Preparation and telescope handling

4.観測準備と望遠鏡の操作方法



4.1.暗幕を引く
 夕方暗くなったら、使用していない部屋の電灯を消し、研究棟の窓、扉、仕切り
の暗幕を引いて光が外に洩れないようにする。

4.2.移動屋根の開閉

  

4.2.1.移動屋根を開ける
 (1)玄関を入って右手の分電盤の動力電源のナイフスイッチをONにする。
 (2)観測室北側壁に設けられたスイッチボックス内のナイフスイッチ(メイン、
    屋根、コンセント用)をONにする。
 (3)移動屋根南側小窓の観音扉を内側へ開ききる(鍵は抜かないで差したまま
    にしておくこと)。
 (4)ロック用のフック及び移動屋根の南側の車輪に喰わしてあるくさびを外す。
    台風対策として屋根がロープで縛ってあるときはそれもほどいて所定の位
    置におく。
 (5)望遠鏡の筒先が屋根に当たらないことを確認する。当たりそうな場合には
    4.3の望遠鏡の操作方法にしたがって筒先を南に傾ける。
 (6)スイッチボックス表面の OPEN ボタンを押して屋根を開ける。リミットス
    イッチによって自動的に停止する。リミットスイッチを無視して更に屋根
    を北側に開きたいときや、開ききらない内に屋根が止まってしまい、動か
    なくなってしまったときは、スイッチボックスを開け中のリレーの押しボ
    タンを直接操作することによりにより移動可能である。内部のボタンで開
    ける時はリミッタスイッチが効かないので東側のレールに取り付けてある
    リミッタスイッチの位置を参考にしてボタンを離すとよい。

  

4.2.2.移動屋根を閉じる
 (1)望遠鏡の筒先を南に傾ける。
 (2)動力電源、屋根の電源が入っていることを確認する。
 (3)スイッチボックスの屋根 CLOSE ボタンを押して屋根を閉める。ボタンス
    イッチを離すタイミングは、東側のレールに書いてある2つの矢印が一致
    したところが最も良い。
 (4)最後に、観音扉を閉めて施錠し、南側の車輪にくさびをかまし、フックを
    ロックする。また、台風対策が必要な季節のときは東西2箇所のレールを
    ロープで縛っておく。
 (5)スイッチボックスのナイフスイッチを全てOFFにする。

4.3.望遠鏡の操作方法
4.3.1.準備
 (1)コンピュータ室内のブレーカーを全てONにする。
 (2)望遠鏡制御卓の SOURCE スイッチをONにする。次に、ロータリースイッ
   チを QUICK に合わせ、Diurnal Motion スイッチがONになっていることを
   確認する。
 (3)制御卓の START ボタンを押す。
 (4)ファインダー、ガイド望遠鏡のレンズキャップを取り外し所定の場所に置く。
 (5)望遠鏡を南へ傾け、鏡筒先の蓋を取り外し、所定の場所に置く。このあと
    移動屋根を開ける必要がある場合には、4.2.1.に従うこと。
 (6)主鏡のカバーを開ける。

4.3.2.終了方法
 (1)主鏡のカバー、ファインダー等のキャップを全て閉める。
 (2)望遠鏡を南へ傾けて4.2.2.に従って移動屋根を閉める。
 (3)望遠鏡を天頂方向に向ける。
 (4)望遠鏡制御卓の SOURCE スイッチをOFFにする。
 (5)コンピュータ室内のナイフスイッチをOFFにする。

4.3.3.望遠鏡の駆動
  望遠鏡は観測プログラム内のポイントプログラムによってコンピュータのキー
  ボードから駆動可能であるが、制御卓やハンドボックスからもハード的に動か
  すこともできる。
 (1)コンピュータからの駆動
    基本動作についてはCCD観測プログラムのマニュアル(吉田)を参照す
    ること。その後、加藤氏によりプログラムの改良がおこなわれ次の機能が
    追加された。
   ・座標入力の際の手間を省くため、分点は 1950.0 をデフォルトとし、リタ
    ーンを押せばこの分点とみなされる。赤経赤緯の入力において、時分の間、
    度分の間の小数点を省略できる
        例) 赤経 123456     = 12h 34m 56s
                赤緯 654321     = +6543' 21"
    また、異なったフォーマットもなるべく解釈を試みている
   ・天体名での直接ポイントを可能とした。[F4]キーを押すと天体名を要求
    してくる。 NGC, IC, Messier, 変光星についてはカタログを内蔵してお
    り、直接指定できる。
        例) M67   NGC4151   IC10   TAUT
    入力は、観測プログラムとの相性を考え、小文字大文字の区別を行わない
    ので、小文字でかまわない。また、これら以外の天体も A:\CHART\OBJECT.LST
     に追加しておけばその名称をポイントに利用することができる。OBJECT.LST
    の構成は、
        天体名(大文字のみ、空白は含まないこと。40bytes)
        赤経(0.00001単位 2000.0)
        赤緯(0.00001単位 2000.0)
    (空白文字は半角スペースのみ)でエディタで追加することができる。なお、
    最初3文字が星座略号と解釈できる天体名(変光星名と誤認される)NGC, IC,
    M, NSV で始まる天体、は登録してもポイントできない。Landoltの赤道帯
    標準星(UBV(RI)c)が入っているのでご利用下さい。PC9801RSで CH と入
    力すれば一覧が見られる。これらの直接ポイントに際しては、エンコーダ
    値に経験的な補正を加えているが、その妥当性についてはよくわからない
    (主に極軸のずれではないか)。
   ・オプションの追加
    -Sobject
     objectはポイント可能な天体名。ただし MS-DOS の制限からスペースを含
    んではいけない。このオプションとともに起動すると、ポイント終了後戻
    ってくる。

    ポイント作業の誤差については次の2つが考えられる。系統誤差は、赤経
    方向に角度の10分程度の誤差が残っている。観測時刻の影響があるよう
    に思われるが、詳細はわかっていない。登録天体のポイントの際、夕方の
    南から西空では、真の方向より西側を向く(角度の 5 - 10 分)。これに
    ついては極軸調整後に微調整を行う予定であるが、当面はCCD画面1個
    分程度の誤差を見込んでほしい。個々の天体の位置の誤差については、登
    録天体は NGC 2000 の位置などを参考にしているが、M67の位置がかな
    りずれている。標準星としてM67を用いる場合には、CNCAH(星団中の
    変光星)をポイントするとよい。

 (2)粗動
   ・制御卓のロータリスイッチを QUICK にする。
   ・望遠鏡の周辺の障害物、移動屋根に注意しつつ制御卓またはハンドボック
    スのN,S,E,Wボタンを押す(赤経方向と赤緯方向は独立に動く)。
    (注意1)駆動中は望遠鏡から目をそらさないこと。異常音等が発生した
        場合には、直ちに停止して原因を調べること。
    (注意2)N,S方向あるいはE,W方向の逆転をするときには、望遠鏡
        の慣性運動が停止してから逆方向のボタンを押すこと。さもない
        と、同じ方向に運動を続ける。
    (注意3)QUICK 状態では Siderial Drive がONであっても駆動されない。
 (3)微動
   ・制御卓のロータリスイッチを HAND BOX に切り替える。
   ・ハンドボックスの切り替えスイッチ SLOW , FINEI , FINEII から適当な
    ものを選ぶ。
   ・制御卓またはハンドボックスのN,S,E,Wボタンを押す。
    (注意)HAND BOX の状態では、日周運動の追尾がなされているので長時
     間観測室から離れないこと。

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