アウトガス評価
真空に入れても大丈夫か蒸着業者に確認した所、ベアリングは分解洗浄、ゴムはアウトガスのできるだけ少ないものなら大丈夫そうだという事だったので、ミスミのシリコンゴムのアウトガス量を調査することにした。真空ポンプのチューブの先に真空ゲージを取り付け、チューブ内にゴムのサンプルを入れた状態で電磁バルブを閉じて圧力の上昇速度を調べる方法で調査した。

結果は以下の通り。
赤:何も入れない状態で18時間経過後
桃:そのまま大気圧に戻し再度真空を引いた直後
緑:ゴムサンプルを入れ再度真空を引いた直後
水:そのまま1時間経過後
青:そのまま4時間経過後
黄:そのまま22時間経過後
▲:ゴムサンプル1回目、●:ゴムサンプル2回目
黒の実線は、ゴムの表面積(64cm2)とチューブ内の体積(0.49L)を顧慮した際に、全アウトガスがゴム表面積から出ているとした場合のアウトガス速度一定の曲線、破線はその2倍、5倍を表す。圧力の桁が変わる度に、真空計のフィラメントに流れる電流が変化し、その直後に若干不安定な値が出る事に注意。
様々な材質からのアウトガス量のまとめページの値と上記の結果を比較すると、ミスミのシリコンゴムはほぼシリコンゴムの典型値で、アルミのアウトガス量の約1000倍であることがわかる。上記ハンドリング治具で予定されるゴムパッドの表面積は225cm2でアルミフレームの表面積(フレーム内側の面積を含む)の1/400程度となるため、ミラーハンドリング治具としては、ゴム部が主なアウトガス源となってしまうが、真空釜全体から見た場合は壁面面積はゴムの表面積の約1000倍あるので、真空釜壁面からのアウトガスと同程度となる。真空引き2回目の結果を見ると、ゴム表面からのアウトガスは速やかに低下し、10-6Torr L/cm2s を少し下回ったあたりでほぼ減らなくなるため、真空が大体引けてから1〜2時間待つことで空の状態での真空度の2〜3倍程度の真空度となることが予想される。