研削盤の試験のために、φ61cm クリアセラム硝材を用いて研削試験を行うが、その際、望遠鏡の主鏡として
使えるものを作ることになった。以下の条件で主鏡とヌルレンズの組合せを設計した。
- ヌルレンズは直径10cm以下、可能であれば平凸で凸面は球面、更に可能であれば曲率半径は切りのいい数字
- 望遠鏡の主鏡直径は 610mm、F/3、合成F比は10程度、主鏡面からのバックフォーカスは 600mm
- 望遠鏡の設計とヌルレンズの設計を同時に進め、上記の条件両方ができるだけ満される解の組を探す
設計結果
望遠鏡パラメータ(Zemax file)
- 主鏡直径 610mm, F/3
- 副鏡直径 191mm, 合成 F/10.08
- 主鏡 - 副鏡 間距離 1257mm, 主鏡面から焦点までのバックフォーカスは 600mm
- 焦点は視野18'φ(32mmφ)以内なら平面で可(下スポット図参照)
スポット図の□サイズは 20μm(1.68") で、視野中心から 1.8'(0.03°)ずつ離れていくスポットを表わしています。

ヌルレンズパラメータ(Zemax file)
- 使用波長は 632.8nm (He-Ne レーザー)
- 平凸レンズ、凸面の曲率半径は 240mm、77.1mmφ 以上であればOK、平行側が平面なので中心厚は任意(20〜25mm)
- レンズ - 主鏡 間距離は 4066mm
- Zemax パラメータ最後の素子 "Paraxial" は無収差の仮想的な光学素子
- 反射光の平面波からのずれは最大で1/4λ程度なので、うまくやれば面精度1/8λの面ができそう

ホルダー

CAD file はここにあります。
中央の穴に、シグマ光機社固定式レンズホルダーLHF-80Aをはめこむ。このアダプターリングを使うと、清原光学の I-Fizeau 干渉計に取り付けられる。
BK7 φ80mm x 20t r=240mm 平凸レンズ(精度 λ/10 以上)は、どこかに特注する必要あり。
清原光学に平凸レンズを作ってもらい、レンズホルダーにはめた。

干渉計は自由度4で微調できるように取り付け
iwamuro@kusastro.kyoto-u.ac.jp