分割鏡支持システムの開発3


その15

シグマ光機製デジタルセンサ DS-H10 と、これまで使用してきた非接触センサを同一の治具に取りつけ、固定した状態で安定性試験を行った。


黒:シグマ光機製デジタルセンサ、その他:静電容量式非接触センサ

結果は、

1. 赤・黒はほぼ似たような安定性。
2. スパイク状ノイズが増えた。

1. については、実際に治具が縮んでいる可能性もある。温度モニタを取りつけて相関を調べる必要がある。

2. については、シグマ光機製デジタルセンサが電磁波を出しているためと考えられる(カタログにも記載してある)。

シグマ光機製デジタルセンサはサンプリング分解能が悪い(〜60nm)が、何度か測定して平均化することで大丈夫なようだ。


その16

その15の状態に九州計測器温度センサ「てんぷらん」を取りつけ、サンプリングと同時に温度データを取得した。


上段:温度データ(スタート時 = 0)
 黒:Σ光機センサボード
 赤:静電容量センサ #1 ボード
 緑:静電容量センサ #2 ボード
 青:静電容量センサ #3 ボード
 桃:センサヘッド付近2個所
 水:その他ベースや回路ボックス表面の温度

上段:位置データ(スタート時 = 0)
 黒:Σ光機センサ
 赤:静電容量センサ #1
 緑:静電容量センサ #2
 青:静電容量センサ #3
結果は、

1. 今回はΣ光機センサが圧倒的な安定性を示した。
2. 大局的には温度変化との相関があるが、細かい構造は温度変化では説明できない。
3. 静電容量センサの値の変化は、温度変化による物理的変動(伸び縮み)とは逆センス。

1. については、Σ光機センサの読み出し条件を少し変えたのが原因の可能性もある。今後、もう少し読み出し条件を変えて試験する。

2. については、温度センサの張付け位置が、最も温度変化に敏感な部分(どこかの抵抗?)から離れていることが原因と考えられるが、そもそも温度データの方が S/N が悪く、突如変動する部分を温度で補正することは困難な様に見える。それよりもどれか1つのセンサの読みで他のデータを規格化する方が良さそうに見える。

3. については、地下の試験条件が温度的に安定していることが裏付けられた形となった。


その17

その16と同じ状態で、Σ光機センサの読み出しパラメータを少し変えて試験。


上段:温度データ(スタート時 = 0)
 黒:Σ光機センサボード
 赤:静電容量センサ #1 ボード
 緑:静電容量センサ #2 ボード
 青:静電容量センサ #3 ボード
 桃:センサヘッド付近2個所
 水:その他ベースや回路ボックス表面の温度

上段:位置データ(スタート時 = 0)
 黒:Σ光機センサ
 赤:静電容量センサ #1
 緑:静電容量センサ #2
 青:静電容量センサ #3
結果は、

1. やはりΣ光機センサが安定しているが、前回よりもやや不安定になった。Σ光機センサの始めの部分は、4μm 程度大きい値で落ち着いている。
2. 温度変化との相関は減った。

1. については、Σ光機センサの読み出し条件を少し変えたのが原因だと思われる。

2. については、気圧や湿度など他の要因が影響している可能性もあるので、それらのパラメータもサンプルできるように準備する。


その18

その17と同じ状態で続き。


上段:温度データ(スタート時 = 0)
 黒:Σ光機センサボード
 赤:静電容量センサ #1 ボード
 緑:静電容量センサ #2 ボード
 青:静電容量センサ #3 ボード
 桃:センサヘッド付近2個所
 水:その他ベースや回路ボックス表面の温度

上段:位置データ(スタート時 = 0)
 黒:Σ光機センサ
 赤:静電容量センサ #1
 緑:静電容量センサ #2
 青:静電容量センサ #3
結果は、

1. Σ光機センサが前回より安定している。後半で温度との相関が若干出てきたようだ。
2. 前半は温度との相関が少なく、後半で相関が出始めた。 1. については、何も変えていないので原因不明。

2. については、気圧や湿度などサンプルできるように準備中。


その19

静電容量センサーを4個に増やし、気圧と湿度も同時サンプルした。


上段:温度データ(スタート時 = 0)
中段:湿度、気圧データ(+測定器内温度, スタート時 = 0)
上段:位置データ(スタート時 = 0)
 赤:Σ光機センサ
 その他:静電容量センサ #1〜#4
結果は、

1. 湿度との相関がかなりある
2. やはりΣ光機センサの方がいい。

1. については、湿度により空気の静電容量が変化している可能性が高い。 (Σ光機センサが影響を受けていないのは謎だが...)

2. については、Σ光機センサをあと1〜2個買ってみたくなってきた。

より詳しい分析は坂井くんのまとめページ にあります。


iwamuro@kusastro.kyoto-u.ac.jp