榎戸 輝揚 :研究活動と略歴 [English]

物理法則と統計手法を使い、 身近な現象から遙か宇宙の極限天体まで、自然の謎の解明を目指します。
他の人が群がっていることはやらない。

テカポ湖で見上げる銀河中心。ニュージーランド、善き羊飼いの教会から。(T.Yoshida)

研究分野

宇宙X線の超精密観測で挑む中性子星の極限物理

超新星爆発で生まれる中性子星は、地上実験では到達できない高密度・強磁場・強重力の極限物理が発現する、基礎物理の理想的な実験室である。電波からX線に及ぶ最近の観測から、回転エネルギーでパルスを発する電波パルサーや、質量降着で輝くX線パルサーに加え、残留熱で輝く孤立中性子星の観測も進み、磁場エネルギーを解放して突発的に明るくなるマグネターの存在も確立しつつある。多様性に富んだ中性子星を統一的に理解し、さらに、極限的な環境で生じる物理を解明する。特に、マグネターという超強磁場の天体を観測的に立証し、中性子星の内部の高密度核物質の状態方程式にも観測から迫るのが目標だ。[研究紹介ポスター]


国際連携で進める次世代の宇宙望遠鏡プロジェクト

宇宙観測には最新の技術を取り入れた装置が欠かせない。いまや最先端の研究は参加機関とメンバーが得意な技術や能力を持ち寄る国際連携が必須だ。日米で打ち上げた「すざく(Suzaku)」X線衛星は、かつてない超精密X線分光を実現する ASTRO-H 衛星へと発展し 2015年度に打ち上げ予定だ。NASA の主導する中性子星の観測ミッション NICER (Neutron star Interior Compositon ExploreR Mission) や、世界初の偏光X線の観測を目指す PRAXyS 計画など、これまで参加して来たこれらの国際連携プロジェクトに、引き続きサイエンス検討、基礎技術の開発、検出器のキャリブレーションで貢献していく。


雷雲電場での電子加速が引き起こす身近に潜む高エネルギー現象

日本海側の冬季雷雲から数 MeV に及ぶ高エネルギーガンマ線が到来することが、我々の最近の地上測定から明らかになってきた。この事実は、雷雲内の強い電場によって電子が加速され、制動放射ガンマ線を捉えていると考えている。希薄な宇宙で起きている粒子の加速は、密度の濃い地表近くの大気でも条件が揃えば生じるという魅力的な現象である。これは、完全には解明されていない雷のトリガーといった放電現象にも関連している。石川県は雷や雷雲が頻発することで知られ、京都から近いという利点を活かし、理化学研究所・東京大学との共同して、身近に潜むるであろう雷雲の高エネルギー現象の測定を狙う。[研究紹介ポスター] [academist] [Thundercloud Project]


所属

京都大学 白眉センター / 理学研究科 宇宙物理学教室 特定准教授

〒606-8502 京都市左京区北白川追分町
京都大学大学院理学研究科 宇宙物理学教室 理学部4号館 507 室
Phone:075-753-3691

略歴

主な解説記事

  • 榎戸輝揚, 「宇宙最強の磁石星:マグネター観測で垣間見る極限物理」, 物理科学月刊誌パリティ 2015年8月号 (2015) [link]
  • 榎戸輝揚, 「硬X線によるマグネター研究の進展 --宇宙で最強の磁石星?--」, 日本天文学会誌, 天文月報, vol., 431-440 (2012) [pdf]
  • 榎戸輝揚, 土屋晴文, 「雷雲は天然の粒子加速器か?」, 日本天文学会誌, 天文月報, vol.101(11), 667-676 (2008) [pdf]

主な論文

  • T. Enoto, M. Sasano, S. Yamada, T. Tamagawa, K. Makishima, K. Pottschmidt, D. Marcu, R. Corbet, F. Fuerst, and J. Wilms, “Spectral and Timing Nature of the Symbiotic X-ray Binary 4U 1954+319: The Slowest Rotating Neutron Star in an X-ray Binary System”, Astrophysical Journal, vol. 786, 127-143 (2014) [ADS]
  • K. Makishima, and T. Enoto, et. al., “Possible Evidence for Free Precession of a Strongly Magnetized Neutron Star in the Magnetar 4U 0142+61”, Physical Review Letter, Vol. 112, 171102 (2014) [ADS]
  • T. Enoto, K. Nakazawa, K. Makishima, N. Rea, K. Hurley, S. Shibata, “Broadband Study with Suzaku of the Magnetar Class”, Astrophysical Journal Letters, Institute of Physics, vol. 722(2) L162-167, (2010) [ADS]
  • T. Enoto, K. Nakazawa, K. Makishima, and Y. E. Nakagawa, et al., “Suzaku Discovery of a Hard X-ray Tail in the Persistent Spectra from the Magnetar 1E 1547.0-5408 during its 2009 Activity”, Publication of the Astronomical Society of Japan, vol.62(2), 475-485, 2010 [ADS]
  • T. Enoto, Y. E. Nakagawa, and K. Makishima, et al., “Suzaku Observation of the New Soft Gamma Repeater SGR 0501+4516 in Outburst”, Astrophyscial Journal Letters, vol.693(2), 122-126, 2009 [ADS]
  • H.Tsuchiya, T. Enoto, S.Yamada, T.Yuasa, and K.Makishima, et al., "Detection of high-energy gamma rays from winter thunder clouds", Physical Review Letters, American Physics Society, vol.99,165002 (2007) [ADS]
  • ほか査読論文 27本 (計33本, 主著論文9本, 第二著者9本) [All Related Publication Lists]

受賞歴

  • 第6回 日本物理学会若手奨励賞 宇宙線・宇宙物理領域 "Broadband Study with Suzaku of the Mangetar Class", The Astrophysical Journal Letters, 722(2) 2010, L162-L167, 2012年3月24日(平成24年)
  • 第1回 東京大学理学系研究科 研究奨励賞 修士の部 "Observational Research for the Particle Acceleration in the thunder cloud's electric field" (修士論文), 2007年3月22日(平成19年)

研究会等での表彰

  • 第4回京都大学学際研究着想コンテスト2016 最優秀賞「旅する科学絵本プロジェクト-科学の感動はコトバなしでも成り立つか?-」(研究代表者) 2016年11月1日@京都大学時計台記念館2F国際交流ホール [ポンチ絵]
  • パナソニック社内 Wonder SEVEN Pitch イベント "Best Wonder Pitch"賞「宇宙の渚にオープンサイエンスで挑む」2016年6月30日@Wonder LAB OSALKA, 西三荘
  • 2015年度 京都大学白眉センター・年次報告会ポスターセッション面白かったで賞(数理科学系)「夜空の彼方の中性子星と宇宙の渚の雷雲ガンマ線」2016年4月19日@京都大学芝蘭会館
  • 京都大学・宇宙ユニットシンポジウム「宇宙にひろがる人類文明の未来2016」 宇宙ユニット賞「雷雲は天然の粒子加速器か?宇宙の渚の高エネルギー現象を追え!」2016年2月6日(平成28年)

招待講演

主催した研究会・ワークショップ

競争的資金の獲得経験

翻訳記事ほか

  • T. フェダー「市民参加型,クラウドソーシング的研究が大成果」, 物理科学月刊誌パリティ 2016年9月号 (2016) [link]

分野での活動

  • 論文誌の査読経験 (6誌): Astrophysical Journal, Physical Review Letter, Physical Review D, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, Publications of the Astronomical Society of Japan, Research in Astronomy and Astrophysics など
  • 交流活動ほか: 第62回リンダウ・ノーベル賞受賞者会議(物理学)派遣事業参加, 東大理学系・分野間交流グループ 0to1 OB, 湧源クラブ会員, 京都大学 白眉プロジェクト

雷雲プロジェクト(Thunder Cloud Project)

  • 2017年2月28日: 第1回 MeV 天文学研究会 [発表スライド]
  • 2016年12月10日: 平成28年度 東京大学宇宙線研究所 共同利用研究 成果発表会 [発表スライド]
  • 2016年10月10-14日: 冬季観測に向けて、金沢大学、付属高校など5箇所に設置
  • 2016年9月: Raspberry Pi / Mac で駆動するFPGA ボード開発完了 [仕様: jpg, pdf] [湯浅さんサイト]
  • 2016年7月15日: 富士山山頂測候所(標高 3,776 m)に設置
  • 2016年7月11日: 乗鞍岳の東京大学宇宙線研究所(標高2,770 m)に設置
  • 2016年5月23日: 日本地球惑星科学連合 2016合同大会 [発表スライド]
  • 2016年4月1日: 2016年度より科学研究費補助金・若手研究(A)として採択
  • 2016年2月9日: 付属高校の屋上で雷雲ガンマ線イベントを観測
  • 2016年1月7日: 金沢大学付属高校にも観測装置を設置
  • 2015年11月13日: 金沢大学に観測装置を設置
  • 2015年10月15日: 学術系クラウドファンディング「アカデミスト」で160万円の寄付金を達成!

宇宙望遠鏡プロジェクト

担当講義・セミナー

  • 平成28年度 ELCAS 基盤コース「相対性理論とブラックホール」2017年1月21日(諏訪雄大氏と共同担当)
  • 2016年度後期・宇宙科学入門「高密度天体『白色矮星と中性子星』〜測ることから始まる宇宙観測〜」分担等
  • 京都大学サマースクール模擬授業「物理で見た活動する宇宙」2016年8月19日
  • 2016年度前期・宇宙科学入門「高密度天体『白色矮星と中性子星』〜測ることから始まる宇宙観測〜」分担等
  • 2016年度前期木曜5限・ILASセミナー:未解決問題を見つける〜その実践と理論〜イグノーベル賞を狙う」[link 189]