出る
  • SVD解析で57個特異ベクトルに展開(うち3モードは縮退)

  • 縮退していないモードの最小特異値ができるだけ大きくなるようなセンサ配置を決定
  • 逆変換でエッジセンサ値からアクチュエータ駆動量が計算できる
  • センサにランダムノイズを与えてアクチュエータで補正すると、特異値の小さい四重極
    六重極モードが残る → モード別にフィードバックパラメータを変えて制御する必要
  • 変換行列の測定はセンサノイズを顧慮してもアクチュエータ10μm以上駆動で可能
  • 全体の並進・傾き成分を除去してからアクチュエータ駆動量を算出することも可能に

● PSF による評価

  • 主鏡全体の並進(defocus)、傾き(offset)を除去した状態で PSF を評価

  • 各セグメントの光軸方向制御誤差 / 横ずれ・回転誤差に加えて、
  • セグメント光学面の構造関数 / 各セグメントの曲率誤差も顧慮


    曲率誤差など            +構造関数

  • PSF の Strehl ratio で評価

  • マウナケア山頂の大気揺らぎモデル(r0=25cm)と同等な構造関数の鏡に対して
    • セグメントの曲率誤差100μm+アクチュエータ制御残差±50nm
    • セグメントの曲率誤差50μm+アクチュエータ制御残差±75nm
    の場合に構造関数と釣り合う
  • もちろん、日本の空(r0=7cm)では seeing エラーが卓越
  • セグメントの並進の影響は傾き調整で消すことができる
  • セグメントの回転の影響は消せないので、回転は0.07°(1.2mm/1m)以下に抑える

● 今後の方針

  • 下農くん異動につき、シミュレータ開発は大きく中断
  • シミュレータコードの解読
  • エッジセンサ値 → アクチュエータ制御値変換クラスの切り出し
  • エッジセンサ・温度計・アクチュエータ制御クラスの実装と上記との融合


iwamuro@kusastro.kyoto-u.ac.jp