How to use CCD

5.CCDカメラの操作法

 CCDチップ

5.1.観測準備

 CCDカメラの観測のためには、感度補正等のために薄明を利用してフラットフ
ィールドを撮影する必要があり、その時までには液体窒素をデュワー(クライオス
タット)に注入してCCDチップが -120 ℃まで冷却されていなければならない。
液体窒素の充填は、危険を避けるためにゴーグルや手袋などを装着して行う。その
ために必要なものは北側の棚にコンテナケースに納めておいてある。窒素の汲み上
げにはクライオジェットと言うポンプを使うが、付属のゴム球に液体窒素が入り込
むとゴムが固くなり割れるので、常に持ち上がった状態にして使用すること。デュ
ワーの排出パイプから液体窒素が勢い良く吹き出すようになったら、一旦注入作業
を中止してデュワーから注入パイプを引き抜き30分ぐらい待ってから再度注入し
て充填完了とする。デュワー一杯に充填すると約24時間はもつので連続して観測
するときは、窒素が蒸発してしまう前に充填作業をおこなうと良い。窒素が蒸発し
てしまってデュワーが常温に戻ってしまってからでは、デュワーその物を冷やすの
にかなりの液体窒素が消耗されて時間的にも経済的にも効率が悪い。
 直接撮像の場合にはデュワーにネックエクステンジョンチューブを挿入し、分光
器に取り付けて使用する場合にはエクステンジョンチューブを抜かねばならないこ
とがある(注入口が水平より上にくる場合)。

  

5.2.CCDカメラ観測プログラム
 観測所のコンピュータ室に備え付けのCCDカメラ観測プログラムマニュアル
(吉田著)がある。その簡約版は科研費成果報告書の付録にも掲載されている。ま
たCC200のマニュアルには、コントローラーのコマンドの詳しい説明があるの
で読んでおくとよい。

5.5.液体窒素の注文方法
 液体窒素30リットル用の瓶は2瓶あるので、回転をうまく考えてできるだけ無
 駄にならないようにしてください。
 ・取扱会社
  植野ガス株式会社
   電話    : (07444) 2 - 2771
   ファクシミリ: (07444) 3 - 8102
   住所    :〒633 奈良県桜井市粟殿60
   営業時間  :午前9時から午後5時まで
   配達休み  :土、日曜日と祝日、年末年始及びお盆の数日間

 ・運搬手段(自動車)がある場合
   直接会社へ空瓶を持って行けば充填してくれる。観測所から会社まで約15
  分、充填に約15分かかる。
 ・運搬手段が無い場合
   会社に電話して空瓶を取りにきてもらい、充填して持ってきてもらう。観測
  所のガレージに空瓶を置いておけば無人でも持って入ってまた持ってきてくれ
  る。但し、最も急いでも持って入ってもらうのに1日、充填して持ってきても
  らうのに更に1日、都合2日間を要するので予めスケジュールを良く考えて注
  文すること。

5.6.ビデオプリンタの調整方法
 プリンタ出力の偶奇走査が入れ替わって出力される場合、以下のように調整する
 とよい。
 (1)レベル1調整部(プリンター後部上側の蓋の内部)
   ・ディップスイッチ7番を下へ倒す。
   ・H - Hold を調整し、垂直線が正しくまっすぐに出力されるようにする。
   ・ディップスイッチ7番を上へ戻す。
 (2)レベル2調整部(プリンター後部後ろ側の蓋をネジを緩めて外す)
   ・偶奇判断トリマ(C - O/E)を左いっぱいに回す。
   ・プリントの状態をみる。
   ・気に入らなければトリマを少し右に回し、プリントの状態を見る。
   ・以上の繰り返しにより調整する。

5.7.CCD広視野モード撮像
 60cm鏡の焦点位置ではフォトメトリクス社のCCDカメラの視野は6分角×
10分角と非常に狭く遠方の銀河がかろうじてその全景を示すだけの面積しかない。
そこで我々は分解能をある程度犠牲にして、鏡筒横にCCDカメラを同架しカメラ
用の交換レンズを装着し広い視野を撮像することにした。レンズは1眼レフカメラ
用交換レンズを用い(表2参照)、フィルターは干渉フィルターまたはバンドパス
フィルターを用いた。明るい光学系(F1.2)と検出効率の高いCCDカメラとの組
合せによりとにかく良く写る。広がった天体の場合、 F8 の光学系で2時間程度露
出が必要なときでも3分弱で撮れる(約 50 倍の明るさ)。

                    表4.広視野モード光学系の比較

      ------------------------------------------------------------------------
        光学系       焦点距離 口径比   写 野   角分解能
      ------------------------------------------------------------------------
         A              58 mm    F1.2    13   x  8.7     1.4'
         B             300 mm    F4.5     2.5 x  1.7      16"

        大宇陀 60cm RC 鏡  48,00 mm   F8       9.6 x  6.4       1"
      ------------------------------------------------------------------------


1988年8月6日にテスト観測を行った。レンズ絞りは F1.2 開放、フィルター
はHα輝線用としてλ6589 A 干渉フィルター(バンド幅 50 A ) + C50-S (赤外
リーク防止)と、連続光用として波長 6480 A 干渉フィルター(バンド幅 23 A )
+ C50-S の組合せで Cygunus Loop と北アメリカ星雲をそれぞれ2枚づつ 10 分露
出で撮影した。薄雲と半月からの散乱光があったにもかかわらずパーカーたち
(Parker,R.A.R., Gull,T.R., and Kirschner,R.P., 1979, "An Emission-Line
Survey of the Milky Way", NASA SP-434.)のものとほぼ匹敵する結果を得ている。
これで良い空の条件のもとで観測すれば彼らのアトラスを越える定量的単色像アト
ラスが得られる見通しがついた。

5.8.カメラデュワーの真空引き
 デュワーの真空引きは、注意と熟練を要する作業なので観測所で定期的に行うこ
とになっているのでユーザーが気にすることはない。ただし、観測中にカメラのウ
ィンドーやデュワー本体に露が付くようになった場合には真空引きの必要がある場
合がる。この場合には冨田に連絡すること。

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