京大岡山3.8m新技術望遠鏡

計画の進捗状況


岩室 史英 (京大宇物)   2006年2月
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~iwamuro/Kyoto3m/abst.html


● 光学系

光学系タイプ:リッチクレチエン
 主鏡:口径 3.78m (1m x 0.75m 扇形セグメント x18), F/1.32
 副鏡:口径 1.1m (最低でも 1m)
 第三鏡:口径 1.1m x 0.8m
 主鏡-副鏡間距離:3.7m
 副鏡-第三鏡間距離:3m
 第三鏡-焦点間距離:2.9m
 焦点スケール:110μm/1"
 合成F比:F/6

  • 副鏡をこれ以上大きくしない
  • 主鏡端からの焦点引き出し量1m
  • 第三鏡は出来るだけ低く
  • 補正レンズを用いて可視/近赤で視野1°(40cmφ)確保
  • 合成F/6

補正レンズなし:スポット図□サイズ0.54"、視野中心〜6'まで1.2'おき

補正レンズあり:スポット図□サイズ0.54"、視野中心〜30'まで6'おき

● 望遠鏡構造

鏡筒部分の FEM による変形解析(0°,45°,90°)。横ずれ量は副鏡部で 1.3mm, 主鏡部で 180μm

主鏡セル部の変形を見るため変形を更に強調したもの。

セグメント鏡のサイズは幅75cmを条件とした。クリアセラム硝材を作る釜の体積の関係で、
硝材の中心厚は60mm。研削後の中心厚は 45〜50mm となる見通し。          


60cmφ の支持パッド27点を反力分布がほぼ一定となるように配置してパッドの位置決め。


次に固定点を無くし、3つのホイッフルツリー(9点)ごとに同じ力で支持して変形を評価。

どちらも50nm程度曲ってしまうが、数十gの位置センサーを周辺部に貼り付けるので、 
それだけでかなり状態が変わることがわかっている。最終的には、各支持パッドに小さい
おもりかバネを追加して修正する必要がある。                   

  • 27点(3x3x3)支持。(9点支持は変形が大きく、18点支持は配置が難しい。)
  • 上段ツリーの重心は下段との球面ジョイントによる接続点と一致。
  • 下段ツリーの支持点(球面ジョイントの中心)は上記3つの上段ツリーの
    重心を結んだ三角形の重心位置。
  • 上段ツリーの重さの違いは下段ツリーの重心位置でキャンセルし、上段
    下段を合わせた全体の重心位置が下段ツリーの支持点に一致。

上記重心配置により、
傾いても新たなトルクが発生しない、
上段ツリーの重量が一律に増加しても全体の重心位置が変化しない、

などの効果がある。

関節として、球面ベアリングとロッドエンドを使用。
ロッドエンドには20μm程度のガタがあるため、何らかの工夫を検討中。曲げ関節の可能性も考えている。

重量は約18kg x 3 = 54kg、鏡(90kg)を載せたときの変形は最大 25μm。


iwamuro@kusastro.kyoto-u.ac.jp