主鏡 FEM 解析


セグメント鏡の FEM による変形解析を行なった。3D 図面は AutoCAD2000 で作成し、 Mechanical Desktop 5 で変換(solid => parts)、Design Space 6 で FEM 計算をした。 実物に近いメニスカス形状のハニカム鏡は Design Space でのメモリ上のトラブルから 読み込むことができなかったため、平行平面板の形状で14点支持の計算で評価した、 鏡の材質は ULE を仮定したが、Hextek の方式では ULE は困難らしい(Hextek の Home Page には ULE でも OK と書いてあるのだが...)

その後行なった18点支持の評価では、鏡の材質はボロシリケートとした。ULE より 柔らかく、同じ条件では変形が 10% 増すが、支持点が18点と増えたため変形は同程度に 収まっている。

14点支持18点支持18点+Lateral 3点支持コメント
口径 3.5m, カセグレンホール直径 1m の主鏡の 1/6
上下面 15mm 厚平面板、ハニカムリブ厚 6mm
対角 100mm の六角、支持部直径 100mm
同左水平置きの状態
カラーは光軸方向の変形量のみを表示 (以下同様)
垂直置きの状態
上方向は図中の緑の矢印方向
この状態の回転角を 0°とし、以下、この状態から
光軸周りに回転させた状態の計算結果を示す。
垂直置きの状態
回転角 90°(上方向は図中の赤の矢印方向)
垂直置きの状態
回転角 180°
垂直置きの状態
回転角 270°
垂直置きの状態
回転角 30°
垂直置きの状態
回転角 120°
垂直置きの状態
回転角 210°

6枚のセグメントの置き方は、上記 0°,120°,180°の組み合わせと、 30°,90°,210°,270°の組合わせの2種類がある。後者は、光度軸上での 変形が若干大きく、全体的に前者の組合わせの方が優れているようだ。 FEM の結果を無変形で光軸方向より見た図を tif で出力し、xv で gif に変換してから、IRAF の import コマンドで red, blue 部分だけ独立に 読み込み、変形を fits 化して PSF 評価プログラムに読み込めるようにした。 14点支持に対する結果は以下の通りで、理想的な PSF 評価結果と同様に表している。

主鏡(3.5mφ)PSF(1"□,x10)PSF(1"□,x100)PSF(4"□,x10000)備考
水平置きの状態。
主鏡部分の表示は復素透過率実数部の 0.95-1.0 の部分。
Peak: 0.979411
垂直置きの状態 1。
主鏡部分の表示は復素透過率実数部の 0.4-1.0 の部分。
Peak: 0.87915
垂直置きの状態 2。
主鏡部分の表示は復素透過率実数部の 0.4-1.0 の部分。
Peak: 0.84326

上記の計算では、固定点位置が全く動かない条件で評価しているため、 実際には、若干の光軸方向の位相合せをする事により、もう少し全体的に 位相を揃えることができる。少なくとも、固定点の位置関係を全く変えずに 垂直に倒した場合には、前者(上表「状態 1」)の方が FEM 結果の定性的な 評価通り若干優れているので、前者の配置を採用すべきだと考えられる。 14点でも十分問題なさそうなので、時間があれば9点での評価と、固定面の 角度変化の自由度を与えた計算も評価する予定。


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