主鏡支持関係進捗状況



● 分割鏡制御試験

ラテラル支持機構をつけての傾き駆動試験中。
フルストローク(1mm)で10往復したときの各アクチュエータ軸のセンサの値の変化(下図左)。
ピンクは、鏡の動きをモニタするセンサーの値(分解能とノイズどちらも劣る)。
下段は、2往復目の下降と上昇の平均からの残差。
アクチュエータにより異なるヒステレシスが見られる(±1μm)。
等間隔に6箇所でこの試験の 1/10,1/100,1/1000 のストロークでの動作試験をする。

右は、1/100 ストローク(10μm)で10往復させたときの、典型的な結果。
3つのうち、2つのアクチュエータではほとんどヒステレシスはないが、赤色に対応するアクチュエータは
約0.5μm 動き出しに手間取ることがわかる。それに対応して、鏡の動きも遅れている。

様々な試験を繰り返すうち、このヒステレシスの原因は以下の2点であることがわかってきた。

  • 駆動シャフトに対する横方向の負荷(グローブ内部のリニアガイドに負荷がかかる)
  • てこ機構の中心と駆動シャフトの中心のずれ(てこが非対称に変形)
また、てこが一番上がったところで角がぶつかり気味なので削った。

駆動シャフトにできるだけストレスを与えないようにし、てこ機構の中心で押し、なおかつ
引っ張り方向の力も伝えることのできる接続方法を検討中。(球面ジョイントのような...)

他、新しく作ったてこがことごとく折れたので、ほとんどが古いてこを使用中。
新しいのは放電加工が念入りに行われ過ぎて、焼きが入っている状態になっているようだ。


● ラテラル支持機構

鏡を横方向に動かないように固定する部分。鏡とトラスの熱膨張率の違いを吸収し、光軸方向の
移動を妨げず、更に鏡の取り外しが可能な構造、ということでローラーで板を挟み込む構造と
なている。これを組み込んだ傾き試験はこれから。

鏡を背面中心から放射状に3方向で固定する。


● ツリー回転防止機構

ホイッフルツリーが回転すると、鏡の載せ替えの際に位置合わせが非常に大変なので、ツリーが
回転しないように緩い位置決めピンで角度を決め、一部の支持点をラテラル支持機構でガイドして
全体の回転方向の動きを止める。改良部品の製作は終了しており、これから組み立て。


● ホイッフルツリー支持台

現在は、バネ式支持台で研削が進められているが、最終的には研削盤上でホイッフルツリーに載せて
鏡の形状を確認する必要がある。これは、研削盤上で使うためのツリーで、バネ式支持台はこちらの
高さに合わせて作ってある。これも部品製作は完了しており、これから組み立て。


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