銀河・銀河団分科会

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座長からのメッセージ


当分科会は、矮小銀河から大規模な銀河団、さらには大規模構造に至るまで、 また、我々の銀河系から宇宙の暗黒時代に至るまでの、銀河について非常に 幅広いスケールにわたり考えていく分科会です。
現在の天文学では、個々の天体について高度に専門化してしまっており、自分 の研究テーマ以外の天体についてはあまり知らないという人も多いのではない でしょうか。また、近年の銀河研究、特に観測的研究では、大型の地上望遠鏡 や衛星などを用いた大規模なプロジェクトによって、銀河についてのより詳細 な理解を目指しています。しかし、このようなプロジェクトは、観測装置単位、 さらに言えば観測装置に対応した波長単位で立ち上げられることが多いのが現 状です。そのために、自分が深く関わっている波長域以外の話に対しては抵抗 感が生じてしまうこともあるかもしれません。
しかし、銀河の形成・進化という観点で見ると、異なるスケールの天体がお互 いに影響を及ぼしあっているということや、全く違う波長域同士が実は相互に 関連しているということもあり、自分が関わっている狭い範囲に閉じこもって いるわけにはいかない状況です。そこで、全体を理解するためには、観測屋は 常に他の波長域を意識し、理論屋は異なる波長域・スケールの天体を整合的に 説明すべく、両者の協力は必須です。
このような理由から、本分科会は、普段接することの少ない専門分野に接して 見聞を広め、それに対する抵抗感をなくすことを目指すとともに、自己の研究 テーマとの関連性を知ることでより質の高い研究を行なうきっかけになる機会 になることを目指します。

本分科会は、以下の招待講演と一般講演で構成されます。

・招待講演:
谷口義明さん(東北大学 助教授) タイトル「多波長で探る銀河の歴史」
児玉忠恭さん(国立天文台 助手)  タイトル「宇宙の進化を俯瞰する」 

・一般講演:
一般講演は、口頭発表とポスター発表を予定しています。 口頭発表は質疑を含めて15分で12人、ポスター発表は15人程度を予定していま す。銀河、銀河団から活動銀河核、大規模構造をも含む、幅広いテーマに関する 関する発表を募集します。テーマの都合上、自分のコミュニティー以外の方も 十分議論に加わることができるような発表をお願いしたいと思います。 また、口頭発表に関しては、希望者数によってはポスター発表へ変更して頂く 可能性もありますので、それについてはご了承ください。たくさんのご応募、 お待ちしています!

その他、ご意見、ご質問等は、座長までお願いします。

銀河・銀河団分科会座長:細川隆史(京都大学 基研 D1) 佐藤奈穂子(北海道大学/国立天文台 D1) 小野寺仁人(東京大学/国立天文台 M2)
mail to: ss02galaxy@kwasan.kyoto-u.ac.jp

招待講演

title: 「宇宙の進化を俯瞰する」

speaker: 児玉忠恭 (国立天文台理論部助手)


すばるで計画している遠方銀河団の広視野観測プロジェクトは、宇宙年齢が現 在の1/3の時代から現在に至る膨大な時間スケールの中、宇宙の大規模構造 が形成され進化してゆく様子と、その中で影響を受けながら進化してゆく銀河 の様子を実証的に描き出すであろう。この計画はさらに近い将来の近赤外線広 視野観測によって、より遠方の宇宙(z>>1)へと拡張されるであろう。 Astro-F (NIR-FIR)、Astro-E2 (X-ray)、ALMA (Radio)、そして SPICA (MIR-FIR)など、日本の多波長での将来計画によるさらなる発展を 展望しながら、「宇宙の進化を俯瞰する」戦略を概説する。


title: 「多波長で探る銀河の歴史」

speaker: 谷口 義明 (東北大学大学院理学研究科 助教授)


z=6から現在までの宇宙の様子はかなり精確に調べられるようになってきた。 これはHSTや口径8−10m級の光学赤外線望遠鏡の活躍のみならず、電波、 赤外、X線やガンマ線の観測技術が格段に向上したことによる。とりわけ 銀河の進化については他波長帯でのディープ・サーベイにより、宇宙にお ける星生成史という観点から、理解が大きく進んだことは記憶に新しい。 また、銀河間物質の研究もz>5のクェーサーの吸収線系の研究から、大き な飛躍を見せ始めている。講演ではこれらの観測事実を整理し、まだ見え ない宇宙、宇宙の暗黒時代に何が起こったのかを探る方法について考察する.


mail.gif ss02web@kwasan.kyoto-u.ac.jp

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