新たなデータセット

2006年1月23日〜2006年1月31日に取得したデータを用いる。今回は、

  1. 人為的に温度、湿度に変動をあたえる。
  2. デジタルセンサーのボードにエアキャップを巻く
ということを行った。その目的は、1については温度、湿度の急激な変化にセンサーの測定値がどんな振舞をするのか見るためで、2についてはセンサーヘッドとボードの温度を変えて、どの部分の温度がセンサーの測定値に影響しているのかを見るためである。結果を下に示す。

上段が温度、中段が湿度、気圧、下段がデジタルセンサーである。
14000カウント付近、24000カウント付近、40000カウント付近にある大きな変動は、実験室の窓と扉を全開にすることによって人為的に作った。
また、51000カウント付近でデジタルセンサーのボードにエアキャップをまいて断熱した。上段の赤色で示された線がボードの温度である。

51000カウント以降の振舞を見れば、ボードの温度がセンサーの測定値に影響を与えているのがわかる。今までと同じ方法で(その2 参照)補正をしてみた。その結果を下に示す。

赤が補正前、緑が治具の温度(すなわちセンサーヘッドの温度)を使って補正したもの、青がボードの温度を使って補正したものである。補正に用いた式は、
治具温度:(補正値) = (測定値) -0.00285417 × (水蒸気量) - 0.121141 × (温度)
ボード温度:(補正値) = (測定値) -0.000421199 × (水蒸気量) - 0.199515 × (温度)
明らかにボードの温度を使って補正したもののほうが良い結果になっている。

また、急激な変動に関してはやはりうまく補正できていない。大きな変動に対しては過補正になっている。また、補正式を見るとわかるが、水蒸気量の値が〜1000、温度の値が〜15なので、ボード温度で補正したときは温度による補正項のほうが水蒸気量によるものに比べ1桁ほど大きく、温度による項が支配的である。もっとも、窓の開け閉めで温度・湿度の変化を作っているので、温度・湿度の変化は連動して起きている。そのため、水蒸気量自体が温度に支配されていて補正式の上では水蒸気量による補正項が温度による補正項に吸収されているかもしれない。温度と湿度を独立に変化させてみる必要がある。

他にも原因のわからない点がある。下にデジタルセンサーの測定値とボードの温度を適当な係数を掛けて同じくらいのスケールに直してプロットした図を示す。

赤がセンサー、緑が温度である。全体の形はよく似ている。しかし、温度は人為的な変動が終わればほぼ元の値に戻るにもかかわらず、デジタルセンサーの測定値は人為的な変動が終わると元の値には戻らず少し大きな値を示すようになる。また、これに水蒸気量のグラフに適当な係数を掛けたものを重ね合わせてみる。

これを見ると水蒸気量の変動からの立ち直りの様子と、デジタルセンサーの変動からの立ち直りの様子が似ていることがわかる。しかし、水蒸気量も変動が終わるとほぼ元の値に戻っているので、デジタルセンサーの値が増加する原因とは考えにくい。また、最初の図にあるように、センサーと気圧は相関が無いので、気圧が原因とも考えにくい。

変動の詳細

14000カウント付近の変動を拡大してみる。下に、ボード温度、水蒸気量、デジタルセンサーの測定値、補正後のデジタルセンサーの値を並べる。

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08/Feb/2006. sakai@kusastro.kyoto-u.ac.jp