拡張フーコーテスト4
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~iwamuro/Kyoto3m/foucault4.html

岩室 史英 (京大宇物)


●バイコニック 2A 再計測

    UA3P での機械測定結果を元に鏡面の修正研磨を行うが、その前に Mirror#2A の周辺部が拡張フーコーで計測できていなかったので、鏡面を2分割して計測しておく。

    まずは、装置の状態確認。ファイバー2本を用いた確認方法を行った結果が以下。X ステージが
    50mm 移動のものしか使えなかったので、0,50,300,350 の4箇所での測定を1回行った。
    図は δ=0.1mm での結果。

YXx
0300+δ 1993.29
50300+δ 1829.97
300+δ300+δ 1298.69
350+δ300+δ 1227.54

    次に、F/1 光源を用いてのステージ駆動マップ取得。中間で光源のレーザーを90°回転させてビーム内の明るさ分布の異なる2セットを連続で取得し、1セット目のマップで2セット目の結果を出したのが以下。下右の残差マップはベクトルの長さをこれまでの10倍にしている。

    以前との違いは特に無かったので、計測を始める。マーカーは回転確認とずらした時の位置合わせ用なので、以前より少し内側に貼りつけた。2個のマーカー位置が少し左回転している(0.1°弱)ようだ。以下は、中央、上部(カメラ位置 0,5,10,15mm)、上下反転下部(カメラ位置 15,10,5,0mm)、中央の順。A/B 境界付近の凹みの見え方が左右反転で変化するのが気になる。何らかのセッティングの非対称性が存在する可能性があるかも。また、気温の上昇とともに光源レーザーからファイバーに光を入れる部分がだんだんとずれ、調整した途端明るくなりすぎたこともあり、どの程度の明るさの光が当たっているかによっても、情報切り落としの閾値との関係で形状変化を生む可能性もある。

    全て重ねたものが以下。

Mirror 2A
6.66121pix/mm
最下点(1741 1179)
 

●バイコニック 1B 修正研磨後

    Mirror #1 の修正研磨が終了したので、再計測してみた。修正研磨範囲は、光の当たる範囲(左側の面)よりやや広い程度で、周辺部の形状は以前のまま。下図一番左は以前の状態。大体うまく行った感じだ(モデルフィットは大体光の当たる範囲内のみ)。マーカーの位置は前回よりやや内側に貼ったが、モデルの方には正しい位置は入れていないので、マーカーの左右の位置がモデルと実測値でずれているのは問題ない。

    位置を 5mm 後退させて修正研磨前最後の計測時の位置と合わせ、露出時間を少し減らして再度計測。左から傾き残差 x 成分、その積分値、傾き残差 y 成分、その積分値、明るさ分布、x,y 結果の平均 の順。傾きで見ると修正研磨の範囲が良くわかる。次は左右反転で計測。

    左右反転の計測結果。大体合っているので、まあOK。前後の傾き角を少し調整して再測定したものが下右。

●バイコニック 1A 修正研磨後

    修正研磨範囲は、光の当たる範囲(右側の面)よりやや広い程度で、周辺部の形状は以前のままなのは 1B と同じ。

    以下、左から以前の状態、傾き残差 x 成分、その積分値、傾き残差 y 成分、その積分値、明るさ分布、x,y 結果の平均 の順。修正研磨後の方が右側の隅が低くなっているのは気になるが、これも大体うまく行った感じだ(モデルフィットは大体光の当たる範囲内のみなので、以前とは fitting 条件が異なる)。こちらもモデルの方には正しいマーカー位置は入れていないので、マーカーの左右の位置がモデルと実測値でずれているのは問題ない。

    以前の計測でも問題となったが、右側での scan 密度の低下が問題。縦方向の scan 密度を2倍にしてやり直してみる。

    縦の scan 密度を2倍にしたもの。若干の改善はあったが基本的にはそれほど変化はなし。

    左右反転させて計測した結果。

    A/B 面それぞれ4回ずつの計測を重ねあわせたものが以下。2列目は修正研磨前で3列目は2つの差、Mirror 1A に関しては上下の領域の差分を球面 fit して得られる曲率成分を用いて今回の測定結果を修正したもの(fit する領域がかなり狭くかつ横長になったため、曲率の評価が少し変わったのだと思う)を一番右列に置いた。1B に関しては、修正研磨していない領域が狭いことと、以前の計測の左上と右下部分が(UA3P での計測結果と比較しても)どうやら怪しいので、同じ方法を適用するとかなり異常な結果となったため割愛。

4回計測の平均修正研磨前差分球面成分補正後
Mirror 1A
5.20827pix/mm
最下点(1237 1034)
Mirror 1B
5.83168pix/mm
最下点(850 1035)
 

●バイコニック 2A 修正研磨後

    修正研磨範囲は、光の当たる範囲(右側の面)よりやや広い程度で、周辺部の形状は以前のまま。

    以下、左から以前の状態、傾き残差 x 成分、その積分値、傾き残差 y 成分、その積分値、明るさ分布、x,y 結果の平均 の順。うまくいっている感じ。

    以下、上側、反転上側、中央 x2 の順。

    全て重ねたものが以下。上下 4cm 幅程度の部分は修正研磨を行っていない。

修正研磨後修正研磨前差分
Mirror 2A
6.62673pix/mm
最下点(1736 1168)
 

●バイコニック 2B 修正研磨後

    修正研磨範囲は、光の当たる範囲(左側の面)よりやや広い程度で、周辺部の形状は以前のまま。

    以下、左から以前の状態、傾き残差 x 成分、その積分値、傾き残差 y 成分、その積分値、明るさ分布、x,y 結果の平均 の順。うまくいっている感じ。

    以下、中左、中右、上中、上左、上右、反転上中、反転上左、反転上右の順。

    全て重ねたものが以下。以前の計測では鏡面の端まで取得できておらず、光の当たる範囲(修正研磨を行った範囲)も以前の計測範囲とほぼ同じ大きさなので、変化していない部分の確認をすることはできなかった。また、左右端の凹み部分の大部分は鏡面の外部になる部分と思われる(エッジが光り続けることによりやや外側まで光が戻るため)。

修正研磨後修正研磨前差分
Mirror 2B
8.52614pix/mm
最下点(767 1569)


iwamuro@kusastro.kyoto-u.ac.jp