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温度計キャリブレーション報告その5
・温度が不安定でうまくキャリブレーションできない問題を解決するために、実験装置を改善して試験しました。それに関する報告です。
目的
温度キャリブレーションをするのに十分安定な実験装置の作成。
内容
温度計キャリブレーション用の新しい実験装置を作りました。
作成した実験装置のテストを兼ねて温度計のキャリブレーションをしました。
室温、冷蔵庫、冷凍庫の各環境でデータをとりました。
結果
温度安定な実験環境の作成ができた
-10℃から30℃までで精度0.15℃
-10℃未満では±2℃
実験環境&改善内容 こちら
常温実験結果 こちら
冷蔵庫実験結果 こちら
冷凍庫実験結果 こちら
キャリブレーション結果 こちら
追加項目1 温度の時間変化についてのキャリブレーション結果こちら
追加項目2 キャリブレーションパラメータの比較こちら
追加項目3 結果評価こちら
・実験環境
温度計を(防水した上で)塩水の中に沈め、塩水の容器全体を粘土で覆った状態で温度計測をしました。
塩水:熱ダンパとして使用しました。冷凍庫内でも凍らない安価な不凍液。
粘土:断熱材として使用しました。温度計ケーブルを挿入部分の断熱・密閉も楽。
その他:発砲スチロール、ガーゼなども使用しています。
模式図
*編集中
写真
*撮影中
・性能試験
作成した装置でどのくらい温度が安定するか実験しました。
内容
deltaOHMのプローブをこの実験装置に入れた場合とタオルにくるんだ場合の二通りで冷蔵庫にいれ、連続で4時間半ほど温度を計測し、温度の時間変化を比較しました。
結果
両者の時間変化をグラフにしました。
横軸が計測を開始してからの時間、縦軸が温度です。
赤が新しい実験装置のデータ、緑がタオルにくるんだだけの場合のものです。

温度変動の大きさを1/10程度に抑えられたようです。
この結果から今までより安定な温度環境が作成できたと判断し、作成した装置でキャリブレーションを進めました。
*以前に比べて結果は良好でしたが容器が小さくなった関係で実験はしにくくなりました。
*大きめの容器に変えて、粘土の壁も厚くすればもう少し温度が安定するかもしれません。
・常温環境での実験
上記の実験装置を用い、室内で10時間以上連続で計測を行いました。
温度変化の時間推移(生データ)
横軸に測定開始からの時間、縦軸に温度をとり、deltaOHMと温度計の温度変化をそれぞれプロットしました。
赤がdeltaOHM、緑が温度計のデータです。
*測定開始直後(実験環境作成直後)のデータは省いてあります。
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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同様にエラー(deltaOHMの温度 - 温度計の温度)の時間変化をグラフにしました。
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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キャリブレーションなしでの保証精度は±0.5℃なので特に異常な結果は出ていないようです。
・冷蔵庫での実験
冷蔵庫内で5時間ほど連続で計測を行いました。
温度変化の時間推移
横軸に測定開始からの時間、縦軸に温度をとり、deltaOHMと温度計の温度変化をそれぞれプロットしました。
赤がdeltaOHM、緑が温度計のデータです。
この実験装置でもdeltaOHMと温度計で時間差が出るようです。(改善案検討中)
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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同様にエラー(deltaOHMの温度 - 温度計の温度)の時間変化をグラフにしました。
どの温度計も±0.3℃の誤差内に収まっていました。
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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各温度計のエラーを、温度計の温度ごとにプロットしました。
横軸が温度計から表示された温度、縦軸がエラー(deltaOHMの温度 - 温度計の温度)です。
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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冷凍庫内で15時間ほど連続で計測を行いました。
温度変化の時間推移
横軸に測定開始からの時間、縦軸に温度をとり、deltaOHMと温度計の温度変化をそれぞれプロットしました。
赤がdeltaOHM、緑が温度計のデータです。
温度変化の時間推移
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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同様にエラー(deltaOHMの温度 - 温度計の温度)の時間変化をグラフにしました。
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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各温度計のエラーを、温度計の温度ごとにプロットしました。
横軸が温度計から表示された温度、縦軸がエラー(deltaOHMの温度 - 温度計の温度)です。
温度が下がるほどエラーが大きくなり、-11℃あたりから特に大きくなりました。
-10℃までの保証精度は0.5℃なので、10個中9個の温度計ではこの精度が出ています。
白金抵抗がキャップで保護されているdeltaOHMと違い、温度計はむき出しの状態で塩水と(防水ビニール越に)接していたことが原因かもしれません。(再実験中)
とりあえず-10℃あたりまでのデータを採用してキャリブレーションを行いました。
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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・キャリブレーション結果
-10.5℃ 〜 30℃ の間のデータを使って温度の補正関数を求めました。
温度計からの出力値をtとして、エラーをf(t) = at2 + bt +c で近似しました。
補正関数は deltaOHM温度 = t + f(t) となります。
補正関数のグラフを載せます。
横軸が温度計の温度(非補正)、縦軸が同時に計測されたdeltaOHMとの温度差(エラー)です。
赤が実験結果をプロットしたデータ点、緑の曲線がデータ点をf(t)で近似した補正関数です。
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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近似結果のパラメータを表にまとめました。
温度計ID |
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |
a |
0.000913 |
0.000617 |
0.001367 |
0.000589 |
0.000853 |
b |
-0.030398 |
-0.026324 |
-0.029999 |
-0.025086 |
-0.025228 |
c |
0.267725 |
0.140786 |
-0.062470 |
0.223493 |
0.051223 |
温度計ID |
75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |
a |
0.000899 |
0.000856 |
0.000812 |
0.000542 |
0.001253 |
b |
-0.017728 |
-0.020337 |
-0.025663 |
-0.019581 |
-0.025801 |
c |
-0.106854 |
0.002947 |
0.099603 |
-0.008006 |
-0.077517 |
求めた補正関数で実際に温度計の温度を補正し、deltaOHMの温度と比較しました。
横軸が温度計の温度(非補正)、縦軸が補正した温度計の温度とdeltaOHM温度の差(エラー)です。
各温度計について差分をとった結果のグラフを載せます。
どの温度計もエラーは0.15℃未満に収まりました。
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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・温度の時間変化についてのキャリブレーション結果
キャリブレーションした結果を時間変化のグラフにプロットしました。
青:deltaOHMの温度
緑:キャリブレーション前の温度計の温度
赤:キャリブレーション後の温度計の温度
です。
赤と青がよく重なっているほど精度良くキャリブレーションできていると言えます。
室温の場合
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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青と赤はほぼ重なりました。
冷蔵庫の場合
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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この場合も精度よく求まったようです。
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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-10℃あたりまではよく重なっていますがそれ以後はずれました。-10℃までのデータでキャリブレーションをしたので当然といえば当然なのですが。
カタログ上の温度精度は−10℃未満で±2℃。これはほぼ満たしています。
岡山の気象情報の過去ログを見る限り−10℃まで冷え込むことはなさそうですが、-10℃未満も綺麗に重なって欲しいとは思います。
時間を見ながら再実験を検討中。
・キャリブレーションパラメータの比較
温度計ID「6E00000330F4D828」を基準に各温度計のキャリブレーション結果を比較しました。
横軸にID「6E00000330F4D828」の温度計のパラメータ、縦軸をそれぞれの温度計のパラメータで求めた温度でプロットしたグラフです。
緑の直線はパラメータが同じだった場合の直線です。温度計同士の個性が似ているほどこの直線に近づきます。(6E00000330F4D828は重なっています)
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |

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75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |

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6E00000330F4D828を基準としてそれぞれの温度計の個性を g(t) = a * t + b でフィットしました。
その結果を表にまとめます。
6E00000330F4D828は基準なのでa = 1,b = 0 です。
温度計ID |
6E00000330F4D828 |
9700000330E7F428 |
75000002E1E92C28 |
C200000330D60628 |
C20000032ACFE128 |
75000002E1EC5128 |
1E0000032AE06928 |
E0000002E21FB528 |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |
a |
1 |
0.998099 |
1.009630 |
0.998794 |
1.004010 |
1.012550 |
1.009030 |
1.004010 |
1.003390 |
1.011580 |
b |
0 |
-0.136149 |
-0.318090 |
-0.054555 |
-0.219678 |
-0.378770 |
-0.269339 |
-0.219678 |
-0.289006 |
-0.337457 |
・結果評価
温度データがほとんど点だったことと、冷凍庫のデータが少し怪しいので、キャリブレーション結果が正しいかどうかの試験をしました。
内容
保冷材を使って新たに1℃付近の温度を計測し、そのデータがこれまでで求めた補正関数上に乗るかどうかを実験しました。
実験を行ったのは以下の2つの温度計です。
34000002E20E6D28
3B0000032ACB0B28
結果
横軸に温度計の温度、縦軸にdeltaOHMと温度計の温度の差分をとったグラフを載せます。
上のグラフはここに載せたグラフと同じです。下のグラフはそこに1℃付近の新データを追加したものです。
赤が温度ごとのエラー(温度計とdeltaOHMとの差分)をプロットしたもの。緑の曲線が補正関数。青が保冷材を使って計測したエラーです。
補正関数の計算に青のデータは使っていません。それでも青のデータが補正関数の上に乗りました。
温度計ID |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |
温度ごとのエラー |

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上のグラフに1℃付近の データを追加 |

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横軸を温度計の温度、縦軸を補正後の温度とdeltaOHMの差分でとったグラフを載せます。
ここに載せたグラフに新しく1℃付近のデータ(緑)を追加したものです。
この場合も誤差0.15℃の範囲に収まっています。
温度計ID |
34000002E20E6D28 |
3B0000032ACB0B28 |
温度ごとの 補正関数からのずれ |

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