位相測定カメラは、光学的に分割鏡間の位相差を測定するもので非接触センサー
の原点をあたえるために必要不可欠のものである(位置センサの原点は徐々に変動するため、
数日から数週間おきに光学的な原点補正が必要)。現在、Keckなどの望遠鏡は自然の星の
光を用いて測定を行っているが、国内では非常に困難なことだと予測される。そのため、
京大新技術望遠鏡ではそれにかわる新しい方法として、分割鏡の境目に口径数cmの
平面ハーフミラーを設置し、焦点面から波長可変のレーザーを短時間照射することで、自
然の星を用いなくても任意の望遠鏡の向きで短時間に分割鏡の境目での位相差を測定する
方法を検討している。(下図)
分割鏡間のずれ方により、以下のように焦点上の像が変わる。
現在、この原理を試験するために下図の実験を行っている。この実験では、波長可変の
レーザ(633nm,612nm,604nm,594nm,543nm)を用いて、その波長を変えて測定することで、波長周期で生ずる測定不定性をなくす
ことができる。全ての波長で位相差が無くなる状態に調整することができれば、分割された
2 つの放物面鏡は光学的には 1 つの反射面としてふるまう。 2 分割放物面鏡の片方は固
定、もう一方は市販のピエゾアクチュエータ上に乗せ、任意のずれ量から出発してこの方法
により最小手順で調整する方法を実験により調査している。
下図は、 2 分割放物面鏡間のずれを固定したとき、異なる波長( 633nm (上図) 、 604nm (中図) 、594nm (下図) )
での画像である。左図は得られた画像の gif animation。右図は、 10 枚の画像を平均したもの。